2023 信越五岳100mile振り返り(後編)
やっとこさスタート。
ごっつい長文ですが、できるだけ細かく書きました。信越五岳を目指す方の力になれば嬉しいです。
全く走らない前編はこちら。
・スタート〜荒瀬原(14km)
スタートの号砲と同時に花火が上がった。
セミナーで石川さんが「今年は花火上がりません」って言ってたのにやられたぜ‼︎
ほぼ真上に上がる花火を見ながらゲートをくぐり走り出す。
両サイドに応援の方がたくさんいてすごい雰囲気。
すぐに割と斜度のあるゲレンデを登っていくので急がずにしっかり歩く。
走り始めると暑くて汗が止まらない。
走れるところは全部走ると決めていたので緩い登りと下りは走る。
シングルトラック、ダブルトラックの走りやすい山道を通って荒瀬原へ。
計画 20:30分着(経過時間2時間)
実績 20:25分着(経過時間1時間55分)
・荒瀬原〜バンフ(5km)
ボトルに水を補充し出発。
ほぼ計画通り。
ここから斑尾山山頂までは2km400mUPの急登。オーバーペースにならないようそれなりに頑張る。目安としてはパワーウォークでゆっくりでも登り続けられるぐらい。
止まって息を整えるのは飛ばし過ぎ。
先はまだまだ長いしね。
山頂を経て下りへ。
途中のスキー場ゲレンデを九十九折りで下るところで気付いた。
「俺、下りめちゃくちゃ下手くそやん‼︎!」
だいぶ頑張ってるのに前を行くランナーに差をあけられるし、後ろからはランナーが迫ってくる。
テクニカルな下りはまるでダメ。
やっぱり山を走らなあかんなーと反省。
あまりにもヘボすぎて走りながら笑ってしまった。
ノンテクニックな自分に絶望しながらバンフに到着。
計画 21:30分着(経過時間3時間)
実績 21:14分着(経過時間2時間44分)
・バンフ〜赤池(14km)
水を補充して、クリームパン、バナナをいただいて出発。
汗が止まらない。
「夜でこれやったら日中ヤバいなー」と思いながら塩分補給の為、塩ジェルを摂取。
その瞬間、一気に吐き気がして胃がムカムカし始める。
そういや、六甲山のロング走の時も摂取して一瞬、気持ち悪くなりかけたの忘れてた。
いやー、不覚。
なんでコレを大事なレースで使ったのか今だに謎。その後は一切摂取せず。
絶不調のまま誤魔化しながら走る。お腹の調子も悪くなってきた。
まだ30kmも走ってないのにこんな状態でいけるのかと不安になる。
毛無山の下りで信越トレイルのトイレに入り、ついでに胃薬も飲む。
トイレと薬のおかげでマシになり赤池のエイドへ。
計画 0:00分着 (経過時間5時間30分)
実績 23:26分着(経過時間4時間56分)
・赤池〜アパ(19km)
ボトルに水を補充。
かぶり水もあったけど、ここではやらず。
椅子に座ったり、地面に座ったりしてるランナーが結構いた。
信越五岳100mileの中でもここからアパまではエイド間が1番長い区間。
オレンジ、バナナ、シャリ玉、コーラをいただきしっかり補給して出発。
出発するとすぐに袴岳への登りへ。
赤池から約4km200mUP。そこまでキツくない。
袴岳を経てここから約8km600mDOWN。
「下りなげぇー!」って思った覚えがある。
ここでLEDLENSER NEO10Rのバッテリーがなくなる。ずーっとHIGHモードで照らしてたしこんなもんかな?
milestone MS-i1にチェンジ。
下りが終わると関川沿いの舗装路へ。
集合住宅の廃墟群があるのをポッドキャストTRAIL DRAGONSの「関門チャンネル」で予習していたので特別ビビらずに通過できた笑”
(TRAIL DRGONSの信越五岳試走レポートはこちらからどうぞ!)
