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Mr.Children「in the pocket」の、リスニング直後の解釈


歌詞解釈

1番


「私」の物語である。高校生が主人公の映画だからこの「私」は高校生だと考えられる。高校生は多感な時期であり進路を考える時期だから、自分が何なのか、何をすべきなのかがわからなくなっているんだと思う。自由な雲を羨みながら、でも、好きなこと(=鍵盤)をしているときは自分だって雲のように自由になれると感じている。一方で、不安定な心をどうやって落ち着けようか悩んでいる様子が"まだ"から感じられる。

2番


この2番の歌詞が秀逸である。あえて詩の本線からそれる客観的な視点を入れることで、1番と3番、「私」と「あなた」、現在と未来、と様々なものを繋げる橋の役割をしている。桜井さんはやっぱり具体と抽象の神様だと思った。

3番


「あなた」中心の物語。"6弦"で表されるギターは、「あなた」が自由になれること。"まだ"から"ずっと"に歌詞が変わったのは、2番の"絡まった靴紐は解くのを諦めて 忘れて遊んでたら知らぬ間に解けてた"からもわかるように、心が不安定なままでも私とあなたで進み続けたいという意志を固めたから。

歌詞のまとめ


「私」と「あなた」が、思春期の葛藤のなかでもがいていて、でも自由になれることを見つけて、仲間を見つけて、葛藤から抜け出すヒントを見つけて、大人に成長していく物語なのだろうと感じた。


楽曲としての完成度が高い


今までの曲と比べて歌詞と曲の親和度が高いと感じた。歌詞も曲もいい!っていう曲は今までも数多くあるけど、それ以上に、今回は「歌詞のための曲」でも「曲のための歌詞」でもある。例えば"鍵盤の音"で実際に鍵盤が入り、"昨夜掻き鳴らした6弦の音"で掻き鳴らした6弦の音が入る。それもただ入るだけでなく、鍵盤は少ししか入れないことで自信の無さを演出し、6弦は掻き鳴らすことで自信がみなぎる様相を表現している。他にはイントロのチャイムや常に刻まれるドラムで、若々しさを表現していたりもする。Mr.Children恐るべし。


まとめ


詩の面では、「私」と「あなた」の物語で、普遍的な(ある意味抽象的な)視点である2番をサンドイッチする。こうして深みを持たせて理解しやすくしている。さらにサウンド面では、徹底的に歌詞に合わせ込む。桜井さんの作詞力やMr.Childrenの技量、情熱がとても、とても伝わってきた。私は高校生だから共感できることは多いし、そうでなくとも様々な立場の人に刺さるだろう。この曲もまた、マスターピース間違いなしである。


※アイキャッチ画像はおそらくアクアパーク品川


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