2023 ONTAKE100K 振り返り
初めましてどうも。かめかずです。
2022年に引き続き、今年もONTAKE100Kに参加させてもらったので、忘れないうちに備忘録として残していきたいと思います。
・自己紹介
兵庫県在住。30代後半。2児の父。あごヒゲ。
座右の銘は「教わるより学べ」です。
だいたい兵庫というと、
「神戸っすか?」
「六甲とか走ってます?」
と聞かれる事が多いのですが、六甲も走った事なければ、神戸市民でもありません。
走り始めたのは2021年頃。
体重が80kgを超えて、コレじゃいかんと走り始めました。
と、言いつつ月間の走行距離は80km程度。
そのクセ、
「俺、トレイルランナーやし、ちっと50kmぐらい走ってくるわ!」
と、妻に高らかに宣言して家を飛び出し、30kmで泣きながら電車で帰宅したのは今となっては良い思い出です。
コツコツとランニングを続けてMAX82kgあった体重は68kgぐらいまで落ち、「痩せる」という目標を達成したので、この軽いボディのままトレランの大会にでも出てみようかなと探して見つけたのが、
2022 ONTAKE100
巷では「走る坐禅」と言われ、眺望もないガレた林道をゆる登り、ゆる下りしながら黙々と走る修行系トレイルランニングのレースです。
カテゴリーは
・100km(制限時間20時間)
・100mile(制限時間24時間)
の2つ。
100kmに参加条件はないですが100mileには「過去に100kmで14時間以内に完走した人」が参加条件になっています。
クリック合戦に競り勝ち100kmへエントリーできたのですが、初のトレランレースが100km。
フルマラソンどころかハーフマラソンも走った事がない。
しかし、僕には何のエビデンスにも基づかない謎の自信がありました。
「たぶん150km/月ぐらい走ってたら100kmのレースは完走できると思うねん」
そうほざいてたあの頃の自分を引っ叩きたいです。
どこ情報よそれ。
なんとか2022年のONTAKE 100kmは完走。
順位は出走1084名中、512位。
タイムは17:31:21
(目標タイムは16時間でしたが無惨に散りました。)
前日の睡眠不足&長時間の運転からか、レース終盤は幻覚、幻聴の嵐。
木立の中にあるはずのないマンションが見えたり、林道脇に転がった岩が丸まった三毛猫に見えたり、川の音が口喧嘩してるおじいさんとおばあさんの声に聞こえたりと普段、体験する事のない現象がたくさんありました。
ゴール直後は自分史上最高の達成感を感じたのですが、日を追う毎に増してくる後悔。
「なんで走り続けられへんかったんや、、」
「もっと練習すればよかった、、」
ONTAKEでの悔しさはONTAKEでしか晴らすしかない。
2022年の経験を生かすべく、2023年もエントリーする事にしました。
・2023 ONTAKEまで
相変わらず月間走行距離は150kmぐらいの低空飛行。
練習内容はひたすらジョグ+休日にちょろっとトレイル。
とにかくトレイルランニングの経験値を上げるべく大会にも参加。
・10月 FORESTRAIL HIRUZEN-SHINJO 67km(出走105名中、54位 13:27:46)
・12月 KYOTO GREAT ROUND 130km
(出走128名中、70位 29:52:15)
リザルトを見てもまぁまぁ中の下ぐらい。
とにかく完走する事が目標。
フルマラソンの大会にも参加。
・12月 加古川マラソン 3:51:25
・2月 姫路城マラソン 3:27:14
これ以降大会への参加はせず、ONTAKEへの下地作りの良い期間だと思いコツコツと練習を重ねていきました。
4月に下の子が小学校へ入学した事もあり、練習量が増加。メニューはこんな感じ。
平日 ロード5km+近所の緑地公園グルグル8km〜15km(150mの坂ダッシュ×周回) D+150〜350m
休日 ロングジョグ 30km〜50km or トレイル15km D+1600m
これの繰り返し。
直近3ヶ月の練習量は
4月216km D+5036m
5月349km D+4250m
6月326km D+3443m
登るよりも動く事を重視した練習を中心にしました。
練習は「量より質」とよく耳にしますが、「質」の良い練習方法がわからない自分には「量(距離)」が自分の自信になり、自分を後押ししてくれると信じています。
・補給食
スタート時の補給食はANDO_有塩×7。タフグミ1袋。
ANDO_を1時間に1回補給する作戦。
片方のボトルに近所のドラッグストアで買った経口補水液を溶かして、もう片方は麦茶か水。
そしてアミノバイタルの代わりに持って行ったリポビタンパウダー。
コレがめちゃ良かった!
