忙しいときこそ穏やかに過ごすためのタスクマネジメント
今年も終わりが近づいてきました。クリスマス・お正月を控えたこの時期ならではのワクワク感もさることながら、年末の慌ただしさに少々お疲れ気味の方も多いのではないでしょうか?
年末に限らず、やることが多いときは「タスクマネジメント」が大切です。特に社会人はタスクマネジメントができていないと職場の同僚や取引先に迷惑をかけてしまうし、自分の信頼度もダウンしてしまいます。また、いつも「仕事に追われている」感覚になるとメンタルヘルスにもよくありません。
今回は、自分にも相手にも優しいタスクマネジメントのコツをお話しします。起こりがちな失敗パターン別の対策もご紹介するので、ピンときた方はぜひ試してみてくださいね。
タスクマネジメントの大原則
タスクマネジメントの基本は、「タスクの性質を見抜くこと」です。
仕事の納期は守る必要があるし、もちろんクオリティも高い方がいいでしょう。「時間があるときにやる」タスクも早く消化できるに越したことはないですよね。けれども、すべてのタスクに高すぎるクオリティを目指したり、心に余裕がないときに「すべてを前倒しで!」とタスクを詰め込んだりするのはおすすめできません。
クオリティの高い仕事にはそれなりの時間がかかります。もしかしたらそのタスクには質よりも素早さ・量などを求められているかもしれません。逆に「素早い対応は必要ではないタスク」「少量だけれど高い技能・正確さが必要なタスク」もあるでしょう。また、自分の得意・不得意や慣れた作業・未経験の作業など、その人の性質や経験値も関わってきます。
タスクマネジメントが上手な人は、そのタスクに求められているものを見抜いたうえで自分のキャパシティと照らし合わせ、うまく計画を組み上げています。日ごろから、業務の性質や作業中のご自分について、考えを巡らせてみてください。
タスクマネジメントの失敗パターン3つと対策法
パターン① 優先順位をうまくつけられない
タスクマネジメントの基本として、よくいわれるのが「優先順位をつける」です。現在抱えているタスクについて、マトリクス表を使って緊急度・重要度を高いもの・低いものに仕分ける方法が知られています。
けれども「何を優先すべきなのか分からない」と悩む声も多いです。「優先順位」という言葉は確固とした基準を示しているわけではなく、曖昧でもあります。また、「緊急度」は分かりやすくても「重要度」となると「どれも重要に感じる…」という場合も多いでしょう。
優先順位が分からないときは、具体的な基準を設定するのがおすすめです。マトリクス表でいう「重要度」は、たとえば「他者と約束しているもの」「自分しか関わらないもの」と置き換えると分かりやすくなるのではないでしょうか。さらに「取引先との約束」「社内の人との約束」というように分けることもできるでしょう。
また、複数のタスクを同時に比較するのは難しいものです。具体的な基準を設定したら、「タスクAとタスクBでは?」と1対1で比較していくと簡単になります。
パターン② ついつい後回しにしてしまう
「やるべきことを後回しにしてしまって、期限直前に大慌てしてしまう」というパターンを繰り返す方には、次のような特徴があります。
・楽観しすぎる
…タスクの難易度が掴めず、「簡単だしパパっとできる」と楽観的に考えがち
・完璧を求めてしまう
…「時間があるときにじっくりやろう」と、なかなか取り掛からない
・目先の物事にとらわれすぎる
…やるべきことがあっても、目の前の作業を優先してしまう
期限ぎりぎりにタスクを片付けようとすると、焦り・プレッシャーによる心理的ストレスを強く感じます。「その状態でこそやる気が出る!」という方もいるでしょうが、効率はよくないはずです。
このような方には、次の3つの対策が特におすすめです。
① タスクはできるだけ細分化
…必要な作業工程を最初に把握できるうえ、取り掛かりやすいものがはっきりする
