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エヌビディアの株価高騰に乗じる安全な投資法These Funds Made Heady Gains. Thank Nvidia.第2四半期に大幅に値上がりしたファンドに注目

エヌビディア株を組み入れたファンドがアウトパフォーム


米AI(人工知能)半導体大手のエヌビディア<NVDA>の時価総額は2024年第2四半期に3兆ドルを超えた。過去3カ月間および1年間の株価上昇率はそれぞれ37%、約200%に達した。エヌビディア株を組み入れたファンドを運営するファンドマネジャーにとって、目下の問題は、エヌビディアの株価急騰がバブルか否かである。

第2四半期のファンドのリターンを比較すると、エヌビディアなどのAI関連銘柄への資産配分を回避していたファンドやアンダーウエートとしていたファンドの大半はアンダーパフォームし、逆にオーバーウエートとしていたファンドがアウトパフォームしたことが分かる。

銘柄別にみると、ミューチュアルファンドの中で第2四半期のパフォーマンスが最も良好だったのは、エヌビディアをはじめとする半導体株へのエクスポージャーに対するレバレッジを2.5倍としている(基準価額の変動幅が元の投資対象の2.5倍になるようにデリバティブ取引を使って運用している)プロファンズ・セミコンダクター・ウルトラセクター<SMPIX>だった(第2四半期は31%上昇、年初来では108%上昇)。最近のエヌビディアの株価上昇に鑑みれば、これは当然の結果である。一方、上場投資信託(ETF)で第2四半期のパフォーマンスが最も良好だったのは、エヌビディアへのレバレッジを2倍としているディレクション・デーリーNVDAブル2倍シェアーズ<NVDU>だった(第2四半期は69%上昇、年初来では300%超上昇)。


DHIRAJ SINGH/BLOOMBERG

エヌビディア株への資産配分比率がパフォーマンスを左右

著名なファンドにおけるエヌビディアへの資産配分をみると、配分を増やしたファンドもあれば減らしたファンドもある。モーニングスターによると、バランスファンドであるバンガード・ウェリントン・ファンド<VWELX>(資産総額1110億ドル)は今年3月に初めてエヌビディア株を保有した。資産配分比率は1.5%だが、資産を分散させているために保有上位10銘柄に属する。バンガード・ウェリントンの株式部分を管理するダニエル・ポーゼン氏は、従来のバリュー重視の戦略からの脱却に努めている。

一方、ティーロウ・プライス・キャピタル・アプリシエーション・ファンド<PRWCX>は24年第1四半期にエヌビディアへの資産配分を26%削減した。昨年12月に発行された最新の年次報告書の中でファンドマネジャーのデビッド・ジルー氏は次のように述べている。「現在、当ファンドはエヌビディア株を保有しているが、この株式がもたらす可能性のある投資成果の範囲は極めて幅広い。われわれの見解では、これからAIの波に乗る上で、エヌビディア株の保有はリスクを勘案した最良の手段ではない」。ジルー氏は、競合他社がエヌビディアの利益率を削ることを懸念している。同ファンドが直近で開示したエヌビディアへの資産配分比率は1.9%。ティーロウ・プライス・キャピタル・アプリシエーション・ファンドの年初来の値上がり率は7.1%と同じカテゴリの平均水準を上回っているが、バンガード・ウェリントンの8.2%を下回っている。

AIブームの最大の受益者は「大型グロース株」

分散株式ファンドにおけるAIブームの最大の受益者は、第2四半期に平均で4.9%、年初来で同17.6%上昇している大型グロース株のカテゴリ(カテゴリ分類はモーニングスターによる)だ。このカテゴリでパフォーマンスが最も良好だったのはミューチュアルファンドのHCMタクティカル・グロース・ファンドだ<HCMGX>(11.6%上昇)。ただし、経費率が2.63%と高く、ナスダック100指数の日次変動率に高い倍率で連動する投資成果を目指すプロシェアーズ・ウルトラQQQ<TQQQ>などのETFを利用して株式エクスポージャーにレバレッジを利かせることが多い。大半の投資家にとってはリスクが過度に高く割高だ。

より興味深いファンドが、第2四半期のリターンが10.4%だったフィデリティOTCポートフォリオ<FOCPX>(資産総額320億ドル)だ。エヌビディアに対する資産配分比率が4月30日時点の8.7%から5月31日時点に10.8%へ引き上げられた。この比率は、ナスダック100指数に連動するインベスコQQQトラスト<QQQ>(資産総額2850億ドル)におけるエヌビディアへの資産配分比率(7.9%)を上回っている。フィデリティOTCは、長期的にインベスコQQQトラストと張り合える数少ない大型グロース株ファンドの一つだ。年初来の値上がり率は24.9%で、インベスコQQQトラストの17.3%を上回っているが、10年間の年率換算リターンは17.9%で、インベスコQQQの18.7%を下回っている。

資産配分比率が高い割安なグロースETFがお勧め

フィデリティOTCよりも魅力的と思われるのが、ラージ・ブレンドのカテゴリに分類されているバンガード・プライムキャップ・ファンド<VPMCX>(資産総額760億ドル)だ。エヌビディアへの資産配分比率は1.8%にすぎないが、糖尿病治療薬オゼンピックにより株価が急上昇しているイーライリリー<LLY>への配分比率が12.7%と高いため、このところのパフォーマンスは好調だ。

バンガード・プライムキャップ・ファンドは、フィデリティOTCと同様、魅力的な長期ファンドとなっているが、リターンはインベスコQQQトラストを下回っている。モーニングスターによると、プライムキャップ・ファンドの過去1年間の資金流出額は35億ドルに上る。

エヌビディア株を選好する投資家であれば、エヌビディアに対するエクスポージャーはインベスコQQQトラストを保有するだけで十分かもしれない。他にも、iシェアーズ・ラッセル・トップ200グロース<IWY>(エヌビディアへの資産配分比率は11.9%)や、より多様な銘柄を保有するバンガード・グロース<VUG>(同10.6%)といった他の割安なグロースETFも選択肢に入る。

投資家はエヌビディア株式を直接購入することもできるが、一つの銘柄に恋をしてはいけないというのは、米金融業界のプロフェッショナルがよく口にする警句の一つだ。おそらく投資家もエヌビディア株にほれ込むべきではない。他にも好調なファンド・カテゴリーがあるが、エヌビディアのような銘柄に対する分散投資先としては、公益事業株ほど適したものはないと考えられる。

原文 By Lewis Braham
(Source: Dow Jones)
翻訳 エグゼトラスト株式会社

この記事は「バロンズ・ダイジェスト」で公開されている無料記事を転載したものです。