もう、想像の5倍ぐらいリポビタンDそのまんま。リポビタンパウダーを2時間に一回摂取してファイト一発。
デポバッグにはこれと同じセットを入れておく。
・装備
ザック ANSWER4 /FOCUS light
キャップ this is my sportswear/this is my cap(ANSWER4)
ウェア patagonia/sleeveless caplene cool daily
ドライレイヤー おたふく手袋/オールシーズンインナー
パンツ patogonia/strider pro shorts 5inch
靴下 injinji/ランオリジナルウェイトノーショウ
シューズ topo/ultraventure2
ヘッデン ledlenser/NEO10R改
レインウェア montbell/ピークドライシェル
レインパンツ montbell/バーサライトパンツ
基本的に日常的に使ってる物と変わらない装備。
レース用の服で擦れたり、使い方がわからなかったりしたらめんどいし。
・目標とタイムスケジュール
目標はズバリ14時間切り。
無理なら昨年のタイムを上回れたらいいって感じ。
自分で作ったタイムスケジュールでは、
区間が広すぎて、途中タイム通りに進んでるのか遅れているのかわかりにくい。
どうしようかと悩んでいる時にTwitterで非常に有益なツイートを発見しました。
自分とは比べ物にならないほど詳細なタイムスケジュールです。
コレを信じて走るしかない。
このタイム通りに刻んでいけばいけるはず。
・いざONTAKEへ
妻と娘たちの激励を受け松原スポーツ公園へ出発。
3連休初日のせいか高速道路も大渋滞。
通常ならば14時30分頃に到着するはずが、結局着いたのは16時。
長時間ドライブの疲れもそれなりにあったので、受付した後は物販もスルー。とにかく休む事に徹する。
緊張や高揚感はなかったのですが、アイマスク、耳栓をしても眠りにつけません。
ゴロゴロしている間に100mileのスタート時間が近づく。
Twitterのフォロワーさんが出走されるので一言激励したいなと思いスタートへ向かいます。
「え?何この強そう感」
100mile出走する選手を見てそう思いました。スカウターで戦闘能力を測ろうもんなら一瞬で壊れるほどの強そう感。
今から160km走る選手にお声がけなんか恐れ多くて無理。
静かにスタートを見守る事に。
20時。号砲と共に100mileの選手が暗闇に消えて行きました。
その後は車に戻りゴロゴロしつつ1時間ほど眠る事ができました。
外は小雨。2022年もこんな感じの天気だった気がします。
着替えと装備の最終チェックを済ませて23時30分頃スタート会場へ。
今年はスタート位置が微妙に変更になっていて、屋根がないグランド?に整列してからスタート。
小雨が降り続いており微妙に体が冷えます。
スタートまでレインウェアを着込んで待機。レインウェアを着る時にスタッフサックをどこかに落として早くもメンタルがやられかけます。(拾ってくれた方ありがとうございました!)