ほどなくして200段の階段に到着。
「エグい!エグい!」と呟きながら階段を登り終える。
さらに登りは続く。
ここから3.5km400mUP。息が上がって止まっているランナーがたくさんいた。
なんとかパワーウォークで登り続ける。
登りを終えるとアパのエイドまでは全部下り。
自分としては登りよりもここの下りがめちゃくちゃ辛かった。
ゲレンデの下り、スピードを出そうならいくらでも出てしまう斜度。
ブレーキをかけながら下るので前腿に疲労が蓄積していく。
何度か歩きを交えてアパのエイドに到着。
計画 3:30分着(経過時間9時間)
実績 2:31分着(経過時間8時間1分)
・アパ〜青少年自然の家(17km)
デポバッグを受け取り、冷たいおしぼりをもらってガンバフンバくんとハイタッチ。
ガンバフンバくんの手の奥に人間の手のような感触がしたのは、気のせいだと思う。
いや、きっと気のせいだ。
椅子に座り甘酒、ウィダーinゼリー、OS-1ゼリーを流し込む。
そして、氷でキンキンに冷えたきりっと果実を一気飲み。これがマジで生き返った‼︎
キャップ、インナー、ノースリーブ、靴下を着替え。
ウェアは日中の暑さを考えて黒色からグレーにチェンジ。
マグネシウムローションを足全体に塗り込み、補給食と水を補充、トイレを済ませて出発。
エイド滞在時間は24分。さっさと用意した割に遅い笑”
コース誘導のお兄さんがゼッケンを調べて名前を呼んで激励してくれた。マジでナイスガイ。
「あざーっすっ‼︎!」と自分も元気をお返し。
自分が走れているのもボラの方達のおかげ。
マジで感謝してます。
青少年自然の家までは全走りって言ってもいいぐらい走った区間。
下りのトレイルでも全然テクニカルじゃない。ノンテクニックの自分が言うから間違いないはずです。
関川沿いに出たら今度は緩い登り。
テクニカルな下りが苦手な反面、ダラダラした登り下りは延々と走り続ける事できる。
この区間で30人のランナーを抜いた。
緩く走り続けて青少年自然の家エイドに到着。
空は白み、夜が明け初めていた。
計画 6:30分着(経過時間12時間)
実績 5:02分着(経過時間10時間32分)
・自然の家〜池の平(19km)
水、バナナ、オレンジをいただいてマグネシウムローションを塗る。
ここからの区間は絶対暑くなるので予備の500mlボトルにも水を補充して出発。
水を受け付けないランナーがいてめちゃくちゃえずいてた。
ジェルのゴミを捨て忘れた。
こーゆー小さなミスなくしていきたい。
森の中を走るフカフカトレイル。明るくなって景色も相まってめちゃくちゃ気持ちいい。
でも疲労感もそれなりにあって出力は上がらない。
坪岳の登り、下りを経てゲレンデの登りへ。
ここで誘導されてる方が「暑くならないうちにできるだけ登っときましょう!!」と声を掛けてくれた。
確かにそう。ここの区間はゲレンデを登りまくるキツい区間。
日光を遮るものは何もなく日光をモロにくらう。
トボトボと歩き続ける。息を整える為に何度も立ち止まる。
ロードの下りもろくに走れないまま、またゲレンデ登りへ。
いやー、キツい。
だいぶ暑くなってきて汗が噴き出す。
30分ほど登ると泣く子も黙るチャンピオンゲレンデが見えた。
「いやいや、壁やんこれ」ブツブツ言いながらも前へ前へ。
気持ちは全く切れてない。
チャンピオンゲレンデの上部に差し掛かった時になんか芝刈り機の音みたいなのが聞こえ始める。
「ん?芝刈り?なんか上の方で誘導の方が芝刈りでもしてんのかな?」
ブイーンブイーンという音は止まずにずーっと聞こえてる。周りを見ても芝刈りしてる人なんかいない。
「カチカチ」「カチカチ」
「ブイーン」「ブイーン」
頭のすぐ後ろで聞こえた。
スズメバチや。1匹、体の周りを旋回してる。
信越はスズメバチが出るってゆーので、前もって色々調べた中で、
「カチカチ音はスズメバチ激おこなので刺激せずに逃げなさい」と書いてあるのを見た。
「逃げなさい⁉︎ココで⁉︎チャンピオンゲレンデですよココ⁉︎勘弁してくださいよぉ、、」
マジでなす術なし。蜂はずっとベタ付けで追ってくる。
とりあえずキャップから出てる襟足の部分を両手でソロっと隠す。怖い。
