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【或る闘ひの背景】by 都築郷士
大阿闍梨の法力に依つて
お山の平和は保たれ - た、と言ふより
より戦闘的な力が トラブルの毎
増していくのだ。
彼(大阿闍梨)は上人と呼ばれてゐる、
微かな残滓 その護摩の香りが
彼を未だみ佛に連結させてゐる..
お山は自然の佛閣であり
開帳されざるみ佛は 上人、大阿闍梨が
腹のされかうべの椀に安置して..
大樂金剛不空眞實三摩耶経タイラキンカウフコウシンジサンマヤケイ(以下略)
私はピカソの「ばら色の時代」の画が
表紙のプレヴェール詩集を
讀んでゐた、が 誰招いたか
お山のストーリーを着想するに至つた。
(まだ私の脳内で、物語は完成を見てゐない。)
上人はぐつと丹田に吐息を止め
聖九文字クモンジを指にて切り
そして - 消えた、
忽然と つむじ風さへなく、
何処にでもなく!
©都築郷士
筆者近影(下膨れになつてしまつた..)。
※
エンディング、安吾の最初期ファルスを思ひ出す方もをられやう。私もそのつもりで書いた。筆者。