Hard Hit%(ハードヒット率)はなぜ95マイル(153km/h)?
日本語での説明が意外になかったので。
ハードヒット率とは
ハードヒット率とは打球に占める打球速度95MPH(153km/h)以上の打球割合です。計算式はこのようになります。
(153km/h以上の打球数)/打球数
この指標はMLBの公式データサイト、Baseball Savantでも扱われています。
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(日本時間:2023/7/30時点)
また、最近ではSIS(Sports Info Solution)社がNPBでのHard Hit%をTwitter(X)で時々紹介してくれています。
NPB Hard-Hit Rate Leaders
— SIS_Baseball (@sis_baseball) July 24, 2023
1. Seiya Hosokawa 40%
2. Domingo Santana 40%
3. Takeya Nakamura 37%
4. Munetaka Murakami 37%
5. Tomoya Mori 36%
6. Kazuma Okamoto 36%
7. Kensuke Kondoh 36%
Next: Koki Yamaguchi, Shuta Tonosaki, 35% pic.twitter.com/PL2MW1X7fO
(今季のNPBでは中日の細川成也選手がトップを維持し続けています)
なぜ95マイル(153km/h)?
ここで疑問を持つ方がいるかもしれませんがなぜ95マイルなのでしょう。キリの良さなら100マイル(161キロ)でも良さそうです。
また速度について見たいなら平均打球速度で十分ではないかと思うかもしれません。
打球の価値は95MPHを超えると大きく上昇する
結論を言えば95マイルを超えると打球の価値が飛躍的に上昇し、逆に95マイル未満はどの速度で打っても価値に大きな違いがないためHard Hit%は重宝されます。
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上記の折れ線グラフはMLB2022を対象にした打球速度とwOBAcon(打球の得点価値のようなもの)の関係を見たものです。
100-153km/hまでは打球の価値はあまり変わりませんが、153km/hを超えると価値は大きく上昇し始めます。
そのため、打者がどの程度価値のある打球を頻度よく打ててたかを表す指標としてHard Hit%が使用されます。
Espcape Velocity
ちなみに最近ではEscape Velocityという指標があります。
Hard Hit%は価値のある打球を「頻度よく」打てていたかを出す分には良い指標です。しかし、速度だけからどれだけ価値のある打球を打てていたかを示すには不向きです。なぜなら95MPHも105MPHも同じ価値とするからです。(当然95MPHと105MPHでは打球の価値は異なります)
One of issues using a single threshold value for hard-hit, like "any batted ball 95+ mph" is it treats 95mph batted ball same as 105 or 115.
— Tangotiger 🍁 (@tangotiger) March 9, 2021
I introduced concept of Escape Velocity a few months ago, and learned for same-season, we want threshold of 88.
How about next-season? https://t.co/iHeko6i1WN pic.twitter.com/QbVnsiwEaN
Escape Velocityは打球速度88MPH(約142km/h)を超えると価値があることや選手の才能を測れることに注目しています。
Escape Velocityは88MPH未満の速度は打球を0として扱い、98MPHなら+10、108MPHなら+20、118MPHなら+30と扱います。これならHard Hit%の「95MPH以上の打球は一律して1として扱う」問題を回避できます。
Escape Velocityの平均値をとることで選手の才能レベルや速度の面から価値を推定できます。
まとめ
・ハードヒット率は打球速度95MPH(153km/h)以上の打球が占める割合
・打球速度は95MPHまで価値が低く、95MPHを超えると飛躍的に価値が上昇する。そのためハードヒットの基準として95MPHが使われる。
・ただし、打球速度95MPHを超えるなら100MPHも110MPHも同じ価値として扱うため、打球の価値を測るには不向き。
・これらの点を考慮したEscape Velocityなる指標もある。