もし体にとまったり、羽音が急に消えたりしたらゲレンデを転がり落ちて退避しようと腹を括る。
付きまとわれてる間は不思議と体の疲れを感じずに登っていけた。
しばらくしてスズメバチは飛んでいき、事なきを得た。生きた心地がしなかったわー。
ここで蜂に付きまとわれた方いたら教えて欲しいです笑”
ゲレンデを登りきり山からの湧水で給水。
めちゃくちゃ冷たくて頭にかぶって顔を洗う。
生き返った。
ここからはほぼ下り。
しかもスキー場だから急坂。
みんなよくピョンピョン下っていけるなーと思いながら歩きを交えて下る。登りと同じぐらいキツかったです。
下り切って今度は緩い登り。
疲れで走るの無理でした。
気持ちいい森の中を抜けて池の平エイドに到着。
計画 10:30分着(経過時間16時間)
実績 8:26分着(経過時間13時間56分)
・池の平〜黒姫(13km)
腹の調子が悪くトイレへ。
水洗のウォシュレット付きの洋式トイレに一瞬、自分がレースをしている事を忘れて感動する。めちゃくちゃ綺麗だった。
トイレを出て水を補給。シャリ玉、コーラもいただいて、かぶり水を頭からかけてもらう。
「ラーメン食べますか?」とエイドの方に言われ、かんずりラーメンという味噌汁に麺と蟹の足が入ったラーメンをいただいのですが、めちゃくちゃ美味しかった。
椅子に座ってマグネシウムローションを足に塗り込もうと足を見ると赤くポツポツと蕁麻疹みたいなブツブツが両太腿の内側と両脛にできていてかゆみがある。
「虫か何かあかん植物にでも当たったんかな?でも太腿はパンツで隠れてる部分やし何やろなー。」って、不思議に思ったのですが今は治ってしまってわからないまま。
エイドを出てすぐにジェルのゴミを捨て忘れた事に気付いたけど、そのまま黒姫へ向かう。
走りやすい森の中を抜けてしばらく行くと赤いエクストレイルの横に石川さんがいました。
「ここからは機械の様に足を動かして進んでいきましょう!」と、応援してもらい、
「あざーっす‼︎!」と自分も元気を返した。
集落を抜けてボラの方に水鉄砲で水をかけてもらったりしながら、関川沿いの道へ。
川沿いを走ると右手の公園に宴会隊という私設エイドが。
ここのシソジュースがキンキンに冷えていてめちゃくちゃうまい!!!
2回おかわりさせてもらい、かぶり水を頭からかけてもらって出発。
途中にも住民の方が山の湧水をかけてくれるポイントがあってめちゃくちゃ冷たくて気持ちよかった。
トレイルの登りに入った時、110kmトップの選手に抜かれる。シングルトラックで片側は崖なので110kmの選手が来る度に止まって先行してもらう。
ほぼフラットで走りやすいトレイル。
森の中を抜けて黒姫に到着。
計画 13:00分着(経過時間18時間30分)
実績 10:59分着(経過時間16時間29分)
・黒姫〜笹ヶ峰(11km)
まずトイレへ。腹の調子は悪いまま。
水、シャリ玉、バナナ、オレンジをいただいてデポバッグを受け取る。
あまり意識せずに来たけど完走31時間の計画よりだいぶ早い。
もう100kmを超えた。これまで作った2時間の貯金を、先を急いだ疲れで借金に替えてしまってはまずいので、黒姫で貯金を使ってゆっくりめに用意する事にした。
甘酒、inゼリー、OS-1ゼリー、キンキンに冷えたきりっと果実を飲む。この先もジェルだけでいけそうだったので用意した固形物は置いていった。
インナー、ノースリーブ、靴下を替える。
汗でずっと足が濡れた状態で靴も濡れていたので予備のtopo ultraventure2にチェンジ。
足裏が結構ふやけていて右足の裏は縦に割れかけていて、爪へのダメージもあり中指と薬指は真っ黒になっていた。
足裏にガーニーグーを塗り込んでしばらく乾燥させる。
補給食を入れ替えて出発。
エイド滞在は35分。ガッツリ休憩できたので調子は良さそう。残り60km走り切れるようにうまく投資できた。
花が満開のゲレンデを登り、林道に入る。
この林道。そのまんまONTAKEです。
デジャヴ。砂利道。緩い登りが続く。
この区間のタイムを削ろうと思ったらこの林道を走れるか走れないかでだいぶ変わります。
後半に巻き返そうとしても岩場の下り、激登りありでなかなか厳しいです。