・スタート〜白川小川(24km)
5分前にレインウェアを脱ぎ、0時スタート。
出発から6kmはほぼフラットなロード区間。
ペースは6'00/kmぐらいのしんどくないペースで進みます。先も長いし。
7km手前でアップダウンのあるロードへ。
心拍数150を上限にペースメイク。上りでしんどくなったら早歩き。歩いた歩数の倍、走る。20歩あるけば40歩走る。
40歩あるけば80歩走るイメージ。
15kmを過ぎトレイルへ。5km上りで4km下って白川小川エイドに到着。
計画の2:45に対して2:43でほぼ計画通り。水とオレンジ、バナナをいただき先を急ぎます。
・白川小川〜松原スポーツ公園(29km)
白川小川エイドから10km上りで19kmは下り基調。
ここの上りがキツかった。体力温存の為に積極的に歩きます。
上りきる手前3kmは10'30"/kmぐらいで全歩き。
「下りで本気出す」と焦る気持ちを抑えて上っていく。
下りへ。このあたりで夜が明け出すと同時に霧が濃くなる。小雨もきた。
ペースは7'00"〜5'30"/km。
時々ヘッデンの光が霧で乱反射して前が見えない。
割とスピードも出しているので転けるとマズい。
辛抱たまらず頭につけていたヘッデンを右手に持ちながら走る。これがめちゃ良かった。
頭にライトを付けている状態より、低い位置で照らした方が影ができ、路面の凹凸がハッキリと見えた。
トレイルの下りを終え松原スポーツ公園まで3kmのロード。
ペースは5'15'〜5'38"/km。謎に体が軽く、フラットであればこのペースで押していけそうなぐらい。
このロードで結構な数の選手を抜かしました。
松原スポーツ公園到着。
計画6:15に対して6:09。
・松原スポーツ公園(54km地点)
疲れもあまりなかったので長居は無用。
淡々とエイドワークをこなす。
OS-1ゼリー、inゼリー、キリッと果実600ml、麦茶600mlを飲み干す。
もう1本の麦茶600mlをボトルに詰め替え、ドライレイヤー、タンクトップ、キャップと上半身全部着替え。
youtuberのガチオさんがエイドを出ていかれるところでした。
靴下も履き替え、靴は濡れたりしてないのでこのまま行こうと思ってましたが、
今までのシューズで1番足に合っていたtopoのultraventure2のソールが剥がれてました。
まだ200kmぐらいしか走ってないけど、寿命早くない??
仕方なく保険の保険のつもりでデポバッグに入れていたHOKA CLIFTON8に履き替え。
ロードシューズですがONTAKEの林道なら大丈夫なはず。練習でも林道で使ってイケると判断しました。
その後、ゴミを捨てデポしてた補給食を入れ替えて、もう片方のボトルに水を補給し、おにぎり食べながら出発。
エイド滞在時間は15分
・松原スポーツ公園〜濁川WS(18km)
上り14km。下り4kmの区間。
後半戦。
延々と続く緩い上り坂。
歩いては走って、走っては歩く。
65kmを超えたあたりから左足に違和感が。
左足の腸脛靭帯が痛む。
ランニングを始めた頃は痛む事はあった。
でも130kmのレースでもフルマラソンでも痛む事はなかったのに。。
何でここで。。
一歩進む度に痛みが増していく。
「上りで痛むだけかもしれない。下りなら走れるかも。。」
そんな希望も虚しく、下りでも8'15"/kmがやっとの状態。
72km地点の濁川WSに到着。
時計を見ると9:00。計画では9:00到着。
わずかな貯金は使い果たした。
・濁川WS〜水交園(11km)
5km上りで6km下りの区間。
上りも下りも9'30"〜10'10"/km
走れない。
それでも前へ。
バンバン他の選手に抜かれる。
心拍計のバンドをサポーター代わり左足に巻いてみたり、湧き水で冷やしたりしてもダメ。
走り方を変えてみても左足が着地する度にズキンッズキンと痛む。
あれだけ14時間切りに燃えていた火が今、消えようとしている。
道路脇でザックをおろして左足をマッサージする。
時計を見ると10時。77km地点。
残り30kmちょい。
このまま歩き通せば昨年の記録を上回ってゴールする事ができるが。。
「もうええかもな。。去年の自分に勝てそうやし、よぉやったよ。」
「まだや!最後まで諦めたらあかんって子供らには言うとって、自分は諦めてまうんか⁉︎」
「今後、最後まで諦めたらあかんって言葉を吐く度に今日諦めた事を思い出すぞ?そんなんで子供らに胸張って諦めたらあかんって言えんのか⁉︎ただの口だけ野郎やん‼︎」
「いやいや、今年あかんかったらまた来年頑張ったらええやん。痛みがひどいんやったら次のエイドでリタイアしてもええし。」
マッサージしながら納得させようとする自分と諦めたくない自分が入り混じる。
