祝・結婚!高野啓斗という人間を自称親友がひも解く
作者:鷲見渉
監修:山﨑歓友
今皆さんがこの文章を読んでいるということは、啓斗と美玖さんの結婚式において、私が友人代表のスピーチを何とか終えたということでしょう。啓斗、美玖さん、ご結婚おめでとうございます。
今回のスピーチを作るにあたり、時系列順にエピソードと性格を紐付けてメモのように考えていたところ、一つの作品が出来そうな気がして、初めてnoteに投稿させて頂きました。完全なる筆者の自己満足ではありますが、新郎側は啓斗の過去を振り返る為に、新婦側は高野啓斗という人間を知る為に、御手隙の際にでもお読み頂けると大変光栄です。(注:約15分掛かります)
◯プロローグ~小学校編~
入学直後のあの微妙な距離感で会話が弾まない時期、お互いの球歴について話すことは野球界のあるあるである。我々も例に漏れない。そんな時、詳しく聞いてみると高野啓斗は「栄ホークス」出身と言うではないか。隣町だったこともあり、大会のトーナメント表でしばしば目にしていた上、筆者の嫌いなソフトバンクと同じホークスという名前である。覚えていない訳がない。しかも、小学5年生の秋の多摩学童少年野球大会で対戦していたことも判明。啓斗はファースト、筆者は三塁コーチとして出場していた。記憶が正しければ、筆者の見事な三塁コーチぶり(?)により、我が軍が勝利を収めたはずである。試合は筆者の出身中学校が会場だったこともあり、少しだけ縁を感じた入学直後の会話を今でも鮮明に覚えている。そんな10歳の頃から交流があった啓斗と筆者の関係性を元に、今日、2024年2月24日に立派な新郎となる高野啓斗という人間を紐解いていきたい。
〇第一章~高校・野球部編~
2012年4月の入学式、教室に行くと野球部しか着ない学ランを身に纏った坊主が、1つ後ろに着席した。すぐさま後ろを向いて「野球部?」と尋ねた記憶がある。日本一とも言われる文化祭に魅せられて入ってくるクラスメートが大宗を占める中、都立国立高校で野球をやりたくて入ってきたことが一目で分かり、こんな近くに分かり合える仲間がいるという安心感を覚えた。当時から今と変わらない落ち着いた雰囲気で、入学式を控えてソワソワしていた筆者とは全く異なる性格だと感じた。
そこから今に至る関係が始まる訳だが、高校時代からぴったり一緒ではないものの、何かにつけて―物理的にも精神的にも―距離が近い存在であった。主将と副将、ショートとサード、ボール係と荷物係、西東京市と武蔵野市、出席番号24と25、などなど・・・。唯一全く同じ点と言えば、出会う前からお互いに埼玉西武ライオンズファンであったことだろう。ただ、この点については第四章~社会人編~に登場するので、ここでは一旦スルーさせて頂きたい。
さて、野球部における高野啓斗はとても心強い存在だった。普段は冷静沈着な姿でチームを率いていると思えば、片や稀に見せる熱いパッションが部員たちの心を掴んでいた。その中でも啓斗に責任感が芽生えたと考えられる忘れられないエピソードがある。国立高校の野球部の主将は2年生の夏大会前に選手間投票で決まる。同学年で深い議論をしたのち、啓斗がキャプテンになると監督に報告した。筆者はじめ同期の想いは一致したと感じた瞬間であった。直後、一橋大学で行われた昭和高校との練習試合にて、啓斗は二塁ベースにスライディングをしないというボーンヘッドを犯してしまう。監督の信じられないレベルの逆鱗に触れた。我々には「今すぐキャプテンを考え直せ」との指令が出たものの、誰も何も言えないままその日が終わった。翌日以降、同期で話す場を設けたかは定かではない。ただ、「キャプテンは高野啓斗でいこう」という同期の想いは1ミリたりとも変わらず、改めて監督に直訴したことを覚えている。
最終的には啓斗がキャプテンに就任した訳だが、それ以降の啓斗はキャプテンとしての自覚と責任で溢れていた。膝が曲がらなくなっても練習試合に出続けたり、個性豊かな同期たちが千差万別なわがままを言ったとしてもスポンジのように全て吸収して、1つの指針をしっかり伝えていたり。啓斗の高校野球人生は、昭和高校戦の以前と以後に分けて語ること出来る程、野球に対する姿勢や想いが変わった瞬間であったと思う。
野球部における高野啓斗は、冷静な中に熱さを秘める、責任感の強いキャプテンであった。
〇第二章~高校・クラス編~
クラスにおける啓斗は野球部とは全く違う様相を呈す。まず圧倒的に声が小さい。お笑い好きということもあり、面白いことをよく言う啓斗ではあるが、親御さんに全てのエネルギーを取られたかのように、声が小さすぎてボケがクラス全体に聞こえないことがほとんどであった。特に入学当初は、1つ前に座る筆者に辛うじて聞こえるレベルであった(誇張表現)。最終的に、啓斗のユーモアはクラスに広まり、無事に面白いキャラとして人気を博していくことになるが、当初はボソボソ何か言ってる陰キャラ野球部であったことは間違いない。そんな啓斗が今日、周囲に声を届けられるようになり、結婚すると考えると、感動もひとしおである。
また、啓斗の高校3年間の学業面については、残念ながら特筆すべきものは無かったと記憶している(無論、同じクラスで野球部のY氏と筆者よりは出来ていたが)。というのも、周囲に異常記憶の持ち主や英語ガチ勢が存在していたことにより、少なくとも高校3年間で、啓斗の学業の長所がクラス内で輝くことは無かった。ただ、卒業してから10年以上経った今、改めて回想してみると、間違いなく予習も復習もテスト勉強もロクにしていなかった割に、常に中位に付けていたこと自体、実は優秀である片鱗を見せていたのかもしれない。
