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お葬式の遺影と想像・創造力

5年ほど前に母親が亡くなったのですが、その時の話。
お葬式の時に故人の遺影を作るのはご存知だと思います。

先に逝った父親の葬式は写真を渡しそれをシンプルに引き延すだけでした。
母親の時は、背景・額縁・衣装・リボンの色、好きな物を決めて生前の写真を渡すとお通夜までにコラージュができあがるといった内容でした。

このテンプレートの種類が非常に多かったのです。
服の種類も色や柄、洋装・和装と20種類以上、背景写真も何十種類、リボンの種類・・・。
うちには嫁いだ妹が一人いて、旦那さんと葬式の準備のために来ておりました。最初はその妹夫婦がデザインを選んでいたのですが、中々決まらない様子でうんうん唸ってる。

日常からデザインなどをやってる人なら、種類も沢山あって自由に選びやすいと思った事と思います。
そんな大層な事じゃなくとも、ワードなどで画像を組み合わせたり、今はスマホなどでも服を着せ変えたり背景を変えるアプリは沢山あります。

しかし選択肢が多いせいでどれを選べば良いかわからなくなっている。
困って私に聞いてきたので、ちゃっちゃっと秒で選んでやると、妹夫婦の目が点になりました。

義弟が大層驚いて聞いてきた。
「こういうのって、出来上がりが想像できるのですか?」
そうか。私達は普通に頭に浮かぶ物ですが、普通の人はこういった時、できあがりの想像がつかないんだ。

慣れてない人はむしろ、顔の部分だけ差し替える方が想像しやすいのかもしれません。デザイン系の仕事なんて、そこから先の作業、どうやって想像する形に近づけていけるかの方が何百倍も手間暇かかる訳ですが。

できあがった遺影は親戚一同にも非常に好評で、元々兄妹仲は悪かったのですが、初めて尊敬の目で見られたんじゃないだろうか(笑)

想像力と言うと、漠然とした妄想のような物を思い浮かべますが、日常のいろんな所で想像力の限界ってありますね。
知らない事、知識にない事はそもそも想像すらできないのです。

社会問題のニュースなど見ていても、たとえば介護問題にしろ騒音問題にしろ、実際に体験した事がない人ほど自分の想像の範疇で物事を決めつけて、誰かを悪者にして叩く。もう少し落ち着いて想像してみませんか。

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