疲労からなかなか走れず歩きを交えながら進んでいく。
5kmほどの林道が終わってから岩場のテクニカルな下り。苦手なヤツ。案の定、後ろからのランナーに抜かされてすぐ見えなくなる。
下り切ると吊り橋へ。まあまあ揺れます。
渡り切ると九十九折りの急登。だいぶキツかった。
森の中のフラットなトレイルを抜けて笹ヶ峰へ到着。
計画 15:00分着(経過時間20時間30分)
実績 13:42分着(経過時間19時間12分)
・笹ヶ峰〜西登山道(10km)
トイレへダッシュ。和式で屈んだ瞬間、右太腿が攣りかける。
水を補給してカレーをいただいた。
美味しくておかわり。結構、辛口。
食べたらコムレケアゼリーを摂取して出発。
ダラダラしない。
牧場の中を走っていく。
足は動かなくても腕はしっかり振って前へ。
そうすると足も動き出すのはONTAKEで確認済。
キャンプ場の横を抜ける時に子どもたちが応援してくれていた。自分も元気にリアクションする。
ダムの急階段を登ってトレイルへ。
走れるシングルトラックのトレイル。後ろから来る110kmの選手に先行してもらいながら西登山道ウォーターステーションへ。
計画 17:00分着(経過時間22時間30分)
実績 15:40分着(経過時間21時間10分)
・西登山道〜大橋林道(6km)
ここは水のみのエイド。水を補給して登山道に向かった瞬間に雨が降ってきた。ゲリラ豪雨の様に雨足が強くなる。
急いでレインウェアを着て樹林帯の登山道へ逃げ込む。
森のおかげで体に当たる雨はだいぶマシ。
登りは暑くて蒸れる。レインウェアのチャックを全開にして進んでいく。
雨は弱まらずトレイルは川の様になってる。
もうどこに足をつけても一緒。
ドロドロのマッドウォータースライダー化していて靴も濡れまくって足裏のダメージが増加。
「簡単に100mile完走させてくれんよなー」
雷もドッカンドッカン鳴っていてレースが中止にならない事を願いながら下っていく。
大橋林道手前で1時間近く降った雨は止んだ。
足裏の痛みを我慢しながらも走って大橋林道エイドに到着。
計画 18:30分着(経過時間24時間)
実績 17:11分着(経過時間22時間41分)
・大橋林道〜戸隠(13km)
救護の方に正露丸ないですかと尋ねるも持っていないみたい。さっきの豪雨でお腹の調子崩す人が多いみたいで水分を摂りすぎず、塩分を摂るようにとアドバイスをいただく。あと、貼るカイロももらったので、ドラえもんの4次元ポケットみたいにお腹に貼る。
休憩所には毛布に包まってストーブに当たっている方が4名いた。
パタゴニアプロビジョンスープを3杯、シャリ玉6個、野沢菜3つ、塩バナナを2つ食べる。
トイレを済ませて、水と片方のボトルに麦茶を満タンにして戸隠エイドへ出発。
牧場の横、有刺鉄線が張り巡らされた道を行く。また雨が降ってきても良いようにレインウェアをザックのストラップに引っ掛けて走っていたけど、有刺鉄線でレインウェアが破れたら絶対泣くのでザックに仕舞う。そのついでにヘッドライトも取り出す。
キャンプ場の脇を通るとBBQの良い匂い。
くぅぅー。お肉1枚いただいていいですか⁉︎
トレイルはほぼフラット。雨で濡れた木道が滑りそうで怖いけど大丈夫。
遅いなりにしっかりと走る。
すっかり陽も落ちて森の中は真っ暗。行く先に戸隠エイドの光が見える。
距離は140kmを超え、ここから自分の経験した事のない距離に突入していく。
計画 21:00分着(経過時間26時間30分)
実績 19:38分着(経過時間25時間08分)
・戸隠〜飯綱林道(10km)
戸隠のエイドではそばを食べに来たと言ってもいいほど楽しみにしてた。
そばは3杯いただきました。いやー、美味しかった。その後はトイレへ行き、水を補充。
シャリ玉、オレンジ、バナナもいただき用意の為に腰をおろす。
LEDLENSER NEO10Rの電池を入れ替えて、コムレケアゼリーを摂取。
計画ではここからゴールまで4時間30分。とりあえず完走は大丈夫そう。
でも欲を出してはダメ。
初めてやし完走タイムなんかどうでもいい。
「遅くても前へ。」
自分に言い聞かせてエイドを出た。
信越五岳のラスボスといわれる瑪瑙山へ向かって続く登り。森の中を4kmほど進むとゲレンデを登って山頂へ向かう。