クラスの高野啓斗は、学業はほどほどに、小さい声でボケを連発して周囲をクスっと笑わせる、隠れ人気者であった。
〇第三章~大学編~
既に皆さんも知るように、最終的に啓斗は天下の東京大学に入学する。1年間の浪人期間に何が起きたのか、筆者は遠く離れた大学にいた為に知る由もないが、3年間万年中位の啓斗が2016年3月10日にあの東京大学に合格したのである。前年の受験結果を聞く限りは全くもって想像もできなかった。「東大野球部に入って六大学で活躍する」という中学時代からの目標を叶える為、一心で努力したのだろう。筆者はこの時の合格連絡ほど、他人のことで喜んだことは無い。
そんな啓斗は目標であった東大野球部にて、1年春の新人戦で早速ベンチ入り、2年春にはリーグ戦でベンチ入りを果たす。同じく国立大学の野球部に所属していたからこそ分かる、あのレベルの高い東大野球部において低学年からベンチ入りをする難しさ。啓斗は難なく乗り越えているではないか。遠くにいる筆者からは順風満帆に見えていた―。ただ、実際は故障を繰り返した影響もあり、ポジションを転々としながら、最終学年を迎えるタイミングで学生コーチとなる決断をした。それは大きな決断で、大きな痛みも伴うものであったと思う。これまでの人生の目標、いや、夢としていた舞台に立つ可能性をゼロにして、それでも何らかの方法でチームの為に貢献する道を選ぶ。並の人間では出来ない決断である。それでも会うたびに、「後輩のI君にかなりノック打ってるのに、リーグ戦でエラーしたんだよ~笑」と楽しそうに話してくれた。啓斗は思っていたより強い人間だと感じるとともに、思っていた通りにチームメート想いの人間だと、高校時代以来に再確認することが出来た。
大学生の高野啓斗は、挫折を経験しながらも人の為に努力することが出来る人間であった。
〇第四章~社会人編~
筆者が社会人となるタイミングで東京に帰ってきたこともあり、かなりの頻度で遊ぶようになった。毎年恒例ながらも全員揃わない「勇者の集い」旅行(グループ名がイタいのは高校時代の名残と言うことでご愛嬌)、急に二人でふらっと出かけた箱根横浜ドライブ、ひばりが丘のラーメン二郎、ド平日に終電後まで騒ぎ続けた新橋の「なつかしや」など、思い出は枚挙にいとまがない。ただ、その中でもお互い埼玉西武ライオンズファンという共通点があり、野球観戦は語らずにはいられない。
呼称がベルーナドームとなった西武ドームはもちろん、北からエスコンフィールドHOKKAIDO、札幌ドーム、楽天モバイルパーク宮城、森林どりスタジアム泉、県営大宮球場、ZOZOマリンスタジアム、明治神宮野球場、東京ドーム、横浜スタジアム、京セラドーム大阪、ほっともっとフィールド神戸、MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島、南郷スタジアム、その他宮崎県内キャンプ地4球場。プロ野球関連だけでも20球場弱に行っている上、WBCや大学野球、更にはイチロー対女子高校野球選抜までも行く機会があった。
そんな我々の野球観戦かつ旅行の殆どは、毎度啓斗がアレンジをしている。筆者は言われた集合場所に時間通りに行くだけで、後は指示通りに動けば野球+観光+食事を十分に楽しめる。美玖さんや家族との旅行であっても啓斗は企画することが多いようで、学生時代には見せなかった角度の頼もしさを隠し持っていたようだ。ただ、筆者は一点だけ懸念点を持っていた。我々が屋外球場に野球を観に行くと十中八九、天気が悪いのである。前述した屋外球場の中で、全く雨の心配が無かったのは広島くらい、その他の屋外球場を訪れた際は、全てどこかのタイミングで雨に降られていた。これまでは「お前が雨男だ」と筆者は啓斗に向かって言っていたが、今日の結婚式の天気を見たら、明らかに筆者が雨男だと残念ながら認めざるを得ない。今まで言い掛かりをつけて申し訳ない。
社会人の高野啓斗は、周りの人を楽しませる企画力・計画性を持つ頼りがいのある(晴れ)男である。
〇エピローグ~三人での食事会にて~
高野啓斗と言う人間に関して、既に述べた通り、多くの面を見てきたつもりであった。しかし、1月末に啓斗、美玖さん、筆者の三人で晩飯に行かせてもらった際、これまで見たことのない啓斗を見る機会があった。目じりが下がり、鼻の下が伸びきって、ハッピーに包まれた姿であった。元から穏やかで優しい人間ではあるが、その日見た啓斗は楽しそうというよりも幸せそうに見えた。なるほど、人はこうやって幸せが楽しさを上回って大人になるのか。親友としてその姿を目の当たりに出来たことが何よりも嬉しかった。
今後の人生はみな等しく何が起きるか分からないであろう。人生で事前の想定通りに進むことは2割ほどに過ぎないと聞いたこともある。それでも、啓斗の人間性と美玖さんを想う愛情があれば、二人で手と手を取って幸せな家庭を末永く築いていくことは間違いないだろう。改めて、人生で一番の親友である高野啓斗、結婚おめでとう。
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