薬剤師の給与事情(2024年版)
はじめに
転職相談を受けていると薬剤師の給与の話が出てきます。
先日、ヤフーニュースでも薬剤師の平均給与の話が出ていました。
「平均583万円!?たかっ!!」となった人も多いのではないでしょうか。
今回は、上記記事の内容や、給与UPを狙うためにどうしたらいいのかについて書いていこうと思います。
・日本の給与状況(令和4年分)
まずは日本の給与の平均から見ていきましょう。
毎年国税庁が国民の平均値を出してくれてます。
国税庁『令和4年分 民間給与実態統計調査結果』が公表されており、
1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は458万円。(令和3年分比17万増)
所得金額階級別に世帯数の相対度数分布をみると、
「300~400万円未満」が16.5%
「400~500万円未満」が15.3%
「200~300万円未満」が14.1%
「100~200万円未満」が12.7%
と所得400万円未満の世帯が最も多くなっています。
令和2年分調査では300万円未満の世帯が最多だったため、2年前よりやや国民の給与が上がっていることがわかります。(物価高騰ばかりで実感はありませんが。。)
なお、医療・福祉職に限定すると、「300~400万円未満」が23.0%。
年収の中央値は423万円でした。
他にも正規雇用者と非正規雇用者別、男女別でも差がはっきり出てるので見てみると日本社会の現状が判ると思います。
詳細は、下記のリンクをご参照ください。
・日本の薬剤師の給料
その中で、薬剤師の給料はどうでしょうか?
資格職で守られているというイメージかとは思います。
下記の資料を見ると、
2021年の薬剤師平均年収は583.4万円となっています。
ここで注意すべきことがあります。
勤続年数に応じて給与が上がる、つまり、平均値を上げているのは15年以上勤続勤務している40代以上であるということです。
初任給の平均は393.7万円(給与32.2万円x12か月+賞与7.3万;企業規模10名以上)で、企業規模1000名に絞ると、408.4万円(給与33.5万円x12か月+賞与6.4万)となります。
・今後の薬局給与の方向性
さて、ここからは薬局の給与についてです。
今後の調剤薬局の給与は減少する可能性が高いです。
理由は、3つあります。
①薬局の売上は調剤報酬改定によって左右される(2024年度改定は調剤基本料3点増点するも、地域支援体制加算は7点減点)
②業界として調剤報酬が削減傾向(社会保障費削減は不可避)
③患者数、処方せんを増やすための努力が分かりにくい
が考えられます。
もちろん、営業や患者サービスの向上など日々の努力により、
どんな改定が加えられても打破することもできるかと思います。
ただ、最近感じているのは、
医療業界も、だんだんと一般的な企業と似つつあります。
以前は居てくれるだけで年収600万確定!みたいな薬局も多かったですが、最近そこまで羽振りの良い薬局はあまりありません。
調剤薬局でも、かかりつけの件数ノルマ、地域支援体制加算の算定(種々の項目満たすための努力が必須)、各種加算の算定などの取り組みを給与に反映している薬局が増えております。
例えば、管理薬剤師として勤務しながら地域支援体制加算を算定するために一生懸命やっている薬剤師と、そうでない薬剤師で、
薬剤師間での評価、年収に差が出てくることもあり得ます。
実際に考えてみてください。
期待通りの加算を取らない、
そもそも技術料に詳しくない、
業務に文句を言い職場の雰囲気も悪くしている、
高給取りの薬剤師は、今後も必要でしょうか?
弊社であれば、
やる気があり、
患者さんを喜ばせてくれて、
調剤技術料に詳しく、
どうやったら収益を上げられるかを真剣に考えて業務に取り組む薬剤師
と一緒に仕事したいと考えております。
前向きに業務に取り組み、地域にも貢献して、利益を上げる薬剤師は
今後も引く手あまたで給与アップも見込めると考えております。
今後は自分の給与・スキルの為に、自主的に薬局のために何かできるか考え、動いていくのかということが大事になると思います。
・今の自分にできること
では、やれることは何があるのでしょうか?
もちろん、業種によっても変わります。
大事なことは、自分のスキルの棚卸と足りないところの見極めだと思います。
この時に、足りないところが多いと嘆いてはいけません。
できている自分も認めてあげることが大事です。
足りないところを知るということは、
・他の薬剤師との差を認識すること
・他の薬剤師と差をつけるために必要なスキル
・世間の需要と自分のスキルとの差を知ること
です。
薬剤師の業界は、守られ過ぎているためライバルが圧倒的少ないため、
かなりぬるいと感じます。
業界に胡坐をかいて努力をしない薬剤師が多いです。
また、努力の方向性があっているか?も大事かと思います。
例えば、調剤薬局で薬の勉強のみを頑張っています!は
少し違うかと思います。
薬の勉強は当然必要ですが、マネージメントであったり、接客であったり、クレーム対応能力であったり、他の医療職の方とのコミュニケーションだったり、磨くべきことはいっぱいあります。
薬の勉強は一生懸命やるけど他はほぼ手付かず、みたいな薬剤師が多い印象です。
私からのアドバイスとしては、
何でもいいので薬の勉強以外に取り組んでみてください。
「薬の知識 × ○△■」と掛け算にできる領域なら、さらに自分の価値を上げることができます。
手を動かしたり足を運んだりしていれば、いろんな気づきが見えてきます。
勉強してみたけど面白くなければ別のことに取り組めばいいし、とにかく色々と触れていけば良いと思います。
その行動の差が徐々に大きくなって自分に返ってくると思います。
・最後に
今後も、薬剤師の給与はより厳しくなってくると思います。
キャリアで悩まれる方も増えてくるでしょう。
ただ、努力していれば、どこからか扉は開かれますし、
偶然の出会いが人生の方向を変えるかもしれないですし、
それらが自分の収入等にも反映されてくると思います。
今後はますます人材の優劣の差・流動性も増すかと思います。
その時に他の薬剤師に勝てる人材になれるよう共に頑張りましょう😄
お読みいただきありがとうございました。