絵空事 ある介護現場から①
かなり以前、この国の働き手のミスマッチが起きました。
建設不況で、その業界では経営者も労働者も仕事がない。
高齢化社会が進み、介護業界では働き手不足。
政治家が安置に考えた数字合わせが、「そうだ、建設業が介護事業に参入したら良い」
それが始まりの話だったのではないだろうか。
建設業の経営者が、色々と調べたのは、補助金の受取方。
介護事業への転向に際して、お役所の職員は、窓口で介護事業参入希望の経営者に様々な手続きの指南をしたであろう。
それほど介護業界は人手不足なのだ。
そもそも介護保険という制度がどうして生まれたのか、簡単に説明すれば、医療保険制度の崩壊を延命させる為だった。
核家族化で高齢者は骨折するだけで、身の回りの家事ができなくなっただけで入院する。
自宅での生活をしようにも退院しても、買い物も調理もできない。長期入院する高齢者のために、老人保健病院なるものができ、たいして治療する必要がないにも関わらず、入院患者が減る事はない。
当時の病院にとっては長期入院高齢者はドル箱だっただろう。
増える一方の高齢者が医療保険制度を圧迫していた。
病院は高度な医療を受ける患者を選ぶか、高齢者の最期を看取るかの選択をし始めた。
病院には看護師の他に看護助手なる働き手がいる。それは看護助手の仕事の後に、准看護師になる為の学校に通う学生であれば、病院経営者が安い賃金で働かせる事ができる労働者である。
そうでなくとも、シーツ交換やオムツ交換など、医療行為以外の入院患者の日常生活を支える職員は、看護師に代わる低賃金の労働者と見なされている。
そこに着目したのが政治家なのか、官僚なのかは知らない。
同じく増え続ける高齢者の日常生活を支える労働を制度化したヨーロッパの国の制度を輸入してできたのが、介護保険制度である。
介護保険制度は、医療保険制度より安価な報酬設定で、尚且つ医療保険と別枠で40歳以上の国民から介護保険料の収入がある。介護保険のサービスを受けるのは若年性アルツハイマー病など特定の疾病や障害を持つ方を除き、原則として65歳以上の高齢者となっている。
しかも医療保険と同じく年金などの収入に応じて1割から3割の自己負担がある。
医療保険制度の延命の受け皿として介護保険制度が誕生したのではなかろうか?
そうして新しい制度ができた時に介護福祉士なる国家資格が誕生したが、医師が認める場合を除き、医療行為はできない。看護助手と同じ扱いであり、介護福祉士の収入は看護師の半分程ではないかと考えて良いのではなかろうか?
介護業界が離職率が高いのは低賃金な事が理由の1つなのは言うまでもない。
建設業界からの介護事業への新規参入が始まった。