バスケなめんなよ 1話
鳥川中学校入学!
あまり必要性の無い仮入部期間を終え、正式にバスケ部に入部した涼は真新しい学ランと鞄を身に着け、毎朝早くに家出て行く涼の生活が始まりました。
涼は私が当時通っていた鳥川中学校という至って普通の中学校に入学しました。
妻になぜ涼は若干早く学校に行くの?
と尋ねると、朝練をしていると聞かされました。
懐かしいなぁ〜と思いつつも、俺の時の朝練は6時からだったはずだけどな…
あいつ7時過ぎに出てるし…まぁ時代が違うのかなとか思いつつ、涼の新生活を楽しみに観ていました。
鳥川中バスケの現状
3年生の最後の大会が6月と言う事もあり、週末には練習試合がビッシリと入っているようです。
1、2年生はベンチワークをキッチリ行い、少しでも3年生の役に立つ事が必要になってきます。
ベンチに戻って来た3年生にドリンクとタオルを渡し、ウチワで扇ぎ、氷嚢で首を冷やしたり……
って今の中学バスケってこんな事しなくちゃいけないの?
えっ?何様なの?
自分でドリンクとタオル取って、暑けりゃ自分でうちわで扇げばイイじゃん……
でもこれが普通みたいだから何も言えない…
まぁでも必要な事なんだとは分かってはいるのですが、自分の時のベンチは何もしてくれなかったなぁ…
声も出さないし、良いプレイしてもリアクション無いしw当時私はベンチメンバーに何度も説明しお願いしましたが、結局ほぼやってくれる奴は居ませんでした。それに比べればかなり良いシステムなのかな?まぁそういう事にしておこうw
ちなみに3年生はそれなりに強いのですが、その強さの理由は1人県の選抜に選ばれ続けていたので、そこで練習してた事を部活で行っていたからです。
そうなると顧問の先生は一体何をしているのだろうか?バスケ経験者では無いので何も口を出せずにいるのだろうか?だとしたら結構やりづらいだろうな…なんて事を考えながら試合を観ていました。
結果は全勝していましたw
市内の大会を突破し、次の大会には余裕で行けるのかな?そしてその次の県大会も可能なのだろうか?3年生も目標は県大会出場と言っていたし、それなりには自信があるはずです。
まぁそんなに甘くないけどね!と、ニヤつきながら会場を後にしました。
3年生の実力は?
家に帰って来た涼に色々と聞いてみました。
私「3年生って強いと思うんだけど、どのくらい強いの?」
涼「前の大会であと1勝してたら県大会行けたみたいよ」
私「あ~あのベスト8まで県大会に行ける大会ね」
涼「6点差位だったらしいよ」
私「つまり市内は優勝で次の地区大会で1回戦負けって事だな」
涼「えっ?そういう事なの?」
私「最後の地区大会は16チーム出れて、ベスト4つまり2回勝つと県大会に行けるんだよ」
涼「そういう事なんだ…じゃあ前の大会ではやり方が違うけど、市内大会で勝って地区大会の1回戦で負けたって言う感じなのか…」
私「まぁそういう事になるな…市内大会を勝って地区大会に行くか行かないもよっぽどの差があるけど、地区大会を2回勝って県大会に行くか行かないかはマジで余程の差があると思った方が良いぞ!」
涼「でも、対戦相手の運とかもあるじゃん。強いチームに当たってしまったとか…」
私「そうならないように自分たちの代になったらまず市内大会でのシードを取れるように勝ち続け、3年生があと一回勝てば県大会に行けた大会でも2回は勝っておかなければいけないんだよ」
涼「ふぅ~ん…つまり勝てばいいって事でしょ!」
私「…まぁそういう事だな…お前ら大丈夫か?指導者はどうするんだ?多分とかじゃなくて、今のままじゃ無理だぞ…」
涼「大丈夫でしょ!3年生がやってた練習を俺らもすれば何とかなる!」
私「…そうじゃないんだよなぁ…チームによって練習内容とかは変えなきゃ行けないんだけどなぁ…そもそもお前らの学年は5人しか居ないんだぞ…来年入ってくる後輩が何人入ってくるかは知らんけどさ…今のうちから後輩に声かけておけよ!」
涼「分かってるって!でも、2年生達は本当にヤバいかも…3年生抜けたら誰がキャプテンやるか分からないけど、全員全然バスケになってないから…」
私「………まぁがんばれよ」
クラブチームへ行くべき…
涼との会話が終わった後に、やはりクラブチームに移ったほうが良いのではないか?
