身内がアルコール依存症:入院〜退院までの1週間に起きたこと①
※身バレを防ぐため一部フィクションを織り交ぜてます。
登場人物
兄:40代後半・離婚歴あり・現在独身・自営業・アルコール依存症(本人は否定)・非常に怒りっぽくて暴力的
私:30代後半・既婚・会社員・結婚後兄とは一切会ってない
母:70代前半・離婚歴あり・現在私と同居・兄を怖つつも見捨てられない
結論から言いますと、先週兄が自分で救急車を呼んで病院に入院しました。診断は「肝硬変の超末期、このまま何もしなければ余命は5〜10年」とあっさり宣告を受け、「治療できないので1週間で退院しろ」と言われました。
本日はその退院日当日。
入院してから今日までの1週間、アルコール依存症患者の家族として最後を覚悟していたつもりでしたが、全然見通が甘かったことを痛感し、何か記録に残したいと思いました。
1日目:兄から母へのSOS
ここ数年、兄の状態は悪化してました。体重減少・食欲不振・嘔吐・下痢が主な症状です。メタボな兄でしたが、今ではムンクの叫びのように痩せ細り、腹水が溜まり妊婦のよう。
病院にもいくつか行ってたようですが、兄本人は「異常はない」と母に言ってました。
が、その日は兄自身も耐えられないほどの苦痛だったのでしょう、まずは母に電話が来ました。
「すごくしんどい、病院に行きたい」
母は、「自分で救急車を呼びなさい」と伝えて電話を切り、その後救急車に自ら通報したようです。
非常な母に見えるでしょうけども、これまでアルコール依存症の兄に振り回されてきた私たちは、本人と極力接触しないように努めています。
イネイブリングと言う言葉をその当時は知りませんでしたが、ここで家族が手助けするのは本人のためにならないと感じての突き放しでした。
病院に駆けつけた母に、担当医がエコー画像を見せながら端的に現状を伝えました。
「肝硬変の超末期です。余命は良くて10年。この病院で治療できることは何もない。3日で退院してください」
随分簡単に余命宣告する医者ですよね、正直腹立たしいです。「アルコール依存症患者の家族なんだから、わかってたでしょ」と言わんばかりです。
(しかもこの後、「やっぱ5年かな?」と訂正してたようですが、要するに長くないんだとこちらは理解しました)
確かにいつかは酒で兄は死ぬと思ってましたが、アッサリと突きつけられると、こちらとしても正直なところ大変ショックでした。
私は仕事中でしたので、定時後に病院に行きましたが、すでにコロナを理由に面会はできず、何もできないまま母と兄の家へ向かいます。
兄は猫を飼っているので、その世話をする必要があるのです。
(ここで素直に手を出してしまうとこが依存症患者の家族のよくないところですよね。結局イネイブリングです。)
私の主観ですが兄の家は崩壊してました。家中の床が黒カビで真っ黒、猫の吐瀉物で汚れた畳、人間のトイレにも散らかる猫の糞尿、1度も洗ったことない猫トイレ、排水管から漏水する流し台、真っ黒のガスコンロ、ドロドロの風呂、ヤニでまっ茶色の壁とカーテン・・・・・
「人の住む家じゃない」と思いました。
ひとまず猫のトイレを片付け、餌を補充し、その日は撤収。
なんともやるせ無い気持ちになりました。
1日目の振り返り
何をやっても怒る兄なので、(言い方は悪いですが)この日まで完全放置していました。母から聞く情報を自分なりに咀嚼し、体調を崩しているがなんとか自活できている、と思ってました。
しかしあの家はもう人間の生活ができるレベルの場所じゃありません。冷蔵庫の中も食べ物らしい食べ物はありません。(おそらく吐いてしまうから)医者からも余命宣告を受けたばかりです。兄に死が迫っているとわかりました。
汚いお化け屋敷のような家ですが、それでも本棚には、兄が昔聞いていたCDや、好きな漫画が並んでいて、家族としては平和だった頃の思い出が蘇って胸が痛みます。
死が迫る兄のために、最期は家族らしく接しようかな、と心が揺れ動いた日でした。しかしそれは私の考えが甘かっただけでした。
追記:入院期間ですが、当初は「3日で退院」と言われたところを、母が「1週間にしてくれ」と頼み込んでこうなりました。
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