ボルダリング(4)
もっと早く、本当なら一番最初に書くべきこと。今日はホールドと、その特徴、持ち方についてい語っていきましょう。
皆さん大好き、ガバ。ガバッと持てるから、ガバ?まあ、それはおいておいて、指をしっかり掛け、掴んで持つことができるホールド。これはまあ、いいでしょう!
お次はスローパー。基本、まん丸の、表面に切れ込みや鋭利な部位がない、のっぺらとしたホールド。簡単に言ってしまうと、料理で何かを混ぜるのに使用するボールってありじゃないですか?あれをひっくり返したような形状です。これ、最初の内は持ち方がよくわからないのと、同じスローパーでも3種類くらいに分かれるので、それを説明します。
まず、小さい奴。手で全部を掴めてしまうようなもの。これを持つには、全体を掴むような感じで持ちます。保持力の基本は指で掴む力とホールドの摩擦力。そのため、指先に力を込めて、すべての指でスローパーの上部を持ちます。滑るため、よく磨き、手にはチョークを付けましょう!できれば親指や小指もしっかり添えましょうね!ただし、高さ(大きさ)がない場合もあります。掌をつけにくいかもしれない。指力だけになるかも。この辺りは臨機応変で。
お次は、手から余るくらい、人の頭からバスケットボールくらいまでのサイズ。これも基本は同じで、ホールド上部を包む感じで持ちます。そして、更に巨大なもの。どれくらい巨大化というと、30㎏の米袋くらい?ただ、巨大な奴ほど、まん丸ではなくて、どこかしら窪みがあります(私が行っていた空四にはあまり巨大なスローパーはないです。逆に、荻パンにはいいスローパーがあるんですが、難易度が高すぎて触っていない)。これらは、大抵身体はホールドの真下に配置し、できるだけ壁に近づき、掌(てのひら)、手首近辺のへこんだ部分など、手全体をホールド面に接触するようにして持ちます。もちろん、親指や小指も。そして、基本は、落ちようとする力を利用すること。え?と思うでしょう?スローパーは面に圧を掛けないと持てないので、身体が落ちようとする力を利用するんです。これ重要です!だから、腕は伸びていた方がいい。ぶら下がるんです。でも、足場が高くて(足場とスローパーの距離が狭い)、腕が縮んでしまうよ、という場合もあり得ますが、その時でも腕は伸ばします。よって、足を折り曲げて乗ります。足は踏むというより、極端に言えば浮いているより、乗っているだけまし、というくらいで、足で立っている状態ではないんですね。え?足を使えって言ったじゃん、と言われそうですが、スローパーを持つ場合だけは、ともかく下に荷重を掛けないと止まりません。足場に乗り、立ち、腕を曲げてなんて状態にしたら保持できません!ただ、ここに書いたように、正面から持つ持ち方は、実はあまりないです。それは、次で説明します。
ここまで書きながら、次は違うこと書きます。上の持ち方、結構限定的。小さい奴は特に。多用されるのがラップ持ち。横から「し」の文字をひっくり返したような感じでラップ(包む)して持つ持ち方。ホールド頂点に第三関節に来るような感じで持つといいでしょう。ただ、これはホールドの真下に足場がある場合のお話で、例えば、スローパーに対して、足場が右にある場合、第三関節は右寄りになります。この時は左からラップしてあげる。右足で足場に乗ると、左上にスローパーがあるので、荷重ベクトルは左斜め下に向かう。それを止めるため、少し右側まで巻き込む感じでラップします。逆も然り。
最後がへこみ、窪みがあるスローパー。完全にまん丸ではなく、一部窪んでいるところがあるスローパーってよくあります。その時はその面(部分)を使います。というより、その面を使うよう誘導されます。もし、真上にあるなら身体は真下。右斜め上が窪んでいるなら、基本は右手(場合によっては指だけ)でその部分を持ち、荷重ベクトルは斜め左下向き。逆も然り。そして、真横が窪んでいる場合。そのへこみと反対に身体を置いて、そちらに手を引っ張る感じで持ちます。荷重ベクトルは次回お話ししましょう。
あと、もう一つだけ。スローパー保持を何度も繰り返すと前腕が疲れます。そうなるともう保持できません。その日はゆっくりお休みしましょう!
さて、お次はピンチ。基本、長い(短くてもいいけど)ホールドで、親指と残りの指を相対する面に添えて、掴んで持つホールドです。これにも、実は色々種類があります。普通は1つしか教えてくれないんですが、色々あるんですよ、これも。ピンチというか、ピンチ持ちという概念が(ホールドを超えているお話になります)。
普通のピンチって、例えば水筒や500mlのペットボトルを横から掴むイメージです。手全体で掴む感じになりますよね。普通は、これで説明終わりです。でも、ピンチって、それだけじゃないんです。奥が深い!
