野球脳力⑤
配球について、前回は打者目線で、前々回は捕手目線で説明しましたが、今回はその続きとして投手目線での配球について解説します。
そもそも、配球を考える目的は目標を達成する可能性を高くするためです。
よって、170km/hの速球を投げることができるのであれば、難しいことを考えペースを乱すよりも、自分の投球に集中すべきでしょう。配球を考えないことが最も勝利の可能性が高くなるなら、考える必要はありません。
しかし、現状で満足せず、もっと成長したいと考えているのであれば、やはり配球について、少しずつ考えていく必要があるでしょう。
ここで、はっきりとさせなくてはいけないのは、目的です。
この大前提が明確にできていなければ、それに合わせた配球を考えることはできません。目的地が決まっていないのに、天気予報を見ても何の意味もありません。
あなたの目的はなんでしょうか?試合に勝つこと。三振をとってスカウトにアピールすること。ライバルの打者と真っ向勝負をすること。次の試合でもマウンドに立てるように評価を上げること。
何でも良いと思います。あなたがマウンドに上がる理由に不正解はありません。周囲の要望はあるかもしれませんが、必ずしもその通りにする必要もありません。全てはあなたの決断です。間違いもありませんし、私からとやかく言う意味もありません。
そして、目的が決まったら、それを達成するための配球を考えれば良いのです。三振を狙いたいなら、三振を狙う組み立てをすれば良いと思います。1人めの打者の初球から、そのための投球をすればよいのです。ただし、1試合のトータルで奪三振数を多くしたいのなら、別に1番打者に対して必ずしも三振を取りに行く必要はありません。布石を打つことや、ランナーを出さず、セットポジションにならないようにすることなども必要かもしれません。
全てが思い通りになることなどありませんが、考えることで少しでも目標に近づくのであれば、配球を考えるしかありません。日々考え抜くことで、確実に目標に近づくはずです。
最後に、その他のプレーにも配球を考える必要がある事をお話します。その他のプレーとは走塁や守備です。例えば走塁では、盗塁時に速球か変化球かでだいぶ変わるというのは当たり前で説明するまでもないですが、打者がゴロを打つかフライを打つかや、引っ張るか流すかといった打球判断も予め推測することができます。ゴロを打ちそうだから当たった瞬間に走れなどと博打を打てと言っているのではありません。配球が分かれば、心の準備をして、確率を考え、どの程度までリスクを取るべきか判断し、実際にプレーが起こった際、瞬時に行動することができるはずです。
守備でも、味方の配球と相手打者の考えを頭の中で整理することで、守備位置を変えたり、味方同士で声を掛け合ったりするなど準備をすることができるはずです。
配球や相手の考えを完璧に読めたからと言って、そもそも投手がコントロールよく投げることができるか、相手打者が対応できるかといった様々な要素によって、予想通りの動きにならないことも多くあります。
では、予想してもほとんど外れるから意味がないのでしょうか?
そこで、もう一度目的に立ち返って考えて見てください。目的や目標を達成する為に配球を考えることがプラスになるのかマイナスになるのかと。
プラスになるなら続け、マイナスならやめれば良いのです。
今は予想が下手でマイナスであっても続けていくことでプラスになると思うなら続ければ良いでしょう。あまりにもひどいなら、考えるだけで行動には移さないというのも手かもしれません。
私の場合は練習試合程度であれば間違ってしまっても積極的に挑戦していました。チーム事情など人によって異なると思いますので、絶対にこうしろとは言いませんが、やはり実践した方が速く上達すると思います。
それでは今日も良いBaseball Lifeをお送りください。