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Flesh and Bloodを半年遊んでみた感想

挨拶

みやむーと言います。様々なTCGを15年以上プレイしているしがないカードゲーマーです。霧隠の秘境からFABを始めてCCをよくプレイしています。

今回は最近俺がハマっているTCG、Flesh and Bloodについて知らない人も分かるように話しつつ、遊んできた感想等を書きたいなと思っています。

尚、投げ銭用に有料設定していますがこの記事は全文無料です。

Flesh and Bloodの好きな所

独特且つ斬新なゲーム性

他の記事でもFabの特徴として真っ先に挙げられる所ですが、Fabは既存のTCGに無い独特なルール、ゲーム内容となっています。

どこがTCGとして特殊なのか、と言えば色々あると思うので思いつく限り挙げます。

①基本的に盤面に何かを出すゲームではない
Fabは他の一般的なTCGと違い、クリーチャーやユニット、モンスター等を呼び出して手駒として戦うTCGではありません。盤面には基本的に自分の味方や置物等を出す事は無く、あくまでヒーロー同士の1:1の戦いとなっています。(一部のヒーロー等、例外はありますが原則出さないです)デッキに入っているカードは自分の操る手駒となるカードではなく、基本的にはヒーローが繰り出す技や攻撃等しか入っていません。毎ターン行われるのはクリーチャー等による戦闘ではなく、ヒーローが繰り出す技とそれに対する防御等のやり取りのみです。ある意味TCGにおける原始回帰を見ているような気持ちになりますが、これが逆に斬新なゲーム性を生み出していると言えます。

②最初が一番強く、後半になればなる程ボロボロになっていく
従来のTCGでは、ターンを経るごとにお互いのプレイヤーのリソースが増えていき、終盤になるにつれて1つ1つのアクションが強くなっていきます。これはゲームをシーソーゲームにしやすく、ゲーム終盤の逆転を演出しやすいメリットがあると思っていて、広く様々なTCGで採用されています。

Fabはそれとは一線を画すゲームです。人間同士の決闘を再現するゲームとしてデザインされているFabは、ゲーム開始時の状態がお互いに最も強い状態となっています。装備品も全て装備していて、攻撃アクションも沢山デッキにあります。これは疲れも無ければ装備も無傷の状態の、戦闘開始直後の人間を再現しています。

ゲームが長引くとプレイヤーはお互いに少しずつ弱くなっていきます。装備品は使ってしまい無くなるか弱くなっていき、デッキもピッチに使ったカード以外は無くなっていって弱いデッキになっていきます。決闘が進むにつれてお互いに疲労が溜まり、着ている服等もボロボロになっていくわけです。そうした中で最後の力を振り絞り、相手にトドメを刺すのを狙うのが、Fabの一つの醍醐味と言えます。

こうしたゲームデザインはゲーム終盤での逆転が許されず、シーソーゲームのような駆け引きを演出しにくいというデメリットがあると思っています。大きな一撃によって大逆転を実現する事はあまり無く、1ターン1ターンの僅かな差の蓄積が最終的なゲームの勝敗に繋がるというゲーム性です。しかし、逆に言えば、1ターン目からクライマックスとも言える攻防が始まり、ゲーム上退屈なタイミングが無いという利点もあります。少なくない他のTCGにおいて、ゲーム序盤に土地やリソースを置くだけの退屈なターンがあったのを考えると、ここは大きな魅力と言えます。

③通常1枚のカードに複数の役割がある
Fabでは1枚のカードに標準的には攻撃値、防御値、リソースの3つの要素が書かれており、1枚のカードが攻撃にも防御にも行動をする為のリソースにもなります。これにより土地等のリソースにしかならないカードが存在せず、手札事故によって一方的なゲーム展開になることが避けられています。また、1枚のカードに設定されるパラメーターが多いのでカードの調整がし易いというメリットもあると思います。同じ名前のカードでもパラメーターの割り振りを調整して赤、黄、青と作れるのもその一つでしょう。

④ターンの開始時に1枚ドローするのではなく、ターンの終わりに沢山引く
Fabではターンの終わりにヒーローの知性分の枚数になるようにカードを引きます。知性は通常4なので、毎ターン4枚になるように補充されます。この性質により、手札はどんどん使い切った方が基本的にはアドバンテージの面では有効で、手札というリソースをお互いに削り合うようなゲーム性ではありません。これにより、お互いに毎回カード4枚をいかに有効に使えるかを競う、独特なゲーム性が生まれています。

西洋風ファンタジー的なアートワーク

個人的にFabの好きな所に、西洋風ファンタジー的な世界観で描かれるアートワークがあります。様々な次元が登場するので、中には日本等をモチーフにしているものもありますが、全体としては硬派なファンタジー風のイラストが多いです。国産のアニメや漫画、ゲームのようなイラストが好きな人も多いとは思いますが、Fabのようなイラストが刺さる層も一定数いると思っています。

