イップスを治す③
今回はいよいよ練習法です。
各自のレベルや個人差によって合う合わないがあると思いますので、
無理せずお試し下さい。
基礎編
まずはリリースポイントを一定にする練習です。
相手と5mくらいの位置で肩幅より広めに正対して、
アンダースローでキャッチボールをする練習です。
体全体を使って投げてください。
球が山なりになるくらいの強さで、
自然とリリースされる感覚を身につけましょう。
完全なイップスの方だと、指に引っかかって暴投し、
難しいと思いますので、相手ではなくネットスローでも良いと思います。
また、相手に投げる時も10mくらいでも良いので、
できる距離から初めてみましょう。
この練習ではリリースを ”放す” のではなく、”放れる” 感覚を身に着け、
小手先ではなく、体全体で球をコントロールする意識を習得しましょう。
感覚が優れている人であれば、
この練習だけでイップスを一時的に克服できることもあります。
標準編
送球フォームを1つ習得しましょう。
これが非常に難しい話です。
基礎編ではリリースの感覚が身についたのに、
実践の送球では力を込めて球を放す人が多くいます。
ここではあえて、
送球フォームとしてサイドスローをしてみてはいかがでしょうか?
アンダースローの基礎練習と同じ感覚で体全体を使って、
勝手にリリースポイントで放たれる送球フォームを身に着けて下さい。
今までの投げ方を捨てる必要はありません。
100%の力で投げる時は、
ご自身のこれまでのフォームで投げれば良いのです。
サイドが合わない方は、
アンダーでもスリークォーターでも、なんでも構いません。
急に何十球も全力投球の練習をすると、怪我のリスクがあるので、
様子を見ながら、焦らず慎重に練習して下さい。
また、基礎練習における体全体を使う意識ができていると、
まず体が旋回し、腕が遅れて出る傾向にあります。
これ自体はイップスに影響はないのですが、
必要以上に肩や肘に負担がかかるので、体と腕を連動させ、
あまりにも腕が遅れるような事が無いように気を付けて下さい。
ちなみ私はこのせいで肩を少し痛めました。
キャッチボールの時に塁間程度の距離で、
数球練習するところから始めましょう。
1ヶ月もすれば送球専用のフォームが身について来ます。
実践編
送球専用のフォームが身についても、イップス克服とは言えません。
なぜなら2通りしか力の調整ができないからです。
最後の仕上げはステップの位置や腕の微妙な角度の変化です。
こればかりは本人にしかわかりません。
ステップを開いたりクロスステップにしたり、
サイドスローをやや下げたり上げたりして、
どんな球になるか試してみて下さい。
そして、試合での状況を想定して、
どんな送球をすべきか、理想の送球を練習してみて下さい。
近い距離で助走が付いている時に、ゆるい球を投げるにはどうするか?
左の球を取った後は?右は?前は?後ろは?
30mをワンバウンドで投げるには?
練習すべき事は無限にあります。
ただ、練習していくうちに、初めての状況でも、
だいたいこのくらいのステップと腕の角度だなと分かるようになります。
初めからノックでやると難しいので、
まずはキャチボールで前後左右に動きながら練習してみましょう。
どんな投げ方でも150km/h でて困っている方は……投手になって下さい。
最後に
冗談はさておき、ここまでのレベルになれば、
小手先ではない力の調節を身に着けていると言えます。
いつでも無限の組み合わせの投げ方の中から選択し、再現することができ、
勝手にリリースされた球が何も考えずに勝手に相手の胸辺りに行きます。
あなたができる事は、どの投げ方にするかを選択するかだけです。
真面目も不真面目も慎重さも度胸も関係ありません。
別に暴投が無くなるとは言いません。
球が汚れていたり、足元が滑ったり、投げ方の選択を間違えれば、
多少の暴投は起こりうることです。
練習不足であれば同じ投げ方で投げれず、送球がそれるかもしれません。
しかし、イップスではありません。
力の調整ができているので、失敗が連続する確率も極めて低いです。
自身がなくても迷う事がありません。
なぜなら、練習通りにやるだけだからです。
これまで、迷ったり不安に思っていたのは、練習したことが無いからです。
バッターボックスで相手がどんなに良い投手でも、
急にフォームを変えるか迷わないでしょう。
それは練習をしているからです。
最も良いと信じて練習してきた方法を急にガラッと変えて、
良い結果が得られるわけがありません。
送球も同じです。
実践編まで行い身につけた方法より良い投げ方が、
試合中に急に思いつく事はありません。
試合中に不測の事態に陥り、咄嗟の判断で、
発展的に組み合わせる事はあっても、ゼロから生み出す事はありえません。
実践編までできれば、イップスは克服といえます。
ただし、残念ながら送球に完成はありません。
打撃と同様に際限なく上を目指すしかないんです。
0.001%でもミスする可能性を減らす努力を日々続ける事になります。
ひとまずは実践編まで終了し、
「イップス克服おめでとうございます!」
と言える日を心待ちにしております。
練習法を書き終えたばかりで気が早いですか?
いえいえ、イップス克服練習法を知ったら修得までは速いですよ!
皆さんは今までただ、知らなかったから、
練習したことが無いから、できなかっただけですから。
それでは本日も良いBaseball Lifeをお送り下さい!