絵空事 番外編
あくまでも絵空事です。
事例の2つは一部に事実が入った作り話です。
あくまでも架空の人物として、お読みください。
2024年では、特別養護老人ホームは満床。入所が何ヶ月先か、何年先になるか、順番待ちをしていても、その日を誰も予測できない異常事態です。
そんな特別養護老人ホームにも、実は空室が少しあります。
その部屋は、やむに止まれぬ事情で短期間だけの利用をする方のために空けてあるのです。
それが、ショートステイという制度です。
ショートステイの、やむに止まれぬ事情というのは、介護家族の病気での入院や旅行などの理由で、一時的に自宅での生活が困難になる方が短期間の利用をすると定義されています。
しかし例外的に自宅での生活が困難な方に対して、ショートステイの延長を続ける事が可能です。
これをロングショートと呼んでいます。
1.一人暮らしの高齢者が、自宅で転倒して骨折、入院治療を受けたが、治療終了後に段差だらけの自宅に戻っても、再度の転倒が予想される。
2.同居家族がいても、認知症状からの「何でこんな所でいるのか、家に帰る」と昼夜を問わずに外へ出てしまい、家族のみならず、ご近所の方まで、その方をご自宅に連れ帰る事態が常態化した時。
自宅を新築した場合に、認知症の方には、旧宅が「家」となります。
認知症が進むと、自分の年齢も不確かになる場合もあります。
子供の頃に住んでいた家に帰ろうとする事もあります。
毎日何回も旧宅を目指して自宅を出て行ってしまう事があります。
この状態が起き続けると、家族も、時に、「家」を探して尋ねてくる高齢者に対応するご近所の方まで、精神的に参ってしまいます。
満床の特別養護老人ホームの順番待ちをしますが、毎日の対応に介護疲労が溜まって来ます。
ケアマネジャーは、どこでいても、旧宅を探して出て行こうとするなら、ご本人の安全第一、いつ出て行ってしまうかわからないご家族の不安解消のため、ショートステイ利用を勧めます。
施設内で、家に帰ろうとする状態は変わらなくとも、対応するのは24時間交代で勤務する介護職員です。
「家」に帰りたいとの訴えを聞いても、「お茶してから帰りましょうか」など、手を替え品を替え、対応します。それで、ご本人の気持ちが済めば、対応成功❗️
適度な運動をして、夜に睡眠を取って頂ければ、ご本人の健康には良いのかもしれません。
一方で、家族としても、介護疲れ、ご近所への謝罪対応から解放されて、ショートステイを延長できるなら、そのままの生活を続ける事を希望する場合が多いようです。
1の場合
ご本人にとっては、自分は自宅に帰る事ができないのに、何日か食堂などで知り合った方が、すぐに帰宅して行くのを見るのは悲しいことです。再度の転倒などの事故を防ぐための苦肉の策です。
2の場合
ご本人は、幻の家を探しているので、家族と暮らせない事が不満でしょうが、バリアフリーの施設での生活を続ける間に、通常家屋の生活が困難になる場合があります。
施設にはなかった、自宅の敷居に躓いて転倒、骨折する危険が出てくるのです。命を守ることを第一に考えた場合には、ロングショートも現在の状態では、仕方がないのです。
これが高齢化社会が問題視され、介護保険制度ができてから、30年程も掛かってたどり着いた日本の対策、制度だというのは、甚だお粗末であると思います。
増え続ける要介護状態の高齢者を守っているという名目すら疑わしい。
何の対策も行わなかった挙げ句の、数字合わせの絵空事。
これは絵空事。