リビングレジェンドシステム

TCGの運営において避けては通れないのが、古いカードへの対処です。古いカードがずっと強く、使用可能なままであり続けるTCGは新しいカードが販売できないので、何かしら対処しなければいけません。いわゆるレギュレーション落ちで古いカードを使用不能にしたり、インフレによって少しずつカードを強くすることで新しいカードに塗り替えたりします。あるいは禁止制限を定期的に実施し、強すぎるデッキを順次規制しつつ運営するなんて方法も有ります。

Fabは禁止制限に加え、変則的なレギュレーション落ちに近いシステムを採用しています。リビングレジェンドシステムは、1人のヒーローが競技イベントで結果を残す度にポイントが貯まっていき、一定量の閾値を超えたら使用不能になるルールです。このルールはかなり画期的でよく考えられたシステムだと思っています。

これにより過去の強力なヒーローは一定期間が経つといずれ使えなくなります。禁止制限等と違い、ある日突然使っているヒーローが禁止になってしまうことは無く、ある程度予兆を見る事が出来ますし、環境にいるヒーローが少しずつ変わっていくことで、レギュレーション落ちと同様に環境を新鮮に保つ事が可能です。

競技プレイ環境が整備されている

個人的には大きなポイントです。

プロクエストと呼ばれる店舗予選、大型の世界大会であるプロツアー、世界選手権に加えオープン制の大型大会であるコーリングやバトルハーデン等、組織化プレイと呼ばれる競技的な大会が充実しているのがFabの大きな特長です。MTGでも使われた標語"Play the Game, See the World"をFabも受け継いでいる通り、競技プレイを通して海外大会を楽しむ事も可能となっています。MTG等で競技TCGを楽しんできた層の需要にはガッチリとハマる条件だと思います。

英語の学習に繋がる

FabのTCGとしての特徴とはちょっとズレますが書いておきます。

Fabはプレイするに当たり、英語の語学能力がそれなりに要求されるTCGであると思っています。現在に至るまで日本語化されていないカードがかなりの数存在していますし、プレイヤーに外国人も多いです。FabraryやTalishar等の便利なサイトも英語です。仮に自分が日本語版のカードしか使っていなくても、対戦相手は普通に英語版を使ってきたりします。似たような絵柄のカードが沢山存在する上に、知らないヒーローの知らないカード等も多いので逐一確認できないと厳しいです。これらの事情から、日本語のみでFabをプレイするのは結構大変だと思っています。

これは英語の語学力がある程度要求されるという点で、Fabの参入障壁を上げているというデメリットにもなっていますが、逆にTCGを通して英語を学べるという側面もあると思っています。ルールやカードプールが世界共通のTCGであり、ある程度の語学力があれば海外の資料を読んだり配信等を見たりして情報を集める事も出来る為、個人的には必ずしもデメリットではないと考えています。

Flesh and Bloodの改善してほしい所

全体的にユーザー目線の参入障壁が高い

FabというTCGの最も大きな気になる点はここだと思います。

ユーザー目線の参入障壁が高い理由、一つ目はカードの単価が高いことです。国産TCGと異なり、コレクション用のカードだけ高いというTCGではなく、通常のプレイ用のカードも高額なものが幾つも存在します。カードが高単価になってしまう理由は複数あり、①単純にパックの単価が他のTCGより高いこと、②海外産TCGであり日本から見れば輸入品な為、どうしても今の円が弱い日本では割高になってしまうこと、③そもそも日本市場にカードの流通量が足りていない事等が考えられます。いずれにせよFabはかなりお金がかかるTCGであり、日本で現在流通しているTCGではMTGを抜いて最もお金がかかるものになっていると言ってもいいのではないかと思っています。

また、一部の高額汎用カードが存在するのもお金がかかるという意味での参入障壁を押し上げています。Fabはどのクラスでも使えるジェネリック(共通)のカードがありますが、どのヒーロー、どのクラスでも使えるが故に強力且つ汎用性が高いものは高額になりがちです。

《Command and Conquer》等の一部の攻撃アクションや《Fyendal’s Spring Tunic》のような装備品は汎用性が高く、どのヒーローでも使用に値するので需要が他のカードに比べとても高いです。これらのカードは実質的にFabでの必須カードとなっていますが、市場に供給される量が少なく、中古市場でとても高額で取引されています。

こうしたカードの存在はFabを始めるに当たり高い参入障壁の1つになっていると思っています。理想的には、これらのカードがプレイヤーに行き渡りやすいように再録等を通して供給を増やすのが良いのではないかと考えています。その点「The Hunted」において《Command and Conquer》が再録されているのは良い試みだと思います。