と、不安に襲われたので妻に相談してみました。
私「涼なんだけどさぁ、クラブチームに移ったほうが良くないか?」
妻「クラブチームってみんな上手いんじゃないの?涼が行ったら場違いにならない」
私「最初はみんなそうだろうけど、仮にもミニバスやってたし、周りはめっちゃ上手いだろうから何とかくらいついていけば部活なんかよりとんでもないスピードで上手くなると思うんだけど…」
妻「本人が行きたいって言うなら良いと思うけど…部活で頑張るとか言ってるし、友達と一緒に頑張ろうぜ!ってなってるみたいだし…」
私「友達ねぇ…そういうのが基準になってて良いのかなぁ?本当に上手く、強くなりたいって思うならそんなの重要では無いと思うんだけどなぁ…まぁ友達は大事だけど、最後は自分だからな…」
妻「まぁまだ始まったばかりだし、もう少し様子見ようよ」
私「そうだな…」
本当に覚悟を決めてバスケをやっている涼の同い年や1個上の子達は、部活の顧問が経験者じゃなかったり、バスケ部が無い学校の場合はクラブチームに移ったり、転校したりしていると聞いた事があったので、本当にこのままで良いのかどうか不安になってしまいました。
しかし、決めるのは本人なのでどうしようも出来ません。
目に余る保護者の介入が多発?
昨今、親が全てに口を出して子供の意見を聞かずに勝手に決めたり、家の主である父親が全てを決めたりしているらしいのです。
自分の意志で部活をやっているのか、親にやれと言われてやっているのかが、わからない子供達が多くいると聞きます。
大概の親は、自分がやって欲しい部活とかクラブチームに入れちゃうみたいです…
親が◯ソなのもそうですが、子供もどうなんだろ…
自分のやりたい事をきちんと親には伝えて、最後までやり切ればいいだけなのに…
鳥川中の涼の同級生には、こういう親や子供がいない事だけを願っておりますw
ちなみにウチは子供でも本人の意思を最優先し、余程おかしくない事であれば何とか協力すると決めています。
3年生最後の大会!
そうこうしているうちに、3年生最後の大会の日がやってきました。
私は仕事で行けませんでしたが、妻が3年生の試合を観に行ってくれました。
3年生のエースの子に、涼がミニバスの頃から世話になっていたし、部活でも涼によく声を掛けてくれたりと色々と教えてもらってたので、私も何とか勝ってほしいと思っていました。
市内大会はシードだったので、勝ち上がってきたチームにも難なく勝利し、地区大会への切符を手にしました。
しかし、初戦で地区大会優勝候補のチームと当たる事になっていたらしく…
結果は言うまでもなく惨敗でした。
トーナメントやブロックなどは、どこに入るかによって全てが決まってしまいます。
人はそれを運とか言いますが、シード校は毎日必死で練習して、試合でも結果を出し続けているから進みやすい場所を確保できるのです。
運とか奇跡とかではなく、ただの実力です。
「となりのトーナメントなら次の大会に出れたわ!」
「お前達は良いブロックに入ったよなぁ~」
こんな事を言う人達は毎日必死に練習をしてこなかった人達です。
厳しい言い方にも聞こえるかもしれませんが、結局はそういう事です。
部活を必死にやってきた人達に失礼です。
私がバスケをやっていた時にもこう言うことを言う連中はいっぱい居ました。
私は中学生ながら、あぁこいつらは努力とか熱量をもって必死にバスケをしてこなかったんだろうなぁと、いつも思っていました。
皆さんも経験があると思いますが、1年生〜3年生の6月とか7月までの約2年3ヶ月やり続けてきた部活が終わると、心にぽっかり穴が開いたような状態になってしまいます。
もうあんなキツイ練習をやらなくていいんだ…
もう嫌いな奴とバスケやらなくてもいいんだ…
もう顧問の先生にブチ切れられる事も無いんだ…
でも、もうみんなとバスケ出来ないんだ…
結局悲しくなってしまった事を思い出しましたw
今でも涼の同級生は「3年生みたいになりたい!」と、言うくらい人として尊敬される人格者達でした。
3年生のみんな、お疲れ様でした!
まだまだみんなのバスケライフは終わらないから高校行っても頑張って!
そして、すぐにクラブチームに入る事も可能なはずだから頑張ってほしいと心から思いました。
3年生ありがとうございました!
こうして3年生は悔しい結果のまま引退ということになってしまいました…
私から見ても、なんとも言えないクジ運でした…
地区大会1回戦で当たってしまった藤神中学校は、県大会優勝候補です。
どこが当たっても負けていました…
たまたま鳥川中があたってしまっただけです…
涼たちもこういう結果になってしまうかもしれません…回避するためには、常に結果を出し続けなくてはいけません。
次回は新チーム始動です!
涼たちの1個上の2年生がチームを引っ張る…
のかなwww