どんなお題でも語る#9『株式会社 小市民』
暑さと共に不快指数を爆上げしていた蝉達の大半が土に還った頃、
私は焦っていた。
どこに行ったんだ、超売り手市場。
何社目の不採用か分からなくなった頃、一度何がダメか聞いてみた。
担当者は「普通すぎて決め手がない」と教えてくれた。
自覚はあった。
勉強も運動もファッションも、いくら努力しても人並みから出ることはなかった。
キラキラしたものが、私にはない。
そうか、「普通」じゃダメなんだ。
ー
ーー
ーーー
今日もまた、更新されなくなって久しい就活サイトを眺めている。
就職浪人かな・・・
そんなことも考え始めたとき、一通のオファーが届いた。
【予約不要!採用面接会】
株式会社小市民は、一般的な感覚を持つ弊社従業員へのアンケートのみで市場調査を完結させる、新しい形のマーケティング会社です。
あなたの”普通”、活かしませんか?
私の普通が役に立つ?
考えたこともなかった!
ーーー
『CEOの佐藤です』
『普通を売りにしてるのにCEOとかダメじゃん!とか言わないでね』
佐藤は笑う。
『では、お名前をお教え頂けますか?』
「はい」
「〇〇大学4年の田中ウルトラシャープエッジレディーです!」
『・・・うーん?』
普通を打破しようと試みた改名が裏目に出た。
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