![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/14857693/rectangle_large_type_2_3fad86e7c6ff849bc81016fe5394d2df.jpeg?width=1200)
「ネットショップは様々な取引に繋がる無料の展示会場」(有限会社 畑漆器店)
「畑漆器店」は、1930年に手塗り職人・畑卯之松氏が創業した漆器メーカー。「木地の山中」と称される、石川県加賀市の山中温泉で、450年もの長きにわたり培われてきた「山中漆器」の木工ろくろ挽きの技術を基に製造されています。
1986年に「有限会社 畑漆器店」として法人化され、現在3代目として同社の代表取締役社長を務める畑学さんは、東京の漆器関係問屋での勤務を経て、伝統工芸に現代アレンジを加えた新ブランドシリーズ「col.」や、オンラインショップの立ち上げなど、次々と新たな展開をスタートされてきました。
同社がこのような革新をおこなってきた背景と経緯、その結果について、うかがいました。
オンライン販売に至った経緯
——新たなブランド「Col.」やネットショップを立ち上げた背景にはどのようなお気持ちがあったのでしょうか?
畑さん:私たちは長い歴史のある山中漆器の中では実は新参者でして。他の方々と同じことをやっていてもあまり意味がないですし、価格競争をしたくなかったので、「変わったことをやろう!」と思って新たなブランドを作りました。
——かなり思い切った判断だと思いますが、古い職人さんたちから反発はありませんでしたか?
畑さん:それがなかったんですよ(笑)。山中漆器は木地師・下地師・塗師・蒔絵師といった職人による分業制なのですが、山中漆器の職人は、頑固な職人というよりは、何でも新しい事にチャレンジしてくれる気概のある職人が多いんですよ。
そういう背景もあってか、各職人さんたち自身が「何か新しいこをやりたい」と思っていたところに私が新たなアイデアを出したので、うまくマッチしたんでしょうね。
——ネットショップは、問屋勤務を経て石川に戻られたあとすぐに立ち上げたのでしょうか?
畑さん:最初は大手のショッピングモールに出品していたのですが、ほとんど売れていないにも関わらず手数料がどんどん上がってきてしまいまして(笑)。
そのタイミングで一旦出品をやめて、1~2年間はネットショップには出していませんでした。
——なるほど、売上がないときにショッピングモールの固定手数料は痛手ですよね…。周りの職人さんやメーカーさんはネットショップを作られていなかったのですか?
畑さん:ここ2,3年は少しづつ自社のネットショップを持っているところも増えてきましたが、私たちがネットショップを始めた頃は本当に少なかったです。
——そんな中で、かなり早い段階からECに挑戦されていると思いますが、元々畑さん自身がシステムなどには強かったのでしょうか?
畑さん:いえ、そうでもないと思いますよ(笑)。ただ、当時販売されていたかんたんにホームページを作成できるソフトを使ってホームページを作ったりなどはやってましたけどね。
なぜ販売ツールとしてBASEをお選びいただいたのか?
——BASEはどうやって知ったのでしょうか?
畑さん:ショッピングモールでの販売をやめた後、先程申し上げたホームページに、カート機能をくっつけられないかなと模索したのですが、さすがに難しそうだなとわかって諦めました。
それで、ネットショップ専門の作成サービスを検索していたときにBASEを見つけたんです。
——他のネットショップ作成サービスと比較検討はされましたか?
畑さん:はい。最初のショッピングモールの苦い経験があったので、特に「固定費が掛からない」「手数料が安い」というサービスを入念に調べました。
——なるほど。その中で、最終的にBASEに決めた理由はどこにありましたか?
畑さん:やはり「固定費が掛からない」「手数料が安い」という部分ですね。また、デザインもすっきりしていて私の好みに合っていました。
また、決済手段もクレジットカードをはじめ色々揃っていたので、使う側からするとすごく便利だなと思ったことも大きいですね。
オンライン販売開始前の目標設定について
——具体的な目標設定や、ノルマなどはありましたか?
畑さん:特別に何か目標値は掲げなかったですね。弊社は直営店を持っていますので、直営店の売上にプラスアルファできればいいかなと思っていたぐらいです。
これは今でもそうですが、高価格帯の商品もありますので、直営店に来られた際に悩まれて最終的に購入されないお客様も多数いらっしゃいます。特に山中温泉に旅行で来られた方ですね。そういったお客様が後日「やっぱり買いたい」となったときにネットショップがあれば機会損失もなくなるかもしれないと考えていました。
——観光地ですと、確かにそういった「買い逃し」による機会損失は大きいですよね。
畑さん:そうですね。それから、逆にお店で購入されたお客様が後日、「他の商品も追加で購入したい」といった「リピート需要」にも繋がるかなと思っていました。
目標に対しての結果について
——結果としてはいかがでしたか?
