バレル率(barrel %)って何?
0.introduction
前回の記事でもお話しした通り、自分は野球観が少し捻くれているなと感じる事が多いです。
日本に根強く残るバント主義が嫌いな反面、セイバーメトリクスを一通り見てきてもいまいち腑に落ちない事もあり。
そんな中で出会ったのが「barrel %」と言う指標で、自分はこの指標にハマってしまいました。
自分がnoteを始めるにあたって、名前を何にしようか考えていた時「barrel」が1番最初に思い浮かびました。
何故なら、前回の記事でも話した通りbarrel %が好きだからです。今後自分の野球観を語るのに欠かせない指標だと思っています。
今回は、自分のあやふやな野球観を文字に起こして、自分自身でも理解するような内容になると思います。最後まで読んでいただけると嬉しいです。
1.バレル率(barrel %)とは?
barrel %は「打球角度」と「打球速度」の関係を表す指標です。
大前提として、barrel %は「バレルゾーン」と呼ばれる角度に打球が入った時に長打になる確率が高くなると言う指標です。
打球速度が158キロ以上で26°〜30°の領域が始めてバレルゾーンと呼ばれ、以降打球速度が上がるにつれて拡大していき187キロに到達すると8°〜50°にまでなります。
(参考 https://full-count.jp/2021/02/01/post1076885/)
つまり、打球速度が上がれば上がるほど長打になる確率も上がって行くと言う事なんです。また、barrel %が高い選手は打球が上がりやすいと言い換える事もできます。
この指標はMLBでは当たり前に用いられていて、フライボール革命はbarrel %の普及と共に認知されたものなんです。
2.barrel %の魅力
単刀直入に、打球の質を数値化している指標なので魅力的です。
日本で用いられている打率などは、詰まったポテンヒットや守備のポジショニングなどの内容が反映され難くなっています。
FIPなどもありますが、自分はアウトになった打球にも評価すべき点があると考えます。
守備位置の穴を突いた狙い撃ちなどもありますが、基本的に質の良い打球が評価されるので打者の持つ能力を推し量る上で、打率より信頼があります。
だから、この指標が好きなんです。
そして何より、得点が無条件で入るホームランは野球にとって正義です。barrel %が高いほど長打になりやすい訳ですから、当然ホームランにもなりやすい打球を放っている事になります。
また、OPSとも強い相関性があります。
基本的にOPSは出塁型の選手より長打型の選手の方が伸びやすい傾向にあります。
(出塁しても出塁率しか上がりませんが、長打を打てば出塁率と長打率両方上がるので上がりやすいですよね。)
barrel %が高い選手は長打を打つ確率が高いと言う訳ですから、結果的にOPS上昇している事が多いです。
3.2番最強打者は半分賛成で半分反対
しかし、自分はbarrel %がいくら好きでも完全バレル主義にはなれていません。その理由を今からお話ししようと思います。
数年前の中日ドラゴンズで実際にあった話です。
その日は1番京田、2番大島の並びでした。大島選手は打てる選手ですし、中日もついに2番最強打者を取り入れたか。なんて思って見てました。
初回に1番京田選手が出塁して、大島選手が回って来たところで出たサインは送りバント
正直言ってブチギレましたよ。それ以来自分は若いイニングでの送りバントアレルギーになってしまった訳ですが。
⭐︎ここからは1番打者の出塁能力も問われる話が続きますが、出塁した前提で話を進めます。
もし自分が監督なら、2番打者にダブルプレーを回避する能力を求めます。
野球はアウトカウントのスポーツですから、ダブルプレーで2つ一気にアウトを失う事はなるべく避けたい訳です。
ダブルプレーを回避する方法は2種類あります。一つ目に、走力がある事です。足が速ければダブルプレーが回避できるのはわかりやすいですよね。
二つ目に、打球角度が上がる事です。ゴロを打たなければダブルプレーになりずらいです。
これは、「barrel %が高い選手」とも言い換える事が可能ですね。
barrel %はOPSと相関性がある訳ですから、barrel %が高い選手は強打者と言える訳です。
2番が最強打者なのではなく、2番に打球角度を求めた時に最強打者になったと言うのが自然です。
ここで何か引っ掛かる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「barrel %が高い=打球速度が速いということは正面を突いたゴロはゲッツーになりやすいのでは?」
間違いありません。しかし打球速度が速い=バレルゾーンが広いという意味ですから、次の打席以降に期待が持てます。
打球速度が速いゲッツーは正直結果論です。それを加味した上での指標なので、+αで走力でのゲッツー回避も欲しい訳なんです。
要するに「脳死で2番に良い打者を置けばいい」と言うわけではないという事を伝えたいんです。
barrel %に囚われすぎると、本来の「ゲッツー回避」の目的を見失って走力を疎かにしてしまいます。それだけは避けたいです。
結論、自分はbarrel %と走力をある程度両方持ち合わせている選手が2番打者に向いていると考えます。(左打者であると尚良い)
以上のことから、理想の2番打者を1人上げるとすれば大谷翔平選手です。
また自分の応援する千葉ロッテではマーティン、角中選手を挙げたいと思います。
マーティンはMLB時代、barrel %が高い事で評価されていました。角中選手は2024年開幕時までで387打席連続無併殺を記録しています。2人ともある程度の走力はありますし、2番に適任だと思います。
4.barrel %はなぜ日本で流行しないのか
自分は2点あると考えます。
1点目は、設備問題です。NPBのチーム単位ではトラックマンやホークアイが導入されており、打球角度や打球速度が分かりますから、現場レベルではbarrel %はほぼ確実に用いられてると思います。
しかし球場単位で考えると、東京ドームやPayPayドームからの中継で打球角度や打球速度にお目にかかる事ができますが、他の球場からの中継でそのようなデータを見た事はありません。
(少し事案は異なりますが、平良海馬選手が自身のYouTubeチャンネルで、球場の球速表示とトラックマンの球速表示に違いがある事を述べています。つまり球団側が収集しているデータは球場収集とは別で、報道サイドに渡されていないと言う形になります。)
このように、設備の壁はあると思います。
2点目は、日本の古くからの転がせ文化が払拭できていない事もあると思います。
アストロズの影響でフライボール革命がトレンドに上がり出した頃、野球界では賛否両論が起こったのを覚えています。
今でもだいぶ払拭されてきたとは思いますが、OPSが最近定着してきたことを考えると打球角度が定着するのはまだもう少し先なのかな、と思っています。
5.まとめ
barrel %は結果論ではなく、打球の質を評価する事で他との区別をつけています。
また、2番最強打者理論とも紐付けてbarrel %が全てではない事もご理解頂けたかなと思います。
よく野球解説者が「〜は何でもできるから2番に置きたい」と言っていますが、彼らが思う何でもできる選手とは送りバントができてかつ打てる選手を言っていると思います。(打てるならバントさせるな)
私が考える何でもできる2番打者は打球角度が上がってかつ走れる選手です。
拙い文面ではありましたが、ここまでbarrel %の魅力をお伝えしてきました。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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