怒涛の一年。墨田区向島にある小さな喫茶店を引き継ぎ、オープンまであと少しの話。

Shino.

2024年12月14日 00:31

久しぶりのnote更新になりました。お久しぶりです。
気づけば2024年もあと少しで終わりそうですね。
みなさんはどんな１年でしたか？

私はいろいろな変化を迎えた怒涛の１年でしたが
周りの人に助けていただきながら楽しみながら過ごすことができました。

タイトルにもありますが
実は、東京都墨田区向島にある小さな喫茶店を引き継ぐことになりまして
保健師として働きながらずーっと開店準備を進めていました。

先日ようやく営業許可もおりて、いよいよスタートできることになりました！いや～それにしてもここまでの道のりが長かったです。笑

お店のインスタグラムで営業許可がとれた！とストーリーに投稿したら沢山の方から「おめでとう！」とメッセージをいただき、本当にいろいろな方に応援してもらい、見守っていただいていたんだなぁと目頭が熱くなってしまいました。皆様ありがとうございます。

お会いできる方には直接ご報告させていただいておりますが遠方でゆっくりと経緯をお伝えできていない方もいるので「えっ喫茶店を引き継ぐ？」と驚きの方もいると思います。

ちょっと長くなってしまうと思いますが、
今まであったことやどんな思いでお店を引き継ぐことを決めたのか、
自分の今の気持ちも残しておきたいのでnoteにまとめようと思います。
お時間のある時に読んでいただけると嬉しいです。

過去のnoteを読んでくださった方や身近で応援してくださる方は
ご存知かと思いますが、私は2019年からコーヒーを淹れて人とお話しする「バリスタ・保健師」という活動をしていました。

noteを見返すと過去の自分はこんなことを書いていました。

誰かにとっての活力になる、居心地のいい、元気を充電することができる、そんなカフェをつくりたいな〜と妄想しています。

バリスタ保健師の働き方。コーヒーを通して「働く人」の健康を支えたい。

新卒から産業保健師として働くひとの健康に関わる仕事をしていましたが
自分自身、心が疲れた時にふと足を運ぶのは気の知れた店主がいて、ちょっとした雑談や会話ができる場所でした。

「相談したい」「話を聞いてほしい」というのは気を使ってしまいやすいけど、「コーヒー飲みに来ました」なら気軽に会える理由になるかなと。

コミュニケーションの入口のハードルを下げて、おいしいものを飲んだり食べたりして、人と会話してほっと一息ついたり楽しく過ごしたり。
心の温度がちょっと上がるような時間や空間をつくりたいなと思いながら
バリスタ保健師の活動をしていました。

コーヒーとサンドイッチの喫茶店「HOLLY」

HOLLYとの出会いは2023年2月のこと。
別の喫茶店に行こうとしたところ30分早く閉店しており、さまよっていたところにたどり着いた小さな喫茶店。

当時の様子はこちらのnoteをどうぞ。（HOLLYの引継ぎ記録を残すために始めた「HOLLYday」のnoteアカウント。片づけでバタバタしてしまい更新ストップしていますが、今後こちらも再開していきたいと思います。）

HOLLYは82歳のマスター・ホリさんが奥様と２人で始めた喫茶店。
1964年、東京オリンピックが開催された年のクリスマスにオープンしました。

HOLLYは、浅草と押上をつなぐ言問橋の近く、水戸街道沿いに位置する小さな喫茶店。向島界隈では２番目に古い喫茶店として親しまれてきたようです。引継ぎ準備で片づけをしていると昔の常連さんが気にかけてくださり、愛されていたお店なんだなぁと感じました。

看板メニューは自家製マヨネーズを使用したサンドイッチ。
向島芸者さんや年配のお客様に食べやすくするために一口サイズにカットされています。

HOLLYからHOLLYdayへ

お店に通うようになり３回目くらいのタイミングで
なぜか自家製マヨネーズのレシピを教えてもらえることになりました。

材料をもってきたら教えてあげるよと言われ
翌週ボウルや卵を手に抱えお店へ足を運ぶと
『ほんとにやるの？』とマスターは驚いていましたが
『しょうがないな〜』と嬉しそうに教えてくれました。

マヨネーズの作り方を教わったその約１か月後に先代マスターのホリさんは倒れてしまいお店をそのまま閉じてしまうことになりました。

心配になり、どうにか連絡手段がとれないかと調べているとおじさんを応援する姪っ子さんの「HOLLY」のInstagramを発見し、ダメもとで連絡をとったところ「おじから聞いています」と返信をいただくことができました。

