リリース位置は左右打席別成績に影響を与えるのか。
「サイドスロー・アンダースローの投手は球の出どころが見づらく同じ利き腕の打者有利」「右投げのアンダースローの投手は左打者を苦手とする」
投法によって左右打者の有利・不利が異なるとはよく言われるところだ。
実際にリリース位置によって左右打者で有利・不利が異なるかを検証した。
上記の表は各リリース位置の右対左のxwOBAから各リリース位置の右対右のxwOBAを引き2017-2020 MLBの平均的な右対左のxwOBA(.330)から右対右のxwOBA(.315)を引いた値(0.015)を引いて各リリース位置で平均的な右対左の対戦より対左でどれだけxwOBAが上昇したかを表したものだ。
リリース位置は三塁ベース側に寄る方が、リリース高さは下がる方が対左打者不利(対右打者有利)になる傾向にある。
続いては打球の質だ。上記の表は各リリース位置の右対左のxwOBAconから各リリース位置の右対右のxwOBAconを引き2017-2020 MLBの平均的な右対左のxwOBAcon(.382)から右対右のxwOBAcon(.378)を引いた値(0.004)を引いて各リリース位置で平均的な右対左の対戦より対左でどれだけxwOBAconが上昇したかを表したものだ。
こちらもリリース位置は三塁ベース側に寄る方が、リリース高さは下がる方が対左打者不利(対右打者有利)になる傾向にある。
続いては非打球結果についてだ。上記の表は各リリース位置の右対左の非打球wOBAから各リリース位置の右対右の非打球wOBAを引き2017-2020 MLBの平均的な右対左の非打球wOBA(.221)から右対右の非打球wOBA(.184)を引いた値(0.037)を引いて各リリース位置で平均的な右対左の対戦より対左でどれだけ非打球wOBAが上昇したかを表したものだ。
こちらもリリース位置は三塁ベース側に寄る方が、リリース高さは下がる方が対左打者不利(対右打者有利)になる傾向にある。
まとめ
・右投手の場合、リリース位置は三塁側に寄る方が、リリース高さは下がる方が左打者に対して平均よりxwOBAが上昇する傾向にある。
・右投手の場合、打球、非打球どちらもリリース位置は三塁側に寄る方が、リリース高さは下がる方が左打者に対して平均より失点リスク(wOBA系指標)が上昇する傾向にある。
リリース位置はある程度、左右打者の対戦結果に影響を与えそうだ。ここまでの説明でリリース高さは下がる方が左打者に対して平均より失点リスクが上昇する傾向にあるという書き方をしたが逆を言えば対右打者に対しては平均より失点リスクを抑えることができる、ということだ。つまり右投手の場合、腕は下げればリリース位置は三塁側に寄る方が対右打者に有利になるが対左打者は不利になることを意味する、つまりトレードオフの関係にあると言うことだ。オフに対○打者に特化するためにサイドスローに転向という記事を見かけることがあるがそれは理に適っていると言えそうだ。