畑さん:買い逃し、リピート、どちらにもネットショップという存在が貢献できていると思います。ただ売上規模としてはまだまだ頑張りたいですね。直営店や卸なども含めた総売上のうち、ネットショップの売上比率は10%以下の状態ですから。
ちなみに、2011年にリリースしたブランド「Col.」がたまたま海外のデザインサイトに掲載されて、そこからアメリカやオーストラリアなど海外からのお問い合わせが増えました。
ブランドサイトには価格とサイズしか書いていないので、より詳細な商品情報や商品画像を掲載できるネットショップがあると購買もそうですが、お問い合わせには繋がりやすいなと感じています。実際、お問い合わせはブランドサイト経由ではなく、ネットショップ経由が多いんです。
——うまくブランドサイトとネットショップが繋がっていますね。ところで、貴社は展示会にもたくさん出店されていますがどういった効果があるのでしょうか?
畑さん:ひとつは新規顧客の開拓です。ビッグサイトでおこなわれるような大きな展示会は日本中から様々なバイヤーが集まりますし、実際に国内に数店舗を有するインテリア雑貨店や、北欧の有名なテキスタイルのブランドとダブルネームの製品をリリースしたことなどに繋がっています。
また、大きな展示会に出展するということは、それがそのまま「ブランドの信用」にも繋がります。展示中にお会いする方々に対してもそうですし、後日「あの展示会に出ていた」という事実が取引の信用に通じると思っています。
運営していて気づいたBASEのいいところ
——BASEを利用してみてよかった点(活用できた機能など)はありましたか?
畑さん:運用においての各種操作が直感的と言いますか、何も考えずに使えるのは本当に助かっています。また、デザインテンプレートを色々選べるのも魅力的です。
また、先程申し上げたように弊社のブランドサイト上の商品一覧には、運用の都合上、細かい情報をほとんど書いていないので、敢えて詳細な情報をネットショップに飛ばして閲覧いただけるようにしています。画像も20枚まで載せられるので、商品画像だけでなく、「実際に使用したときのイメージ」も載せられるのが良いですね。
——畑さんは東京などでの催事出店も多いですが、その間ネットショップはどのように運用されていますか?
畑さん:催事に出店している、していないはあまり関係なくネットショップの運用ができています。
催事中でもお客様からの注文はスマホで確認できますし、発送する際に送る「発送メール」もいくつか定型文を事前に用意していてそれを選ぶだけですのでかんたんです。
商品の梱包、発送は代わりの者にお願いしていますが、注文確認~発送までの管理画面の処理については教えてますので、正直私がいなくても全てできる状態です。パソコン操作が苦手な者もいますが、かんたんに運用できるというのは、弊社のように人数の少ない会社はとても助かりますね。
今後のショップ展開・展望について
——今後の販売目標や展望を教えていただけますか?
畑さん:卸取引や海外取引が増えているのはありがたいのですが、一方で、もっと一般ユーザーとつながっていきたいと思っています。そういう意味で直接販売ができる=直接つながることができるネットショップはもっと強化していきたいですし、一般ユーザーに近い「小売店」さんとの取引も増やしていきたいですね。
また、Instagramも本腰を入れてやっていこうと思っています。以前有名人の方に弊社の製品を購入いただいてInstagramに投稿された際に、ご丁寧に弊社のアカウントをタグ付けしていただいたのですが、その後の反響がかなり大きかったので。
——なるほど。小売店の開拓にもネットショップは有効でしょうか?
畑さん:有効だと思います。ネットショップ経由で問い合わせをいただいた取引が、実は一番売上につながりやすいんです。ブランドサイトで「いいな」と思ってくれた方が、ネットショップで詳細を見てお問い合わせしてくれるので、その時点でかなり確度が高いからなんだと思います。
BASEのネットショップは「無料で出店できる上に、国内/海外など物理的な距離を越えて様々な取引に繋がる展示会場」だと思っていますので、発信をもっと強めて、ネットショップという展示会場にたくさん来ていただきたいと思います。
活用ポイント
有限会社 畑漆器店のネットショップ活用ポイントは、以下になります。
・ブランドサイトとネットショップをリレーさせることで、toC向けの購入だけでなく、toB向けの取引につなげていること
・オフラインでの見込み顧客やリピーターを、ネットショップを使ってしっかり囲い込んでいること
大型の催事・展示会等のイベントは都心部で開催されることが多く、そこから遠い地域に住む方々は出店費だけでなく、移動費や宿泊費も大きな出費となるため、結果、出店するイベントを絞ったり、諦めざるをえない場合があります。
BASEは初期費用が不要で、且つ、固定の月額費用もありません。実際に売れるまでは手数料も発生しないため、まさに畑さんのおっしゃっている「無料で出店できる上に、国内/海外など物理的な距離を越えて様々な取引に繋がる展示会場」を実現できると思います。
ぜひみなさんもBASEでのネットショップ開設をご検討してみてはいかがでしょうか?