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イップスを治す②

前回はイップスを治す方法の要点だけを書きました。

今回はイップスをもう少し深く理解するために、
イップスとは何かをお伝えできればと思います。

敵を倒すには、敵を知る事から始めるように、
真の意味でイップスを克服するために、
イップスについて理解を深めましょう

イップスという言葉は皆さんもご存知かと思いますが、
「イップスとは何か?」と聞かれて説明できる人は少ないと思います。

皆さんの考えは以下のようなメンタル的な物でしょうか?
・緊張によって体がうまく動かない
・いつもできていることが急にできなくなる
・練習では人並みにプレーできる
・メンタルの問題
・自分はイップスではないから関係ない
・重要な場面でミスをしてしまう
・自分の投げ方がわからくなる
・送球や投球が不安(怖い)

間違いとまでは言いませんが、
どれもイップスの正しい解釈とは言えません

なにが問題かというと、イップスのトリガー課題を混同しているんです。

トリガーとは日本語で引き金のことで、
イップスが起きるきっかけのことです。

イップスのトリガーは確かにメンタル的な物が多いです。
しかし、真の課題はメンタル以外の部分にあります。

皆さんも3匹の子豚の話は知っていますよね。
トリガーは狼ですが、課題はワラや木の素材で家を作ったことです。
レンガの家を作るという課題解決をしなければ、
狼を1匹退治しても、次の狼が来てしまうのでキリがありません。

イップスも同じです。
メンタルというトリガーに対処しても、キリがありません。

それよりも真の課題を克服しなければなりません。

ちなみにメンタルトレーニングはイップスには効果が薄いですが、
スポーツには非常に有効ですので是非取り組むことをおすすめします。

また、メンタルが強いからイップスにならないと思っている方がいれば、
大きな勘違いですので、
イップスについて学んで対策することをオススメします。

さて、イップスの課題に話を戻しますが、
真の課題は何でしょうか?

ほぼ100%の方が力の調節が課題です

中には、ただボールを握る事も難しい方や、
ジストニアの方もいるかもしれません。

しかし、「いつもはプレーできる」とか「送球に不安がある」
もしくは「よくわからないけどたまに暴投する」
といったレベルの方は力の調節ができていないのです。

力の調節とは、投げ方は全力投球と同じなのに小手先の力の入れ具合で、
球速や球の軌道を制御しようとすることです。

プロの投手でも投球はめったに暴投しないのに、
1塁への送球でわざわざ1塁に駆け寄りトスをする場面をよく観るでしょう。

140km/h の球で投げても良いのであれば、
ボール一個分のコントロールができるのに、
100km/h の球を山なりに10m先に投げる練習はしていないので、
不安に思い駆け寄ってトスをするのです。

コレこそが力の調節ができていない証拠です。

コントロールが良い事や度胸があるなどのメンタル面とは無関係です。

例えばキャッチボールでは、
イップスの人でも暴投しない事がよくあります。

なぜなら、少しずつ距離を変えるからです。
「さっき」投げた球より少し強く投げることや、
少し弱く投げることは意外と簡単にできます。

しかし、実践では「さっき」がありません。
また、投げる距離や強さも大きく変わります。

余裕があり助走もついていて、140km/h の球が投げれる状況で、
15m先の相手に取りやすい山なりの球を投げる必要があります。

多くの方はキャッチボールでできていたのに、
実践でできないので、メンタルの問題だと勘違いしています。
しかし、実際には、
キャッチボールで練習していない事をやろうとしているだけです。

できなくて当たり前です。

コントロールの良し悪しも、真面目さも、
度胸もメンタルも関係ありません。

イップスではないと思っている人も、
いつかイップスになるかもしれません。

なぜなら、力の調節の問題だからです。

大事な試合の大事な場面で、
いつもは適当に送球していてイップスではなかった人が、
大事に送球しようと力を調節し、
人生初の暴投をしてしまう可能性もあります。

ここまで読んで、
イップスとは力の調節ができないことだと理解して頂けましたでしょうか?

分かってしまえば簡単なことです。

・敬遠の時に暴投してしまう投手
・2塁送球はピンポイントなのに振り逃げの1塁送球は不安定な捕手
・三遊間の深い送球は完璧なのに正面で余裕のある時に暴騰する遊撃手
・バックホームは得意なのに、カットマンに投げたがらない外野手

挙げればキリがありませんが、みんな力が調整できていないだけです。

逆に力の調整の方法さえ覚えてしまえば、
暴投の数は激減します。

プロ・アマ問わず多くの方がこの事実を知りません。

イップスとは何かを理解し練習することで、
チームで1番どころか、県内1の送球の達人にすぐになれることでしょう。

大げさに聞こえますか?

では、逆に送球の際の力の調節について今までプロや指導者、知人など、
誰でもいいので教えてくれた人はいましたか?
小耳にでも挟んだ事はありましたか?

優秀な指導者もプロも知らないんです。

もちろん、実践ではできていたのでしょう。

しっかり投げろと言うのは、小手先で調節をするなと言いたいんでしょう。
同じようにピリッと投げろとか腕を振れとか言う人もいますね。

でも、遅い球の投げ方や近い距離の投げ方は教えるのが下手です。

真面目にやれとか度胸がないと一蹴し、檄を飛ばすのみで、
建設的な指導は一切ありません。

ただし、あまり指導者を責めないであげて下さい。
指導者の方はもちろん、メジャーリーガーであっても、
イップスとは何かを教わっていませんし、
どうすれば良いかも知らないんです。

あまりマニアックな話をしても実践ではあまり役に立ちませんので、
今回はこの辺で終わります。

次回はどんな練習をすれば良いか、いくつか例を挙げたいと思います。
練習法を文字で説明するのは非常に難しいのですが、頑張ります。

分からない事、疑問、反論なんでもコメント頂けると助かります。

それでは今日も良いBaseball Lifeをお送り下さい。

前回の記事はこちら


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