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進化揺動応答関係~表現型ゆらぎと進化可能性~


自然選択の仮定

私たちを私たちたらしめているのは進化であり、進化は自然淘汰によっておこる。自然淘汰の3つの要素は、変異、選択、遺伝であるといわれる。変異によって個体間に違いが生まれ、選択によって特定の環境への適応度の高い個体がより生き残る。最後に、遺伝によって適応度の高い特性が次世代に伝えられる。

このような説明を聞くと納得してしまいそうになるが、変異、遺伝は生物の遺伝子に対して起こるのに対し、選択は生物の表現型に対して起こる。よって、自然淘汰の背後には、遺伝子が表現型を決めるという遺伝子と表現型の密接な関係が仮定されている。しかし、一卵性の双子を見れば表現型を決めるのは遺伝的性質のみではないことはわかるし、遺伝子に突然変異が起きても表現型に影響しない場合も多い。つまり、遺伝子型と表現型にどれほど対応があるかと、進化のしやすさには深い関係がありそうだ。

進化揺動応答関係

実験的な進化実験を通して「同一遺伝子を持った個体間での表現型の揺らぎ」と「表現型進化速度」の間に正の比例関係があることが示された。この関係はアインシュタインの提唱した粒子がブラウン運動で揺らぐときの速度の分散と粒子に力をかけた時の応答に正の比例関係があるとする「揺動応答関係」に似ていることから、「進化揺動応答関係」と名付けられている。これは、表現型のゆらぎが次世代に伝わるものではないことを考えると、驚くべき結果である。

「遺伝子の変異がもたらす表現型の分散」と進化速度の正の相関関係は、フィッシャーにより提唱されており、化石記録などを用いた最近の研究でもその普遍性が示されている。進化揺動応答関係は同一遺伝子の揺らぎについての関係だが、その普遍性は気になるところである。

参考文献

https://www.science.org/doi/epdf/10.1126/science.adi8722

進化は自然淘汰によって起こり、変異、選択、遺伝の3要素がその中心であるが、遺伝子型と表現型の関係は単純ではない。実験的な進化研究で、同一遺伝子を持つ個体間の表現型の揺らぎと進化速度に正の比例関係があることが示され、これを「進化揺動応答関係」と名付けた。フィッシャーの理論や化石記録の研究も、遺伝子変異と進化速度の正の相関関係を支持しているが、その普遍性にはさらなる研究が必要である。

ChatGPTを用いて要約
サムネイル画像はDALL-Eにより生成