歩くのだ。
最近は、だいたい4時半に起きる。起きるというか、勝手に目が開くという感覚だ。
すぐさま起き上がり、スマホにイヤホンをつないで耳に入れる。
ラジオアプリを立ち上げて、好きな番組にチューニング。
スニーカーを履いて、出発。
朝の住宅街に繰り出す。
新聞配達の自転車が何台か走っている。
他にも歩いている人が何名かいる。
高齢の方が多く、その中では圧倒的に若手である。
朝歩き界の新星と呼ばれているとか、いないとか。
毎日、ほぼ同じルートを歩く。
べつに好きな道というわけではない。
ただの住宅街だ。
新緑が濃くなってきたな。
紫陽花が色づいてきたな。
そういう自然の移り変わりに気づく、なんてホントだったらありそうなエピソードは全然ない。
もちろん目は開いているので、情報として入り込んではいるが、全く興味ないからか記憶としては残らない。
意識のほとんどは耳のラジオ番組に注がれている。
ときどき、声を出して笑ってしまう。
通りがかった人にとっては気持ち悪い存在だろう。
5年前にスマホに変えた。
ある時、なんとなく触っていたら歩数が表示された。
ほほー、こんな機能があるんだ。
へー、一日8000歩くらい歩いているんだ。
最初は、それだけだった。
そのうち、歩数が、なんとなく気になるようになってきた。
たくさん仕事したなー、今日は疲れたなーって日は、一日の終わりに歩数を見ると10000歩を超えてたりして、なんだかじんわり嬉しい。毎日チェックするようになった。
これは、自分にはよくあることなのだが、いつもだんだん、やり過ぎていってしまう。
焼きそばにはまったときは、3か月連続、昼飯、焼きそばだった。
作った消しゴムはんこは、1000個以上ある。
ラジオが好きになり、毎日3時間は聴いている。
そして、最近の歩数は20000を超える日も少なくない。
健康のための運動、いいですね。なんて受け止めてくださる方もいる。
私も当初の目論見としては、健康面での効果を期待していた。
しかし、今では、歩きすぎで、ひざの痛みが深刻化している。
また、夕方以降の疲労感、倦怠感は、家事に支障をきたすほどだ。
リビングの床で倒れて寝入ってしまっていることも、しばしばである。
それでも歩く。
目下の不安は、歩き始める時間が、どんどん早くなってきていることだ。
これが進むと、3時2時と起きる時間が早くなっていき、通常のケースとは逆パターンで昼夜逆転していくんではないだろうか。
一抹の不安を抱えながらも、歩く。
歩き続ける先に、何が待っているだろうか。どこへたどり着くだろうか。
とりあえず、整形外科に一度行って、ひざを診てもらう必要があるということは認識している。