まじめな人ほどなりやすい「5月病」の症状・原因・抜け出し方
「最近、どうも気分が沈む…」
「新しい環境には慣れたけど、なんだか疲れが抜けなくなってきた」
緑のまぶしい季節になると、「5月病」というワードをそこかしこで聞くようになります。
ある調査では、若手社員のおよそ27.7%が経験しているといわれている5月病。4月に大きな転機を迎えた方、まじめで完璧主義な方は特に注意が必要です。
ここでは、5月病の症状や原因、抜け出し方をお話しします。
気分の落ち込みにお悩みの方は、ぜひゆったりした気持ちでご覧ください。
「5月病」とは「大型連休明けの気分の落ち込み・身体症状」
5月病は、4月に新生活を迎えた方がゴールデンウィーク明け頃から起こしやすい身体・メンタルの不調のことです。どちらかというと、女性の方がかかりやすいといわれています。
最近では、ゴールデンウィークの連休を分散させる企業や研修期間を長くとる会社も多いため、4月~6月に症状が起こる場合もあります。そのため「春バテ」などとも呼ばれるようになりました。
医学的には「抑うつ状態」「適応障害」と診断されます。新しい環境に慣れれば自然に解消されますが、2週間以上症状が続く、徐々にひどくなっていくようならメンタルクリニックの受診も検討しましょう。
5月病の症状は?
5月病は、身体・メンタル・行動面に症状が表れます。
身体症状:不眠、倦怠感、食欲不振、動悸、胃痛、頭痛、めまいなど
メンタル症状:気分の落ち込み、不安感、焦り、何をするにも面倒と感じるなど
行動:仕事を休む、やる気が出ない、人に会いたくない、家に引きこもる
人によって症状は異なります。「この症状がないから大丈夫」ではなく、自分が現在抱えている辛さに寄り添ってあげることが大切です。
5月病の主な原因は?
環境の変化
5月病の主な原因に、「環境の変化」があります。
入社・入学など、日本では4月が大きな転機となる人が多いですよね。新しい環境に移った直後は緊張しているので、疲れを感じにくい時期が続きます。春は寒暖差が激しく、体調を崩しやすい季節ですが、新生活のうちは気合でなんとかなっていることもあるでしょう。
ところが、ゴールデンウィークが始まり大型連休を迎えると、そこでいったん力が抜けてしまいます。4月に気を張っていた分、疲れがどっと出て5月病の症状が現れやすくなるのです。
身体と心は連動しているので、身体症状が出れば不安も感じます。また、メンタルが沈んでいるときは普段なら気にならない小さな体調不良も心配してしまう人もいるでしょう。
このような症状は、新入社員だけのものではありません。転勤・異動で環境が変わった方にも起こりやすいです。また、一緒に引っ越した家族にも起こることがあります。
理想と現実のギャップ
新しい環境にやってきた方は、多くが普段より意欲が高まっている状態です。受験や就活を乗り越えてようやく夢をつかんだ方はもちろん、「この環境でうまくやっていくんだ!」と、知らず知らずのうちに気合が入っている人も多いでしょう。
けれども、新生活が始まって1か月が経つと「こうありたい」と描いていた理想とのずれが見えてきます。職場の事情も分かってくるし、自分ができること・苦手なこともはっきりしてくるでしょう。「こんなはずじゃなかったのに」「これでよかったのかな?」など、後悔や迷いの気持ちが湧いてくるのも5月ごろが多いです。
真面目で完璧主義な人ほどなりやすい
5月病は、まじめで責任感が強い人ほどなりやすいといわれています。
目の前の仕事に真剣に取り組み、完璧を目指して努力できるのは素晴らしいことです。そのように仕事ができる人は職場でも重宝されますし、時が経つにつれて実績も積み重なっていくでしょう。
けれども、その美点が自分を苦しめる原因にもなり得ます。周りの人に認められるからこそ「期待に応えなければ」と苦しんでしまう、という方も多いです。
自分で「まじめ」「完璧主義」という自覚がある方はもちろん、「周囲からはそう言われるけれど、そんなことはない」と思っている方も注意してください。周りからの評価は、時に的を射ていることがあります。
「完璧ではなく70%を目指す」という無理のない目標を設定し、頭の片隅に置いておくだけでも違います。「力を抜く」という意識をもって、美点である真面目さとのバランスを上手にとりましょう。
5月病がラクになる対処法5つ
家族・友人に打ち明ける
悩み・不安などを相談できる家族・友人はいますか?