当然ながら雨や風を遮る物は何もない。
もしここで豪雨や強風になったら、、
しかも夜。みるみるうちに体温を奪われて行動不能になる可能性がある。
残り20km。
それだけは避けたい。
ガスが濃くなってきた。
山頂を経て折り返しゲレンデを下る。
結構な斜度で前腿に疲労が溜まっていく。
足早に下って森の中へ。
トレイル脇に綺麗な水が流れていて110kmのランナーが靴を履いたままじゃぶじゃぶ泥だらけの靴を洗ってた。
「それ、いいっすね‼︎!」
目をキラキラさせた僕はそのまま入水。泥だらけの靴が綺麗になった事と引き換えに、せっかく乾きかけた足裏は悪化の一途を辿ります。
もうドあほうですよ。判断力の欠如。
汚れよりも乾きを優先する事を胸に刻んでトレイルランニング人生を謳歌すると決めました。
いよいよ最後のエイド、飯綱林道入口に辿り着いた。
計画 23:30分着(経過時間29時間00分)
実績 22:36分着(経過時間28時間06分)
・飯綱林道〜ゴール(12km)
エイドに着いた時の恒例行事であるトイレへ。
ここのエイドは飲み物だけとなっていたがシャリ玉と野沢菜があったので遠慮なく4ついただいた。
ミルクティーが体に染み渡る。
ボラの方に「こっから胃朝整えてラストいきましょう‼︎!」と鷲掴みでMAGMA5つもらう。
水、麦茶をボトルに補充してエイドを出た。
足はまだ残ってる。でも問題は足裏のダメージ。右足親指の裏に確実になんかいますレベルのマメがある。尖った石が足裏を針のように突き刺してくる。
ふと下を見ると地面の石に全てにアニメのキャラが描いてあるのに気付いた。ピカチュウ、クレヨンしんちゃん、ドラゴンボールやら自分が今まで見てきた色んなアニメキャラが描いていてしかも石の中で動いてる。
まぁ、30時間以上起きているので幻覚も見るでしょう。
レース中に眠気は全く感じなかった。
真っ暗な林道で犬の散歩をしている人とすれ違った。
これもたぶん幻覚。こんな夜中に林道でライトも持たずにありえない。
林道が終わり残り2kmを切ったところでまた犬の散歩をしている人が前から来た。
いや、犬じゃない。
カバだ。
小さいカバを散歩させている‼︎しかもめちゃくちゃ巨人。
180cmある自分より遥かに大きい。
喪黒福造だ。
カバを散歩させた2m50cmぐらいある笑うセールスマンの喪黒福造とすれ違った。
ありえない状況に目を覚ますように大声を出して笑った。
周りに人がいなくてよかったです。
喪黒福造とすれ違ってすぐに森を抜けたところからゴール地点の光が見えた。
まだ遠いゴール地点から自分のゼッケンと名前が呼ばれる。
「ホンマに自分が作ったザックで100mile完走できるんや、、」
背負い心地も使い勝手も最高だった。
今まで使ってきたどんなザックよりも。
160kmの間、背中にべったり張り付いて自分の体の一部となり支えてくれた。
「ありがとう。これは自分なりの労いだよ」
ペーサーと手を繋ぐようにザックを右手に握りしめてゴールテープを突き上げた。
計画 01:30分着(経過時間31時間00分)
実績 00:55分着(経過時間30時間25分)
・ゴール後
一瞬ゴール会場をうろついて持っていたボディーシートで体を拭いてとりあえず車に戻るため斑尾高原ホテル行きのバスへ。
車内でゴールできた事を妻にLINEで報告。
バスが途中コンビニに寄ってくれるシステムはすごいありがたい。固まった足を引き摺ってゾンビのようにお茶とおにぎり4つとアイスクリーム2つを買った。
30分ほどで斑尾高原ホテルに到着。
駐車場までが無茶苦茶遠く感じる。
車に戻って気絶するように寝た。ではなく、目が冴えて寝れない。
足の裏には小さいスーパーボールぐらいの水ぶくれができてた。
とりあえず全身をボディーシートで体を拭いてから着替えて、ゴール地点のyoutubeライブを見る。
制限時間1分前でもゴールする人が多くいた。
10秒前。
暗闇の向こうに斜面を下るヘッドライトの光が見える。全員ここを目指してきた。
直前でゴールテープが下げられたゲートをくぐる選手を見てられない。
画面越しとはいえ自分はどういう顔をすればいいんだ?
