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ハイリスク・ノーリターン

新たな挑戦によりリターンを得る行為を、ハイリスク・ハイリターンと例えられたりする。しくじりによるリスクが大きいが、そのリスクの標準偏差に見合って得られる成功の果実が大きいことが大事だ。

多くの挑戦でそれなりのリスクを伴うのは当たり前だが、すべての挑戦でリターンが伴うかと問えば、疑問符がつくものもある。それどころか、ハイリスク・ノーリターン、ハイリスク・マイナスリターンと呼べるものさえ代物さえある。

リターンが金銭的同等物に限定すれば、エベレストなどの急峻な山を、未踏ルートで制覇するような、命がけの挑戦は該当するかと思う。エベレストの未踏ルートを制覇しようが、そこに莫大な金銭的リターンを得られるかと言えば、とてもそのようには言えない。ただ、未踏ルート踏破への熱い情熱を持っている登山家は、そんな金銭的に執着しているわけではなく、ただただその山を登りきりたいという情熱がモチベーションとなっている。

また、そのような登山家のおかげで、一般のアマチュア登山家の装備品が機能的にもハイスペック化してきたのだ。彼女ら、彼らが命の危険を伴う登山を行うことにより、登山に関する新たな知見がフィードバックされ、地質面でのフロンティアのみならず、情報面からのフロンティアも開拓されるからだ。具体的には、命がけの登山で挑戦を行う方々の命をサポートするため、多くの関係者が知見を集め、登山グッズが進化されてきたのだ。

ついついタイパ、コスパでリターンばかり語りがちになるが、人は金銭的リターンだけでは、何も新たなものを生み出せないと気持ちを改めさせられる。

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