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スペインにおけるユースバスケットボールプログラムの構築方法

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1. はじめに

ユースバスケットボールの育成は、プレーヤーのスキルアップだけでなく、チームワークや人間形成にも深く関わる重要な要素です。スペインは、プロのリーグやクラブチームの存在が強固であり、多くの優れたプレーヤーを輩出しています。本記事では、スペインにおけるユースバスケットボールプログラムの立ち上げ方や成長させる方法について、コーチのホセ・ラモン・クスピネラ氏のインタビューを基に解説します。

2. ユースプログラムの始まり

クスピネラ氏は、自身が15歳の時にバスケットボールを始めました。それは偶然のきっかけであり、当初はハンドボールをプレーしていたものの、チームメンバーが不足していたためにバスケットボールに転向したと言います。

ポイント:
• スクールでのバスケットボールがスタート地点
• 地元のクラブに参加し、その指導者から指導者養成コースを勧められる
• 初めは指導に興味がなかったものの、怪我をきっかけに指導の道へ

3. ユースバスケットボールプログラムの構築方法

ユースプログラムを立ち上げる際には、以下のステップが重要です。

1. プレーヤーの募集

「できるだけ多くの子供たちを集めること」が最優先です。スペインでは、スクールやクラブでバスケットボールが始まりますが、クラブチームの方が圧倒的に強力です。

・地元のクラブや学校を拠点に募集
・初心者でも気軽に参加できるような環境づくり

2. 楽しさを重視:

特に若年層では、「楽しさ」が重要です。楽しさがなければプレーヤーは継続しません。

・新しいスキルを学ぶことの喜びを提供
・練習にゲーム要素を取り入れ、興味を引き出す

3. 基礎技術の習得:

バスケットボールの基本である「シュート」「パス」「ドリブル」「ディフェンス」を教えます。特に子供たちには「動き方」「バランスの取り方」などの基本動作が重要です。

4. クラブチームと学校の違い

スペインでは、学校でもバスケットボールは教えられますが、プロレベルに近い選手はクラブチームで育成されます。

学校:週に3時間の体育授業で基礎的な技術を学ぶ
クラブ:さらに上のレベルを目指し、週3〜4回の練習が行われる
クラブでは、技術の向上だけでなく、「楽しさ」と「成長」の両立が求められます。

5. プレーヤーの育成方法

1. 基礎技術と戦術の両立

クスピネラ氏は、「技術(テクニック)と戦術(タクティクス)は同時に教えるべき」と述べています。

• 若い選手にはドリブルやシュートなどの個人スキルを教えつつ、スペーシングやパス回しなどの戦術も導入する
• 1on1(マンツーマン)だけでなく、グループプレーを重視する

2. 楽しみながら学ぶ

新しいことを学ぶことは人間にとって自然と楽しいものです。クスピネラ氏は、選手がスキルを習得した際に感じる達成感を大切にし、それを次のステップへと繋げています。

6. 親との関係構築

親は敵ではなく味方

クスピネラ氏は、保護者を「敵」ではなく「味方」として捉えることの重要性を強調しています。シーズン前に保護者とミーティングを行い、「指導方針」「目標」を明確に伝え、期待値を揃えることが大切です。

練習や試合中に他の子供を侮辱することは許さない
・保護者がルールを守らない場合は、参加を見合わせてもらうことも

7. フィジカルとメンタルトレーニング

選手が成長する中で、フィジカルとメンタルの両方が重要になります。特に10代の選手には、バスケットボールの練習だけでなく、バランスや体の使い方を学ぶ時間を設けます。

・練習の中に体幹トレーニングやジャンプトレーニングを取り入れる
・十分な時間がある場合は、フィジカルトレーニングとバスケットボールの練習を分けて行う

8. まとめ

スペインにおけるユースバスケットボールプログラムの構築は、多くのプレーヤーを集め、楽しさと技術の習得を両立させることから始まります。
クスピネラ氏の経験は、バスケットボール指導者だけでなく、他のスポーツ指導者にも役立つ普遍的な考え方を示しています。


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