痛み止めのクスリを持ってる事を思い出して痛み止めのクスリを飲む。
場合によってはクスリで胃がやられて気持ち悪くなるらしいのでクスリは最終手段と考えていました。
これでダメならもうダメ。
ザックを背負い歩き出す。
「ん?あれ?、、痛み消えてるやん!!」
痛みが消えた事の驚きより、クスリの即効性にビビりました。
計画では10:30に水交園。
残り30分、4kmちょい。
ここでふと、娘にかけ算の宿題を教えていた時の会話を思い出しました。
「なぁーパパ、知っとる?0にどんな数字かけても答えは0になるんやでー!0×100でも0やし、0×1000でも0やでー!」
14時間切りの可能性は「0」じゃない。
1%でもあれば自分次第で10%にでも50%にもできるんちゃうか。
「いけるかも。諦めたらあかん」
その瞬間、自分の中で消えかけていた火が、激しく燃え上がるのを感じた。
その火はスタート前よりも強く燃えています。
「いくしかないやろぉ‼︎」
弱い自分を振り払うように怒鳴り、自分を鼓舞し走り出しました。
5'30"〜6'00"/kmで下っていく。
走れる事でメンタルも復活。
水交園手前の声援をくれた住民の方にも「ありがとうございます‼︎」と元気にこたえる。
10:24分 水交園エイドに滑り込んだ。
・水交園〜赤棚WS(8km)
ここからは上りだけ。
その前にエイドで麦茶、コーラ、そうめんをいただきます。
水を補給し出発。
先行する選手を追いかける。
痛みがいつまた出るかわからないので、上り坂でも走る。疲れたら全力で歩く。
出発直後の上り2kmは6'00"/kmで走ってます。
この区間の日差しがヤバい。ピーカンで太陽を遮るものがない為、めちゃくちゃ暑く感じる。
とりあえず顔には日焼け止めを塗ったけど、汗まみれで日焼け止めを塗っているのか汗を塗っているのかわからないレベル。
上り坂もガシガシ上ったせいか、まぁまぁ疲れた。
計画11:30に対して、11:30 赤棚WS到着。
・赤棚WS〜ゴール(18km)
トータル90kmを超えた。
ここから2km上り基調で16km下り。
14時まで残り2時間30分。
14時間切る為には8'20"/kmで走る必要がある。
ここからの上りを考えると
「ギリ。マジでギリ」
「でも可能性はまだ0じゃない」
走ると歩くを交互に上りきり時計を見るとちょうど12時。
残り2時間。距離は15.5km
必要なペースは7'45"/km
ここからは下るだけ。
でも下りで前腿が攣ったりしたら即終了する。「ここまできて後悔は残したくない」
6'30"〜7'15"/kmで下っていく。
延々と続く下り坂。
「練習の成果を発揮するならここ。俺はこの2時間、15kmの為に練習してきた。ゴール後に倒れてもいいから全力を尽くそう」
自分に言い聞かす。
オーバーヒート気味になり湧水を見つける度にボトルに補給し、頭にぶっかける。
このあたりで腸脛靭帯が再び痛み始める。
「10時に痛み止めを飲んだから鎮痛効果は3時間ぐらいか。歩数にしたら何歩なんやろ?」
回らない頭で謎の事を考えながら躊躇なくラムネの様にクスリを飲む。
13時。残り6km。
いける。まだ走れる。
林道が終わり、ロードに出た。
ここで茨城から来たランナーさんと一緒に進む。水切れ美ヶ原やUTMFを完走されてる方で今年が初ONTAKEだそう。
残り3kmの表示。13時21分。
「走りましょう!キロ7で!笑”」
このやりとりを茨城ランナーさんとしながら走る。でもすぐに歩く笑”
POWER BARの旗がかかった橋が見えた。
残り1km。13時37分。
最後の上り。
茨城ランナーさんに「先にどうぞ!」と先に行ってもらう。
駐車場にいた人に「よぉ、頑張った!!!ナイスラン!!」と激励され涙が溢れそうになるのをジッと堪える。
ゴールゲートが見えた。
「一緒にゴールしましょう!」と待っててくれた茨城ランナーさんと一緒に走る。
13時間46分14秒。
ゼッケンと名前を呼んでもらってゴール。
勝った。。
去年の自分と弱い自分に勝てた。
昨年に比べて3時間45分タイムも短縮。
しかも1136人中87位のおまけ付き。
109kmの大冒険が終わりました。
・2023 ONTAKEを終えて
使い古された言葉ですが、
「練習は嘘つかないし、裏切らない」と感じました。
もし、今回のONTAKEへ向けて練習を積んで、思う様な結果出なかったとしてもその練習は次のレース、来年のONTAKEで生きるはず。
「0%」と「1%」では大違い。
「0」になにを掛けても「0」
「1」は自分次第で「50」にも「100」にもなるはず。
以上、パンピーランナーのONTAKE完走記でした。