まず、親指と人差し指の間の水かき部分があるじゃないですか?実は、あれも使えるんですよ。掴んでから水かきをホールド面に接触させ、下にずらす。すると、水かきが引っ張られ、ここも保持力に生かせます。更にあります。手首捻(ひね)ります。これ、初心者には難しいんですが、ピンチの基本は捻りです。捻ることで余計しっかり保持できるんです。これ、たぶん一番重要です。ただ持つのではなく、捻って持つ。
そして、もう一つ。ワイドピンチ。幅広ホールドをピンチ持ちします。手が大きい人限定ですが、親指と中指の幅近くまで掴めます。この時は捻れないもしれないです。この利点は保持力の向上。欠点は手首の可動範囲が狭いこと。厚みのあるタブレットが壁についているイメージをしてください。これを使って上がろうとする場合、普通は側面に指を掛け、反対側に身体を置き、手を引っ張るようにします。使えるのは指先(関節何個かはとても重要ですけど)。その引っかかりを荷重ベクトルを生かして引っ張って保持力を作る。指先の力だけが命で、親指が使えていないです。一方、ピンチ持ちにすると、親指と他の指の握力を生かせる。タブレットの横をピンチ持ちできる人限定の持ち方ですが。保持力が増すので、一時しのぎはできます。ただ、先にも言ったように、手首の可動範囲が狭く、移動できる領域が狭くなります。一長一短ですが、使う場面もあるかと。
なお、当然のことなのですが、ピンチ形状だからと言って、必ずピンチにする必要はありません。ピンチ持ちはホールドから腕が垂直に立つ感じで持つため、どうしても体が壁から離れます。壁に身体を近づけるためには、肘を外に出し、胸を突き出す感じで張り付かなくてはいけない。また、ピンチ持ちした後、手首を動かすのが難しい。緩めれば手首の角度変えられるんですが、身体を保持しながら変えるのって難しんです。だから、一旦ピンチ持ちした後、真横に(手の長さギリギリまで)離れて移動するなんて動作は難しい。それ以前に、手の長さギリギリまで離れたい場合はピンチ持ちはNGです。これ、横向きの棒(鉄棒をイメージ)に捕まる場合(身体は下)にも当てはまります。ピンチ掴み(横棒の下部に親指を添える)すると可動範囲が限定されるため、あえて親指を外し、指4本でぶら下がることもあり得ます(後で出てくるカチ持ちに変更する方法もある)。ただ、ピンチ持ちの方が保持力は上がります。
以上、ピンチとは親指を他の指と反対面に添えて持つ持ち方で、水かきが使えるなら使え、捻れるなら捻れ、という持ち方。手首の可動範囲が狭く、限界まで遠いと使えないムーブ。敢えてピンチ形状をカチ持ちすることもある、ということだけは覚えておいてください。
次はポケットについて。読んで字のごとく、穴の開いたホールドに、指を入れて持つ奴。気を付けなければいけないのが指のケガ。力がないうちにこれを無理して持つと、指パキを起こします。指パキとは、指の腱が切れるとき、「パキッ」と音がするからと言われています。この怪我をすると、完治するのに3か月は掛かります。指だけで、フル荷重を掛けるとやらかしますから、気を付けて。基本は足で立ち、指に過度な力を掛けないように!筆者は3回もやらかしています。
それで、大抵は一本しか指が入らないことはなく、人差し指と中指、場合によっては薬指も入ることがあります。きつい場合でも、俵持ちと言って、人差し指と薬指を横並び西、中指をその上に積み上げるようにして入れることもあります。
これで最後にしようかな?最後はカチ。小さいホールドで、指の第一関節くらいまでしか掛からないホールド。指も2~4本掛けるのが精いっぱい。4本なら親切ですが、2本っていうのが結構あります。かなり負荷が高く、保持力がないと厳しいかもしれないです。
それで、これがとっても重要。どの指つかうか、親指をどうするか?です。基本は人差し指と中指。使えるなら薬指、小指と増やしていきます。それで、親指は?これが一番重要かも。親指を人差し指や中指の上にかぶせ、親指も保持で利用するんです。親指は一番力があり、疲れにくい。これを使わない手はないです。ただ、この持ち方をする時、第二関節は山なりに曲がります。要は指先を立てている状態なんです。この状態で、上から親指を人差し指や中指にかぶせます。これをやれるかやれないかで、登れる、登れないの差が出ます。うまい人は必ず親指を使っています。ただ、指は結構痛いかも。。。
なお、カチの奥行きがある場合、第二関節くらいまで指が掛けられることがあります。この時は親指は第二関節の人差し指の上に来るかと。さらにまた、第一関節だけを引っ掛け、ぶら下がることも。可動域上げるためにやむを得ず、そのようにすることもあります。
とまあ、代表的なホールドと、その持ち方を説明してきましたが、もう一つだけポイント。指が滑って保持できないよ、という状態があるかと思います。特に、小さいスローパーとか、カチとか。この時、ホールドの上の壁面に指先を添え、そこに指を押し付けながら指を引き下げてホールドまで動かして持ってください。これすると、指の皮が引っ張られた状態になります。単に上からホールドを持つと、肉と指皮に遊びがあり、動いてしまいます。引っ張って、これ以上肉と指皮がずれない、というところで保持すればしっかり持てます。まあ、これらは、追々練習してマスターしましょう!ガンバ!