テキスト体験のデザインの先に見えたUXライティングメソッドの未来
この記事はBASE Advent Calender 2022の23日目の記事です。
こんにちは。
Communication Design Groupデザイナーの藤井です。
プロダクトおよびLP、メール、またイベントや営業資料など、直接/間接を問わずBASEのテキストコミュニケーション全般の品質を向上させる、UXライティング/コピーライティングを担当しています。
「テキストコミュニケーションをデザインする」をキーワードに、テキスト版デザインシステムを構築・運用、あらゆるタッチポイントにおいて、ターゲット・目的・ゴールにもっとも最適化されたテキスト体験を設計、デザインしています。
テキスト入力支援ツール・textlint導入につながる、環境の整備
BASEがテキストコミュニケーション・デザインに取り組みはじめてからおよそ4年、去年(2021年)末の段階では、こんな環境の整備をおこなっていました。
→去年のAdvent Calenderでは、このようにまとめています。
テキストの入力支援ツールの選定
ツールの参照先となる「運用ガイドライン」「用語リスト」のDB化
プロダクトのトンマナ(トーン&マナー:言葉遣いのルール)を整えるためのテキスト入力支援ツールの選定、それと連携するための運用ガイドラインとして、テキストライティングの方針、対象範囲、正誤表のアップデートにより、当時テキストデザインの大半を占めていたトンマナをひたすら磨く作業の削減、品質の担保の属人化を防ぐための準備を進めました。
レビュー工数がほぼゼロ?! たった3ヶ月でtextlintが起こしてくれたマジック
そして今年(2022年)、いよいよテキスト入力支援ツールに向けての導入作業を開始。
現状のプロダクトやレビューフローとマッチするツールのメリット/デメリット、また、導入にあたってエンジニアチームにどのくらいの稼働が発生するのか、などを鑑みて、BASEでは今回はtextlintを採用することに。
エンジニアの協力を得て、ルール設定や誰でも使えるような環境の構築を進めます。
→エンジニアリングマネージャーの渋谷が、実際の導入のアプローチについてまとめています。
さて、いざ導入、運用をはじめたところ、リリース3ヶ月あまりで、思った以上に大きな成果を生んでくれました。
→BASEデザイナーブログでのレポートは、こちら。
トンマナレビューはほぼゼロ、本質的なUXライティングが作業の9割強に
テキストの「目的」「ゴール」「ターゲット」を必要に応じて再定義し、テキストをデザイン、本質的なUXライティングに取り組める時間が圧倒的に増えた
これにより、昨年から取り組んできた、「体験をデザインすること」ーーテキストのターゲット/目的/ゴールを定義し、情報の構成を設計し、マイクロコピーをライティングする、というプロセスに、さらにていねいに取り組める環境は、いよいよ現実のものとなりました。
UXライティングの本質に迫れたからこそ見えた、次の課題
ところが、運用していくうち、また新しい課題に直面したことにあらためて気付かされたのです。
組織の拡大にともなうPJの増加により、テキストレビュー/UXライティングの合計時間はそれほど変わらない
テキスト体験の設計ナレッジの共有による、プロダクトチーム全体のテキストコミュニケーション力のボトムアップが必要
textlintの導入、運用開始により、たしかに本質的な体験のデザインに多くのリソースをかけられるようになり、飛躍的にBASEのテキストコミュニケーションは向上しています。
一方、BASEのプロダクトもオーナー数、また組織が急拡大するなか、テキストデザインのレビュー担当者のリソース自体は急には増えるわけではなく、結果としてまだまだレビュアーの属人性に拠っているのもまた現実です。
では、どんなアプローチが考えられるか?
テキストをコミュニケーションに用いるBASEのすべてのメンバーに、UXライティングのもっとも本質的な部分、「相手にことばを届けるためのコツ」をシェア、活用してもらうことによる、全体的なボトムアップ、ではないでしょうか。
そしてそれは、ターゲット・目的・ゴールにもっとも最適化されたテキスト体験の設計・デザインのためのメソッド(方法論)、つまりUXライティングの本丸にほかなりません。
これから
2022年11月に10周年を迎えたBASEは、ありがたいことに、とても多くのショップオーナー様にお使いいただいているプラットフォームに成長しました。
引き続き、「好きが、売れる。」そんなプラットフォームであり続けるために。
2023年のBASEにも、どうぞご期待ください。