ボルダリング(3)
今日はデッドポイント、いやゆるデッドという用語について書いていきたいと思います。
デッドって、読んで字のごとく、死?いやいや、違います。ボルダリング用語でいうところのデッドとは、無重力状態のような時間を作り出し、その間にホールドを取りに行くことを意味します。
ボールを上に向かって投げます。最高点に到達した時、ボールは一瞬止まったように見えます。この瞬間、無重力(ではないんですが)のようになって見えます。このタイミングをデッドポイントと呼んでいます。
(目的外なので簡単に。基本は上向きに力を掛け、ボールを上に投げます。以降、ボールには外部から力は加わらない。初速Vで上に上がり始めたボールは、重力加速度が下向きに掛かっているので徐々に速度が低下する。頂点では速度がゼロ。その後、下向きに徐々に加速していく。この頂点部分は、決して無重力ではなく、単に上向きの速度から下向きの速度への変化点でしかなく、この間もずっと重力加速度は下向きに掛かり続けている。しかも一定。なので、本当は無重力でもなんでもなく、単に速度が上から下に変わる変化点)
これを仮想的に作り出す。その方法はいくつかありますが、筆者が使うのはそんなに沢山ありません。
一つ目は腰を壁に着け、両手で持ったホールドに対して、上体を後ろに反らします。そして、頭(上半身)を壁に急激に近づけます。それを急激に止める。その止めた瞬間がデッドポイントで、ここで片手を外して、次のホールドを取りに行きます。こういった無重力状態っぽいところで次のホールドを取りに行くことを、デッドに取る、と呼んでいます。これを、何もせずに取りに行くとどうなるかというと、落下したり、壁から離れようとする力を、新規ホールドを掴むと同時に支えなくてはいけない。掴みやすいホールドなら何とかなりますが、そうでないと止まりません。こういったホールドって、スタティック(静的)に取りに行かないといけないんですが、どうしてもできない場合にデッドを使います。
もう一つは、上がりながら取ること。一回沈み、起き上がりがてら取ることです。ただ、行き過ぎると落ちます。飛び上がって(足がホールドから離れる)取る時は、最高到達点で取るよう調整します。これもデッドの一つです。
最後は足振り。片足を上下に振り、振り上げた足に合わせて飛び上がります。そして、上がった最高点で取るやり方。
色々出ては来ますが、一番覚えておくといいのは、上体を反らして取るデッドです。これ、多用できます(いいか悪いかは別にして)。それこそ、ありとあらゆることはデッドで取れます。これを練習するにはどうしたらいいかというと、簡単な課題に対して、片手だけで登る練習です。これをしている人を見たことありますか?あれは全部デッド。体に覚えさせるには、この練習、結構いいです。例えば右手だけで登るとします。手も、足もしっかりしたガバで構いません。右手を取り、足を上げる。一段上のホールドを再び右手で取る場合、何もせずに取ろうとすると、落ちようとする力と、身体を保持する両方を右手で支えなくてはいけないのですが、デッドにすると落ちようとする力がかからない(そのような状態、一見無重力に見える瞬間だが、結局は落下する速度がゼロになっているだけの状態)から、身体を保持するだけの力で済みます。だから取りやすいんです。飛びつきは筆者には語れません。それはいずれ。ということで、今日はここまで。ガンバ!