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特異性を有用性に変換する
科学において、普遍的な現象を見つけた方が一般に価値が高く、重宝される。
特異的な現象を発見しても、それが広くは適用できないためあまり注目を集めないことも多い。
しかし、科学史を振り返ってみると、そのような特異的な発見からブレークスルーが生まれることが少なくないように思う。
生物学において知られている例を以下にあげる。
植物の種子が未受精でそのままクローン個体に育つ変異を利用し、植物の優良品種を保存。
ショウジョウバエのオスで減数分裂時の染色体の組換えが起きないことを利用し、染色体地図を作成。
(両方の配偶子で組換えが起こる場合に比べて組換え頻度が計算しやすいので、染色体上での遺伝子位置の同定が容易である。)線虫は細胞系譜が確定していることを利用し、発生の際の分化やアポトーシスがどう起こるか、特定の神経細胞がどのように機能するかを調査。
(線虫の近縁種でも、その多くはヒトなどと同様、発生系譜は一定ではない。)
ショウジョウバエや線虫はこれらの特異的な性質が逆にモデル生物として利用されている理由だといえる。
生命は普遍性と同時に多様性が大きな特色であり、特異な構造、機能を発見した際には、その探究と応用可能性の探索が大切なのだと感じる。
特異的な科学的現象が広く注目されないことも多いが、ブレークスルーを生み出すことも多い。例として、植物のクローン変異、ショウジョウバエの染色体の組換えの特性、線虫の確定した細胞系譜が挙げられる。これらはモデル生物として利用され、特異な性質の探究と応用可能性の探索が重要とされる。
サムネイル画像はDALL-Eにより生成