「週刊の形、紙の形」【アニメと漫画と暮らしの日記】

9月9日:土曜日(続き)

 不運にも焼きそば専門店が休業日で、自分で食事を作るしかなくなり、スーパーマーケットで食糧を買い、アパートに戻り、スパゲッティを240g茹で、たらこソースを混ぜて、たらこスパにして、胃にブチ込んだ。立川競輪の4レースを外し、5レースを外し、6レースを外した。やることがなくなって、寝床でウダウダしながらも、枕元のスピノザの『エチカ』上巻に手を伸ばし、ぐだぐだと遅読した。そうしているうちに、競馬のメインレースのお時間が近付き、まず景気づけの的中を願って、阪神9Rの特別戦をテレビで観戦したが、某騎手にジャマされて、外した。
 阪神10Rと中山10Rを外し、阪神11Rと中山11Rも外した。腰椎椎間板ヘルニア治療薬の副作用のせいか、やたら眠気がするものの、写真展の告知が届いていたので、『行かねば』という使命感から腰を上げ、美術館までたどり着く。無論、写真の鑑賞方法など知っているわけも無いが、死力を尽くし、全ての写真に眼を通す。隣で美術展がやっていたので、写真展のあとで足を運ぶ。無論、絵画の鑑賞方法など知っているわけも……と言いたいところだが、そこはかとなく見えてくるものがあり、自分でも驚く。それから例によって、図書館の入口へと吸い込まれていき、書棚と書棚のあいだを彷徨い、やがて足は音楽に関する書籍の棚の前で停まり、大学系某出版社から出た某哲学者が書いた本に、右手が自然と伸びていく。いつ役に立つかまったく分からない本だが、それゆえに読む意欲が立ちのぼってくる。図書館には閉館間際まで居た。

9月10日:日曜日

 自前のSpotifyのプレイリストを再生し、新たなるプレイリストを作成し、それから、YouTubeミュージックでクラシック音楽を聴こうとしたのだが、あまりにも眠く、根負けしてベッドに倒れ込み、ひたすら背中を預けていたら、やがて午前5時を過ぎ、慌て気味に外出の支度をし始めた。
 自由通路で、昨日の朝とは反対側のベンチに座り、ラッピング列車を見送ったあとで、岩波文庫の『プラトーノフ作品集』を読み始めたら、あっという間に時が経ち、ベーカリーの開店時刻寸前で、階下(した)に下り、焼きたてパンと淹れたてコーヒーを購入し、イートインスペースでうだうだとしつつ、時計の針がプリキュアの放映時間に近づくのを待った。

× × ×

「週刊少年サンデー」40号にて、『小さい僕の春』の休載かつ「サンデーうぇぶり」移籍が決まった。
『君と悪いことがしたい』と競っていけばいいと思っていた。勝手に『小春(こはる)』『君悪(きみわる)』と略して重ね読みしていた。そんな矢先だった。

 それと「サンデー」40号では、『トニカクカワイイ』が掲載こそされていたものの、ページ数わずか8ページ、ハヤテ完全版の作業でトニカクイソガシイのか、隔週連載の様相すら呈している。
 そういえば、同じ一ツ橋グループの「週刊少年ジャンプ」という雑誌があり、『僕のヒーローアカデミア』という連載漫画がある。『ヒロアカ』は、ついこの間「7ページしか掲載されなかった」という事態がSNSで話題になっていた。7ページ掲載以前も、休載・減ページの雨あられで名高かった漫画である。「週刊少年ジャンプ」に限ってみても、『ヒロアカ』の由々しき状態に加え、『ブラッククローバー』がついに週刊連載という形態での発表を断念するなど、界隈が「週刊連載というシステムがもう機能不全なんでは?」というような声で喧(かまびす)しい。
 ところで、「週刊少年マガジン」に『はじめの一歩』という長期連載漫画がある。このボクシング漫画、おそらくふた昔前の2000年代には既に、週に20ページ載せるべきところ、11ページ程度しか載らない事態が頻発していたと思う。現在も少ないページ数での掲載が半ば常態化しており、余ったページは頻繁に「代原」の読み切り漫画で補っている。

 さて、今回の『小さい僕の春』の件から思い立って、『トニカクカワイイ』『僕のヒーローアカデミア』『ブラッククローバー』『はじめの一歩』の危機的状況を列挙していったわけだが、もう「週イチ」というサイクルにこだわる人間はオッサンなのだろうか? 週イチメディア代表選手のテレビも、YouTubeやらdアニメストアやらNetflixやらに取って代わられようとしている。個人的には『最近、テレビが意外に面白い……』という状態なのだが、バラエティ番組などでWEBの後追いを続けている感も否めない。

 ただ、「週刊連載の機能不全」以上に、私がすごく個人的に問題視していることがある。それは、「好きで追っていた連載漫画が頻繁にWEB送りになる」ということだ。そもそもが『小さい僕の春』だってこのパターンだ。あと2つ例を挙げるならば、「週刊少年チャンピオン」で『メイカさんは押しころせない』という漫画と『もういっぽん!』という漫画が連載されていた。せっかく好きで追っていたのに、2作品とも「マンガクロス」に送られてしまったのだ。
「どうしてそんなに電子媒体で漫画を読むことに拒絶反応を?」と言われるだろうか。……ごもっとも。時代の趨勢ぐらいは理解している。だがしかし、私は漫画は紙媒体で読みたい性分なのだ。そして、紙媒体でないと漫画が読めない性分なのだ。
 理由!? 理由ですか!?
 オッサンだから、じゃないかなあ。うん。


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