姪っ子さんと連絡をとっていくと、実は入院していることがわかりました。
長年現役でお店に立っていた方が突然の入院では、きっと寂しいだろうなぁと思い常連で通っていた友人と一緒に手紙を書くことにしました。

その手紙を送ろうとした日に姪っ子さんから連絡があり病室の番号を教えてもらったので、その日のうちにお見舞いにいきました。

病室のベットでホリさんから「あんたあの店やらない？」と引継ぎの話をされました。突然のことで驚きましたが、自分も通っていた中で常連さんたちの憩いの場所がなくなってしまうのはさみしいなと思い、自分にできることはないかと考えました。

バリスタ保健師の活動を始めたヤッチャバがHOLLYから歩いて15分ほどの距離で、墨田区との関りも５年経つ頃だったので、地域の人に助けていただきながらこの場所を続けるためのチャレンジをしたいと決めました。

お店の内装の雰囲気は基本的にはそのままです。
看板もそのまま使います。

＝＝
ホリで過ごした毎日が、これからも日常につづきますように。
＝＝

そんな思いを込めて、名前はHOLLYにdayを加えて「HOLLYday（ホリデイ）」にします。

前途多難だった１年

喫茶店「HOLLY」を引き継ぐことを2023年9月に決め、11月に墨田区へ引っ越してきました。12月に鍵を受け取り、そこからずーっと店内の片づけや大掃除をしていました。ホリさんは突然の体調不良でお店を閉じてしまった状態からだったので冷蔵庫の中身を捨てるなど、一からの作業がスタートしました。

本業も進めながらだったので仕事が終わって、夜な夜なごみを捨てるという作業の日々でした。

大きな重たいものも多く、自分一人ではとても難しかったので周りの仲間に沢山助けていただきながら進めてきました。

どうしてこんなに時間がかかってしまったのか、業者に頼めばぐんっと進められるのにまだ片付けているの?というお声もいただきましたが
純粋に資金の余裕がそこまでなかったので極力自分たちでできることは自分たちで進めてきました。

この地域の飲食店さんは自分でリノベーションしている方々も多く、その中でよく通っているビリヤニが食べれる『野島商店』さんにホリデイの準備にあたっていろいろと相談に乗っていただきました。

その中で印象的だったのが、自分たちでなるべくできることをやると時間はかかるけど自分のお店の構造がわかるから安心するよと教えてもらったことです。

実は一度、廃棄業者を呼んで見積もりしたところ
2階部分で30万といわれてひるんでしまい、
でも中々の物量にも気後れしていたこともあり
トラック一台分その時持って行けるだけお願いしましたがほんの一部だけでした。　
また、HOLLYの名前が入ったモノを2階の窓から雑に投げ出されていくのをみて心が痛くなり、
時間がかかってもいいから自分たちで全てに手をつけて、おじさんに返せるものは確認しながら返して
大切にお店を育てていこうと決心しました。

まあ、でも、『ここにも収納スペースが…！？』の連続でなかなか大変でした。笑

ホリさんの大切な写真も出てきたので、これは手元にあったほうが嬉しいんじゃないかと思うものは、おうちまでもっていって確認しながら作業を進めました。

2階はいつか屋根裏のホリデイとして
グッズや友人の作品を販売するショップや本屋とか
なんか面白いことができたらいいなと妄想しています。

チラ見せですが、2階はこんな風になりました。

before

after 同じ角度からの景色

畳が傷んでいたので交換もしました。
今は井草のいい匂いがします。

畳は職人さんが足を壊して2階へは登れないため
自分たちで運びました。（そんなことってある?笑）

ご近所さんのひまおさんと毛柴さんに助けていただき、畳を6畳交換したので計12回運び出ししてくれました。頭が上がりません…。

苦しい時こそ、笑いで乗り越える精神で
ホリデイスポーツとうたって一時期はストーリーに活動報告していました。

二階の活用はまだしばらく先になりそうです。
まずは喫茶店として一階を稼働できるようにがんばります。

この１年ホリを進めていく中で、引っ越した物件が半年で立ち退きにあってしまい短期間でもう一度引っ越しをしたり、製氷機を破棄するために業者に高い見積もりでだまされそうになったり、何十年もの蓄積された荷物たちと向き合ったり、エアコンが壊れていることに真夏に気付き猛暑の中作業したり、一回じゃ書ききれないくらいいろんなことがありました。