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チューバ現代曲レパートリーその1:山根明季子
はじめに
チューバの現代曲も気がつけば随分と増えてきました。個人的に整理して考えたいこともあり、ここに備忘録的に少しずつご紹介していければと思います。
ところで、今まで色々と初演や委嘱を重ねていく中で、特定の作曲家の方と多く関わることも少なくありません。チューバというどマイナーな楽器としては、作曲家の人生の色々な場でこの楽器を使っていただけるのは本当にありがたい限りです。まずはそういった作曲家の作品をご紹介していきたいと思います。
(3/1追記:金管五重奏曲《ネオン》を追記しました。)
山根明季子のチューバ関連作品
山根明季子(やまね・あきこ)さん(1982-)はと初期の「水玉コレクション」シリーズから一貫して独特の音色感、音の質感を持った作曲家。最近は音楽のあり方の辺縁を攻めるような作風で、最もスリリングな作曲家の1人だと思っています。
その山根さんのチューバのためのソロ曲から、5人までの編成でチューバを含むものを年代順に挙げていきます。
1. 水玉コレクション No. 2 (2007)
いきなり変化球なのですが、オリジナルは任意の楽器を伴うヴォイスパフォーマンス作品。この曲はご本人の許可を得て、チューバとキーボード群に編曲したものを演奏しました。
2. ケミカルロリイタ (2008)
前回のリサイタルでも再演した、チューバとピアノのデュオ曲。「不思議の国のアリス」のテキストがチューバを通して変容していく作品。チューバは重音とペダル音を行き来します。
3. 水玉コレクション No. 5 (2010)
コンサートシリーズ「eX. 13」(この回はドナトーニ特集)に際して作曲、初演。fl, cl, tu, harp, 2vn, va, vc の八重奏。
4. 水玉コレクション No. 12 (2011)
松平敬さんとのユニット「低音デュオ」で委嘱した曲。ファルセットの連続する歌と重音の連続するチューバパート。
Apple Music でも試聴可能です。
5. イン・ザ・ミルキーウェイ (2016)
秋吉台現代音楽セミナーの委嘱で書いていただいたチューバソロ曲。スラップと声の重音が基調となる、とても静かで美しい作品。でも難易度は凄く高い。
6. 水玉コレクション No. 19 (2018)
バリトン・サクソフォン、チューバ、エレクトロニクスという異色の(とかチューバ奏者が言ってどうする)編成。東京現音計画の委嘱、初演。それぞれに長さが横棒線で表された音符群を演奏する。それぞれの配置、発音の順番で組み合わせは刻々変化していくが、「音ひとかたまりの質感」という「水玉コレクション」のコンセプトは変わらない。
7. アミューズメント (2018)
同じく東京現音計画による委嘱、初演。編成はサクソフォン、チューバ、ピアノ、パーカッション、エレクトロニクスの五重奏。パチンコホールやゲームセンターなどのアミューズメント空間を物質的なモデルとし、質感の転写が試みられた音楽。大枠としてドローンの音楽、その空間の内側に入り込んで観察する音楽。
8. Neon(ネオン) (2019)
金管五重奏曲。編成はトランペット2、ホルン、トロンボーン、チューバの標準的なもの。2019年、兵(つわもの)ブラス・クインテットにより初演。
まとめ
以上、山根明季子さんのチューバ関連のソロ曲、アンサンブル曲計8曲をご紹介しました。もしここで山根さんの作品をご存知になられた方には他の編成の作品も是非聴き進めていただきたいですし、逆にここでチューバの独奏曲や室内楽曲を知った作曲家の皆さん、もしこの楽器に興味を持たれたら大変嬉しく思います。奏法や演奏でご相談に乗れることもあるかと思います。お気軽にメールください。shinya.hashimoto@gmail.com
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