どんなお題でも語る＃8「ジョーズ　幻の歌詞」

『ドゥードゥン…ドゥードゥン…』

生徒会室の奥で、会長が変な呪文を唱えている。

「・・・今度はなんですか？」

『ジョーズって映画あるじゃない？スピルなんとかバーグの。』

「世界の巨匠をびっくりドンキーみたいに言わないで下さい」

『サメが近づいてきて、だんだん曲も早くなってドゥデドゥデドゥデ・・・って』

「はい」

『あれって、ドゥデドゥデの後どういう曲になるか知ってる？』

あれ？言われてみれば記憶にない。

「…それで終わりなんじゃないですか？」

『いや、盛り上げといてそれはないでしょ』

むぅ。

『ドゥードゥンはイントロだと思うの。』

「へ？」

『ジョーズのテーマには、チーズバーグが書いた幻の歌詞があるという都市伝説があるの』

「へー」

『ポテサラバーグはジョーズ公開の前年、”宇宙戦艦ヤマト”を観たことがその後SFを撮るきっかけになったと言われていて、アニメ主題歌の要素をジョーズに取り入れたくて歌詞を付けたんじゃないか？と専らの噂なの』

「なるほどー」

勿論、既に興味はない。

仮に歌詞があっても、会長は曲を最後まで知らないから当てられる訳がないのだけど、この手の妄想は会長の大好物だ。

『私はドゥデドゥデからいきなり大サビになるとみてるわ』

「はぁ…そうですか…」

『頭から盛り上がる曲となると、最初は”あー↓あー↑”ね』

「美空ひばり的な？」
『いや、クリスタルキング』

そっちかーShock。

『そこからはサメに襲われた人の心境が入るんじゃないかな』

『…よし、歌ってみよう』

「もうお好きにどうぞ」


ドゥードゥン…

ドゥードゥン…

ドゥーデドゥーデドゥーデドゥーデ

ドゥデドゥデドゥデドゥデ！！


『あー↓あー↑ たーべーらーれたぁああ♪』


「会長、パインバーグはそんなに浅くないです」

＃8「ジョーズ　幻の歌詞」完