セクハラ野郎を昇進させるテレビ局
伝説の社会部記者と呼ばれたその男は、事あるごとに大声で部下を叱責し、対外的な“示威行為”には余念がなく、はっきり言って私は鼻もちならない恥知らずだと思っていた。その後、彼は社会部記者からニュース番組のプロデューサーへと昇進を果たし、恫喝の場を、サブへと移した。連日、インカムで割れんばかりに声を張り上げ、ふんぞり返るその姿は醜悪そのものであったが、被虐待症候群とでもいうべきなのか、彼に罵倒される事を甘んじて受け入れる人間もいて、しばらく彼は番組のナンバー2として大手を振るって局内を歩く日々が続いていた。転機となったのは、TBSの元ワシントン支局長だった男が、伊藤詩織さんにレイプされた告発した頃であっただろうか。メディアにおけるセクハラへの風当たりが強くなっていた時期に、その男は忽然と番組から姿を消した。異動の理由もなにもなく、彼は一時、閑職に追いやられた。しかし、現場にいた人間からすれば理由は一目瞭然であった。ヤツのセクハラの牙は常に弱いものに向いていた。昨日今日、業界に入ってきたばかりの制作会社のADで、容姿の良い女性は、必ずといっていいほど標的になった。飲みの席で、体をまさぐられ、断ればお得意の恫喝。まさにクズ中のクズだが、謹慎とも言える期間はわずか2年で終わった。そして、謹慎明けの彼に用意されたポストに社内の人間の多くは驚かされた。なんと営業局の“部次長待遇”に収まったのだ。当然、この男に営業経験などあるはずがない。というか、キャリア関係なしに、重度のセクハラが発覚した場合、まともな上場企業では、懲戒解雇に相当するであろう。しかし、彼は結局、今日も部次長として、何事もなかったように出社している。世に解き放たれたシリアルキラーとはこういう感じなのかもしれない。”ならず者”とは何食わぬ顔をする者である。とにかく問われるべきは、こんな輩を昇進させた経営側の判断である。告発した女性ADは、被害実態を克明に話すのもかなりの精神的な苦痛が伴ったはずだ。何より保障の無い立場で告発するのには相当な覚悟が必要だったであろう。それにも関わらず、この仕打ちである。被害にあった女性ADは可哀そうなことに退職を余儀なくされたそうだ。しかし、天網恢恢疎にして漏らさず…私はこの男には今一度、天罰が下り、経営もその”対価”を支払うことになると信じている。時代はいまセクハラには相当に敏感だ。これを書いている中で、ゲーム界の巨人「Activision Blizzard」でのセクハラ問題が騒がれているが、上場企業のセクハラは、必ず時代が的にかけると思っている。もしそう無らなかったら?その時は、死期が早まるばかりだ。行くも地獄、引くも地獄。セクハラパワハラに漬かり切ったオワコン会社の未来は、どう転ぼうと地獄。これがリアルだ。