youtubeを消して眠りについた。
6時30分頃に起きた。お腹の調子がまだ悪くて斑尾高原ホテルのトイレへ。
大浴場があったのでフロントの方に入浴できるか聞いてみると、「できますよー。通常1000円ですが選手は400円で利用可能です。」
えー⁉︎この情報知らん人多くないですか⁉︎
しかも6時から入浴可能。9時からやってる赤倉の入浴姿勢を利用する予定だったので、宿泊必須ではないカテゴリーの方にはぜひお知らせしたい情報です!
入浴後、家族と電話。長女にもらったお守りを失くしてしまい、その事を長女に伝えた。
「そっかぁ。でもお守りがパパの身代わりになってくれたんちゃう?」
娘よ。この世に生まれて9年でそんな言葉が出るのかい??自慢の娘です。ありがとう。いつも明るい家族に支えられています。
飯山市内のドラッグストアで正露丸を買って表彰式会場へ。
完走のバックルをいただいて兵庫県の自宅へ向かいました。
・レースを振り返って
まず良かった点を。
・胃腸トラブルがなかった。
気持ち悪くなって走れなくなったりした事は今まで1度もないです。100mileレースでも最後までバクバク食べれた。胃腸にダメージが出るほど攻めた走りをできていないのかも知れません笑”
・眠くならなかった。
仕事柄、夜勤とかやっている関係かも知れませんが眠気には強いと思います。今回のレースでもカフェインは一切摂らず。一日普通に生活して夜に仕事、朝帰ってきて走りに行くっていう「眠くても走る練習」を何回かした効果もあるかもしれません。
・緩いタイムチャートが良かった
このおかげで時間の余裕が心の余裕に繋がりました。いい意味で自己分析できてませんでした笑”
・「やめたい」「無理」と思わなかった。
トラブルがなかったせいかネガティブな考えにはならず。14時間切りに挑戦したONTAKEの方がよっぽど辛かった。
・ジョグり続ける練習が合っていた。
心拍を上げるハァハァ系の練習はせず、しっかりジョグり長時間動き続ける練習がバッチっと信越五岳にはハマった感じがします。
・暑さには強いかも。
毎年、4月ぐらいから熱中症で搬送される人がいるような職場で働いているので暑さには慣れています。入社当時は「夏はバテるからクーラーをかけて寝るな」と言われました。昭和の香りがしますね。詳しくは書きませんので直接聞いてください笑”
改善すべき点
・トレイルを走るテクニック不足
圧倒的なテクニック不足を感じました。特に下り。これは山でひたすら練習するしかありません。
・エイドワークの遅さ
これも練習ですね。何かしら工夫が必要です。全てのデポバッグに着替えを入れておく必要はないかな?
・靴下の選定
日頃使っている靴下を使ったのですが、100mileとなれば話は別。汗でずっと濡れた状態だったので、自分の発汗量に合ったもっと薄い靴下にすべきでした。
・ファーストエイドキットの充実
救護の方に「正露丸ありますか?」と尋ねてる時点でダメですね。これも経験不足です。長時間行動した時の自分の体調の変化を考えて持っていく必要があると思いました。
まぁ、何はともあれ完走できたので120点です。
自分で作ったザックで100mile完走するという目標も達成できました。
来年も信越五岳に出ますか?と聞かれれば、即答で「出ます」と答えます。クリック合戦に勝てばですが笑”
冒頭にも載せましたがこの記事が誰かの力になれば嬉しいです。
自分ももう少し強くなれるように頑張ります。
読んでいただいてありがとうございました。