話を戻すと、勿論こうしたカードを買わなくても良く、カジュアルに遊べば良いという考え方もあるとは思います。しかし、このゲームはコアな遊び方をしているユーザーが多数を占めると思っていることや、Commoner等の低価格なフォーマットはシンプルにユーザーが少なすぎるというのがあります。BlitzはCCに比べれば必要な初期投資が少なくて済みますが、結局アーモリー等の公認大会に出るならこうした必須カードを使わないと勝負にならないようなところがあります。思うに、Fabはアーモリー等で最低限戦えるようなレベルに持っていくまでに必要な経費がかなり高いのです。

参入障壁が高いと感じる理由は他にもあります。

上述した通り、Fabは現実的には、遊ぶのにある程度の英語の語学力が要求されるという点です。これは上で英語を学べるというメリットとして書きましたが、日本人は英語が苦手な人が多いのでやはりデメリット、及びFabに対する参入障壁の1つにはなってしまうのかなと思います。英語を学ぶ動機とするメリットも勿論あるでしょうが、敷居の高さを感じさせてしまうポイントではあるでしょう。

また、まだ日本市場に本格的に参入してから日が浅く、発展途上のTCGという点も一つ気にしておきたいポイントです。簡単に言えば、長期に亘って運営してきた他のTCGに比べてFabは遊ぶ場所があまり整理されていません。大会等も都市部でも他のTCGに比べかなり開催が限られています。

Fabはこうした敷居の高さを抱えているので、現状は年齢層が高くコアな一部のユーザーのみが遊ぶゲームになっていると思っています。将来的にユーザーをもっと増やしていきたいなら、参入障壁の高さを和らげていってほしいなと思います。

ヒーローごとのカードプールの差

個人的にゲームバランス上の問題としてあると思っている問題の1つがこれです。

Fab歴代最強ヒーローと謳われた《Bravo, Star of the Show》は大地、稲妻、氷の3タレントを使いこなすヒーローでした。その強さにはヒーローの能力が強力であること以上に、クラス専用カード+3タレント分の豊富なカードプールから選りすぐりのカードをデッキに採用できることが理由としてありました。

Fabでは1ヒーローにおけるカードプールの量が一定ではありません。タレントを持っているヒーローは持っていないヒーローよりカードプールが広くなるので、ヒーローごとに使えるカードプールはまちまちになっているのです。使えるカードプールの量はそのヒーローの強さに直結しますから、タレントを持たないヒーローはどうしてもあまり強くないヒーローになってしまいがちです。

事実、リビングレジェンドに到達したヒーローの一覧を見ると、明らかにタレントを持っていないヒーローが少ないのが分かります。リビングレジェンドに到達しているヒーローはタレントを持ち、カードプールが広いヒーローばかりです。これはFabのゲームバランス上あまり良くない事だと個人的には考えていて、特に《Bravo, Star of the Show》のような明らかに使用可能カードプールが広すぎるヒーローは今後出さない方が良いと考えています。

リビングレジェンドシステムの裏側

リビングレジェンドシステムはよくできたシステムですが、その裏側で少し気になっている部分があります。

それは強い共通カードはリビングレジェンドシステムの対象外であることです。《Fyendal’s Spring Tunic》《Crown of Providence》や《Balance of Justice》のような装備品や《Command and Conquer》のような攻撃アクション、《Sink Below》や《Fate Foreseen》といった防御リアクションが、それぞれ汎用性が高い必須カードの扱いを受けています。

これらのカードはリビングレジェンドシステムではローテーションしていかないので、禁止カードにならない限り使えることになります。これらのような装備品がカードプールに増えていくと将来的に共通のカードが変わり映えのしない様相を呈する可能性があります。現在でも最強の胴装備が《Fyendal's Spring Tunic》になっていて他のクラス専用の胴装備を駆逐しているのが見られる所にその片鱗を感じないでしょうか。

個人的には強力なカードを共通で出すのは極力避けて、何かしらのクラスやタレント専用でデザインする方が間違いは無いのではないかと思っています。

また、リビングレジェンドシステムの裏側という意味では、共通のカードやクラスごとのカードなどは通常のローテーション落ちのようなシステムが無くどんどんカードプールに溜まっていくので、カードパワーのインフレという面で見るとパワーレベルの上昇はFabがサービス開始して以降ずっと続いています。強いヒーロー自体はリビングレジェンドシステムである程度抑え込むことが出来ますが、共通のカードプールに納まるカードによるインフレは止められていません。これらも長期的な視点で見ると問題になる可能性があります。

現状LSSはこの問題には禁止制限を用いて対処する方針のようで、幾つかの強力な共通のカードが禁止になっています。これはこれで対処法の1つだとは思いますが、あまりにも目に余るカードしか対処できないような気がしています。

最後に

俺はこのFlesh and Bloodというゲームが大好きです。今後このゲームが更に楽しくエキサイティングなゲームとして発展していくことを心から願っています。

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