獲得形質は遺伝する？
獲得形質の遺伝
獲得形質の遺伝とは、生物が生涯で獲得した形質がその子孫に受け継がれることである。
ジャン＝バティスト・ラマルクが法則として提唱したことで有名であり、よく使われる例に以下のようなものがある。
キリンが高い所の葉を食べようとして何世代にもわたって首を伸ばし続けた結果、少しずつ種としてのキリンの首が長くなった。
ダーウィンの自然選択説と対比で誤った進化論の代表例として提示されることが多い。
エピジェネティクス
しかし、近年では部分的には(条件が整えば)、獲得形質が遺伝する現象が、エピジェネティックな変異として知られている。
エピジェネティックな変異とは、DNAの塩基配列の変化を伴わない細胞分裂後も継承される表現型の変化であり、ヒストンのアセチル化、メチル化、DNAのメチル化がメジャーなものとして知られている。
ただし、これは体細胞分裂の話で、基本的には受精卵の段階でこれらの修飾はリセットされるのだが、部分的に子孫にも伝わることがある。
例えば、飢餓にさらされた妊婦から生まれた子どもは、統計的に糖尿病になりやすいことが知られている。
これはダーウィン以来の生物学の常識を覆す知見となっており、さらなる研究の発展が期待される。
参考文献
「獲得形質の遺伝」とは、生物が獲得した特性が子孫に受け継がれる現象で、ラマルクの法則として知られます。しかし、最近の研究ではエピジェネティクスにより、一部の獲得形質が遺伝的に伝わることが示唆されています。例えば、飢餓にさらされた妊婦から生まれた子供が糖尿病になりやすいことがあり、これは新たな生物学の知見です。
サムネイル画像はDALL-Eにより生成