② 本来の期限よりも早めに自分だけの締め切りを設定
…期限よりも2~3日早めに締め切りを設ける。中間地点に期限を決めるのもおすすめ
③ 迷いがあってもとりあえずはじめてみる
…「気が進まないけど5分だけやってみよう」と始めると勢いがつく
心理学では、②の対策を「締め切り効果」、③を「作業興奮」といいます。特に「作業興奮」はさまざまな行動に応用できるので、ぜひ試してみてください。
パターン③ タスクに追われて疲れてしまう
多くの職場では、複数の作業を同時進行する「マルチタスク」が求められます。さまざまな業務が必要な「会社」というシステムでは仕方がないことではありますが、マルチタスクは脳が疲れやすいです。脳にかかる負荷が大きいため生産性もよくないですし、過度の脳疲労はメンタルヘルスの悪化にもつながります。
1つの作業に黙々と取り組む「シングルタスク」が本来は望ましいですが、なかなか難しいですよね。そこでおすすめなのが、時間ごとにタスクを切り替える「時間割方式」です。
「今から1時間はタスクAに集中する」「〇時からタスクBをはじめる」というように、学生時代の時間割のようにスケジュールを組んでおきます。もちろん、上司・同僚に話しかけられたり電話を受けたりするかもしれません。それらには柔軟に対応しながら、「自分からは他の作業に手を出さない」と決めておきましょう。
より心のゆとりを生むタスクマネジメントのコツ
自分に合ったタスクの組み方を考える
日々の業務の中でも、「これは苦手だな」「これはうまくできる!」というように得意・不得意、好き嫌いがあるでしょう。「仕事に好き嫌いはいえない…」と思うかもしれませんが、その感覚を利用してタスクを組むとより生産性が上がります。
先にお話しした「作業興奮」のように、簡単な作業をこなしているうちに勢いがついて、難しいタスクに取り掛かれることもあるでしょう。また、苦手なタスクや緊張・プレッシャーを感じる業務の後には得意な作業を組み込むと、脳・メンタルへの負荷を減らせます。
柔軟にスケジュールを組めない職種の方も多いはずです。けれども、1度「自分に合ったやり方があるのでは?」と日々の業務を振り返ってみると、思わぬ発見があるかもしれません。
休憩前の1分で次の作業を準備
たくさんのタスクを抱えているときは、休憩をとる前の1分で「次にやること」の準備をしておくのがおすすめです。次の業務が分かりやすいうえ、頭も切り替えやすくなります。
「資料をすぐに取り出せる場所に置いておく」「データを準備してからPCをスリープモードにする」「作業に必要なものを持ってきておく」というように準備しておくと、休憩後もスムーズに作業を始められます。先ほどの「作業興奮」も起こしやすくなるので、仕事のスピードも上がるでしょう。
頭はこまめに休ませよう
先ほどもお話ししたように、脳疲労は生産性も下がるうえメンタルの悪化にもつながります。忙しいなかでも、こまめに頭を休ませる時間を見つけましょう。
脳を休ませるときは、視覚・聴覚からの情報をシャットアウトするのがポイントです。人間の脳は、視覚・聴覚からほとんどの情報を受けています。休憩時間に目を閉じたり、耳栓・イヤホンをつけたりして脳への刺激が低減しましょう。
聴覚刺激ではありますが、音楽の力を借りるのもおすすめです。「この曲が終わるまでは脳を休ませる」と決めて、目を閉じて好きな曲を聴くとリフレッシュになります。気分が落ち込んだとき、トラブルが起こったときにも試してみてください。
まとめ
今回は、タスクマネジメントについてお話ししてきました。
忙しい時期ほど重要になるタスクマネジメントですが、「繁忙期だけ実践!」はなかなかできないものです。毎日の仕事の中で、その業務の勘所や自分のキャパシティを知りながら実践していくことで効果を発揮します。
忙しいときこそ穏やかに、ヘルシーに過ごしたいですよね。ぜひ、日々の業務にご紹介したタスクマネジメントのコツを取り入れてみてください。