「お金管理ページ」の未来を考える、DESIGN SPRINTを実施しました!【前編】
BASE BANK事業のデザイナーをしている早川です。
先日、自分が所属するBASE BANKチーム内で、社内としては初の本格的なデザインスプリントを実施したので、振り返りも兼ねてここで紹介させていただきます。
初めての取り組みで試行錯誤しながらも無事開催できた経験が、同じようにデザインスプリントをやってみたいけど難しそうだな、と思っている方の参考になれば嬉しいです!
今回の記事は前編として、開催までの経緯と事前準備のプロセスについて、流れをまとめてみます。
お金管理ページとは
ネットショップ作成サービス「BASE」の中で、ネットショップ運営にまつわる「商品管理」「注文管理」などコアとなる機能はグローバルナビゲーションに導線がありすぐにアクセスできるようになっています。「お金管理ページ」もそのうちの一つ。
お金管理ページはその名の通り、ショップのお金にまつわる機能の入り口となっており、ショップの売上を確認できたり、売上を自身の口座に入金するための「振込申請」をすることができたりします。
そしてBASE BANKが提供する「YELL BANK」「BASE Card」「お急ぎ振込」の3つの機能も、このお金管理ページから利用することができるようになっています。
今回は、このお金管理ページを対象にしたデザインスプリントを実施しました。
開催のきっかけ
お金管理ページは、ショップの売上金というショップオーナーにとっても大事な情報を扱うページになりますが、このページに次々と新しい機能の導線が追加されてきた結果、ショップオーナーに対して適切な情報設計がされているとは言えない状態になってきていました。
この状況に対してデザインチームとして何かアプローチできないかなと考えていた時に、ふと、ここはデザインスプリントの使い所では・・!という考えが頭によぎり、デザインチームメンバーやマネージャーとの雑談時に話を持ちかけてみたところ、あれよあれよというまにやってみよう!の流れに。
デザインスプリントの学び直し
デザインスプリントをいざやってみよう、となったところで、改めてデザインスプリントについて勉強しないとな・・、ということで、2016年の発売当時に話題だったのに乗じて購入していたデザインスプリントの本を読み返すことから始めました。
この本を読みながら、当時担当していたプロジェクトで、これを元にやろうとしかけて結局中途半端に終わってしまったことを思い出しました・・。
この本はデザインスプリントの本としてはおそらく一番詳しく網羅的で、ビジュアルも多く各ステップでやることが丁寧に紹介されている良書なのですが、実際初めてやろうと思うと、情報量に圧倒されてどこからやるべきか・・と迷ってしまう部分もあるかもしれません。
そこで今回は、この本でデザインスプリントの大枠をおさらいしつつ、具体的な進め方は以下の2冊を参考にしました。
最初の青い表紙の本は、DESIGN SPRINTの生みの親でもあるGV(旧Google Ventures)の人が書いた実践本です。現場でどのように運用しているかが、具体的な事例(SlackやBLUE BOTTLE COFFEEなど、馴染みのあるプロダクトでのスプリント実施の事例が載っていてとてもエクサイティングです)とともに掲載されていてわかりやすく、また実践するにあたってのチェックリストの掲載もあり、自分の組織でもできそう!というイメージが湧いてきます。
2冊目の本は、U-NEXTのCXOの方が書かれた本で、青い本をオリジナルとすると、それをベースにしつつさらに実践しやすくこういう工夫をしていますという、一組織での運用事例がこちらも具体的に紹介されているので、実践のイメージがさらに明確になりました。
以上の計3冊をざっと読んだところで、実施までの道筋が見えてきたので、いよいよ準備に進みます。
事前の準備
参考にした情報としては書籍だけでなく、web上に公開されている他社さんでの実践の事例も色々と拝見していたのですが、その中でもクックパッドさんの事例はとても参考になりました。
特に、こちらの記事で紹介されている「ここ(書籍)に書かれた一連の流れを、そのままやってみることをおすすめします。」の一言が、開催までに迷っていた部分を後押ししてくれました。
自分も最初は、書籍を読みながらも「うちの状況に合わせてここはこうアレンジした方がいいかな」・・ということをついつい考えてしまっていましたが、最初の開催でやってみないとわからない部分も多いのにやり方で迷う時間がもったいなとなり、途中でいい意味で割り切って基本的には書籍の内容をトレースしていく!というつもりで準備を進めました。
書籍に、「準備編」のチェックリストがあるので、まずはそれをnotionにそのまま書き起こし、一つずつチェックを埋めていきます。
そして、これも書籍の通り、「スプリントの必需品」としてリストアップされている備品を一通り購入しました。ホワイトボードのマーカーや付箋など、既に社内にあるものも勿論ありましたが、今回のデザインスプリント用のセットとして、あらためて全て購入しました。
書籍の備品リストの最後に「ヘルシーなスナック」の項目があり、補足として「健康的なスナック、チームのエネルギーを一日中維持しよう。リンゴやバナナ、ヨーグルト、チーズ、ナッツのようなリアルフードがお勧めだ。元気を出すためにダークチョコレートやコーヒー、紅茶をとるのもいい。」と書かれています。
リアルフードというのがアメリカのベンチャーならではな印象もあり、準備の中で一つのアレンジのポイントして考えるのが楽しい部分かもしれません。
今回はチョコ(手につかない溶けにくい系のもの)やグミを色々な種類用意したのと、ドリンクはオフィス近くのタリーズのポットサービスでコーヒーを用意しました。
ちょっとしたtipsとして、このポットサービスは、コーヒーや紅茶などを大きめのポット(カップや砂糖・ミルク付き)で用意してもらえて、一日もつのでとてもおすすめです(デザインスプリント参加メンバーからもとても好評でした)。タリーズ以外でも実施しているお店が色々あるので、ぜひチェックしてみてください!
DESIGN SPRINTの実施
基本的には書籍通り、と書きましたが、どうしても状況に合わせてアレンジせざるを得なかった部分もあります。
そのうちの一つが、オフライン開催かオンライン開催か、という話です。
参考書としてあげた書籍3冊のうち2冊はコロナ前に出版されたこともあり、5日間、リアルな場に集まって開催するという前提で書かれています。(3冊目は2022年に出た本ということもあり、オンラインでのアレンジについての言及があります)
BASEは現在ハイブリッドワークスタイルを導入しているので、自分も含めそれぞれの事情でどうしても全日オフライン参加が難しい場合があります。
そのため、今回は5日間のやることの詳細を書籍で確認しながら、ここはオフラインで全員参加マスト、ここはオンラインでもいけるかも、と吟味をし、最終的にはday1,day2をオフライン、day3,day4はオフラインの場所は確保しつつもオンライン参加も可のハイブリット形式、day5は完全オンライン開催としました。
また開催場所について、通常の会議室の確保がスケジュール上難しかったため、オープンスペースの一角の会議用スペースで実施しました。
オープンな場所でやったことが結果、社内の色々な人の目に留まり、「これは何をやってるんですか?」「何か面白そうなことやってますね」と声をかけてもらったり、また事前にデザインスプリントの実施を周知していたチームメンバーも気軽に立ち寄ってくれたりもしたので、開催場所としてはある意味ちょうど良かったなと思いました。
参加メンバーについては、こちらも書籍の「最大でも7人がベスト」という記載に従い、今回はBASE BANKのデザイナー陣4人、プラス意思決定者として事業責任者と、マネージャー陣2人の計7人で実施となりました。
実際のデザインスプリントの様子については、後編の記事にて紹介させていただきます!