5月病の辛さは、人に話すだけでもずいぶんラクになります。「こんなことで心配かけちゃいけない」と強がる気持ちも分かりますが、ひとりで抱え込むと孤独感が強まって余計に辛くなってしまいます。信頼できる人にゆっくり話を聞いてもらうことで、肩の荷が下りたように感じるでしょう。
家族・友人にもいろいろなタイプの人がいると思います。あなたの気持ちを否定せず、話を最後まで聞いてくれる人を選びましょう。
辛い気持ちを相談したのに、「我慢が足りないよ」「考えすぎ!」などと否定されると余計に辛くなってしまいます。また、自分より相談相手の話が多い場合も注意が必要です。話を最後まで聞いてくれずに一般論にまとめたり、自分の体験談や愚痴にすり替えたりする人には相談しないようにしましょう。
悩みを紙に書き出してみる
悩みや気持ちを紙に書き出してみると頭の中が整理され、自分がどうすべきかわかりやすくなります。何も制限せずに、頭に浮かんだものを自由に書き連ねていくのがおすすめです。
制限時間を決めて、頭の中に浮かんでいることをそのまま書いていく手法を「ジャーナリング」といいます。普段は心のうちに押し込めている感情・思考が表に出てくるので、自己理解が深まる「書く瞑想」です。悩みがあるときにやってみるのもよいですが、1日10分と決めて習慣にすると自分が抱きやすい不安・悩みがわかってきます。
ある程度原因が分かっている場合は、マインドマップのように書いていく方法もよいでしょう。紙の中央に書いた「自分の悩み・気持ち」の周りに、連想されるワードをどんどん書いて矢印などで結ぶことでより問題がわかりやすくなります。「具体的にどう解決したいか」を知りたい方におすすめです。
「To Doリスト」で達成感を得る
毎日のタスク管理に有効な「To Doリスト」は、5月病対策にも役立ちます。完了したことにチェックを入れていくと「今日できたこと」が目に見えるので、達成感を得やすいのです。
毎日ふってくる仕事をただこなしていると、その日何ができたのかがわかりにくくなります。「すごく頑張ったし疲れているけど、何をしてたんだっけ…?」と徒労感に襲われがちです。
小さなことでもTo Doリストに書いていくことで、「今日はこれだけのことができた!」と達成感が得られます。仕事面だけでなく、家事などプライベートのタスクも書いておくとよいでしょう。
好きなこと・趣味をやってみる
新生活が始まってしばらくは気持ちがいっぱいいっぱいで、趣味を楽しむ気分になれなかった人も多いでしょう。5月病になりやすいゴールデンウィーク期間中は、自分の好きなことに集中するのもおすすめです。
勤務中はしっかり働いて、退勤後や休日には趣味を目いっぱい楽しむことでメリハリがつきます。気持ちがリフレッシュできると、憂鬱な気持ちも減っていくでしょう。
「趣味が特にない」という方は、「子どもの頃好きだったこと」をヒントにすると見つかりやすいです。幼稚園や小学校のころ、夢中になっていたことを思い出してみてください。「子どもっぽいかな?」と思うようなことも、あえて大人がやると新たな発見があるかもしれません。
睡眠の質を上げる
睡眠不足になっていませんか?眠りが足りないと自律神経が乱れるうえ、気分の落ち込み・集中力の欠如など5月病の症状が出やすくなります。
この機会に、寝具など眠るための道具をアップデートしてはいかがでしょうか。マットレスや布団を買い替えたり、シーツや枕カバーを肌触りのよいものに変えてみたりするのがおすすめです。マットレスの上に敷くパッドなどを替えるだけでも、寝心地の良さが変わりますよ。
寝る前に睡眠導入音を流してみたり、アロマの香りを嗅いだりするのもよいでしょう。五感を刺激して副交感神経を高めることで、自然とリラックスできます。
まとめ|自分の心と身体に向き合って、5月病から抜け出そう
「まだまだ今から頑張らないといけないのに…」というときに起こしやすい5月病。やるべきことを抱えているときの不調は特に辛いものです。
けれども長い目で見ると、このタイミングで体調を整えていた方が後々よい結果に結びつくことが多いです。これから健やかに暮らしていけるよう、自分の心身と向き合ってみてください。あなたが心地よく生きていけるように願っています。
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