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ダブルベルチューバ
一つの金管楽器に2つ、あるいはそれ以上のベルを装着する案は19世紀からあって、有名なところでは20世紀頭に広く使われた、ダブルベル・ユーフォニアムという楽器があります。
現代音楽においても、チューバ奏者ズヅィスラヴ・ピエルニクさん Zdzisław Piernik は既存の楽器に幾つものベルを取り付けて多彩な音色を使いこなした先達と言えるでしょう。
こちらはピエルニクさんがクアドラプルベル・チューバ(4つのベルを持つチューバ)を用いて演奏している動画。
細かいことを考えなければ、任意の枝管の片方を外して、そこの径に合うベルを作成して挿せば、すぐに複数のベルを装着することができます。
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これはトロンボーンのベルをF管の4番管に挿せるように加工してもらったもの。これを挿せば、(私の楽器であれば)1番管から3番管、および5番管と6番管が音程の操作に使えます。ベルを増やせば操作できる音程が限られてくるようになります(もちろん、ベルに切り替えるバルブをどんどん増設する方法もあるのですが)。
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ベルは接合部で回転できるので、方向を調整することができます。
さてこのベル、割とノープランで作ってしまったので、取り付けてからなんとなくD管ということが判明しました。ただ著しくバランスが悪いので、指使いはかなりこんがらがったことになっています。
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ある程度操作に慣れてくると、ベルの切り替えによって面白い音響効果が得られます。特にどちらかにミュートをつけた場合には著しい効果が生まれます。
このような試みは最近特にドイツの現代音楽アンサンブル、ミュジーク・ファブリーク Ensemble Musikfabrik が精力的に行なっていて、全金管楽器のダブルベル化とそれを用いた作品の発表がこのところ続いています。
私の手持ちのダブルベルに関しては、ベルのアタッチメントを作製した2010年に山本裕之さんに《マショー三態》という、ピアノとのデュオを作曲していただきました。
2月26日のリサイタル6にて再演を予定しています。
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![橋本晋哉 / tuba, serpent, ophicleide](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/2470624/profile_700af5c034594170f20ed22dba9fa54e.png?width=600&crop=1:1,smart)