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【STL】2025年に期待したい若手投手
【STL】2024年の振り返りで「とにかく得点力不足に悩まされた'24シーズン」と書きましたが、年齢が高めの先発陣、ローテの一角やブルペンの柱の退団を見る限り、カージナルスが'25のWS制覇を目指す上でのポイントは"投手陣"にあると考え、なかでも特に先発ローテーションの枚数が足りないように感じているので、私は若手の先発投手の台頭に期待しています。
STL投手陣の現状
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100イニング以上投げた先発投手陣5人のうち、K.ギブソンとL.リンがFA退団のため、'24シーズンにエース級の働きをしたS.グレイと、2024年7月末にトレードでホワイトソックスから移籍してきたE.フェディの2人がローテの柱になると思われます(M.マイコラスは、ローテの谷間などの苦しいときにイニングを食ってくれれば…)。
まずはこの2枚看板が機能することが大前提ですが、次の3番手として期待がかかるのがA.パランテ。2022年にメジャーデビューし、'23シーズンは主に中継ぎ起用でしたが、'24シーズンは5月から先発起用され、29登板のうち20試合で先発。先発ローテの枚数が足りない'25シーズンは大きな期待がかかる投手の1人ではないでしょうか。
飛躍が期待されるA.パランテ
▶ "打たせて取る"投球スタイル
A.パランテはどんな特徴がある投手か、baseball savantのMLB Percentile Rankings(2024年)で見てみましょう。
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これは選手の主な能力を数値化し、平均を50として上位何%にランクインしているかを示したものです(数値が大きい/赤いほど良い)。これを見ると「Barrel %」と「GB %」が突出して良くて、「Avg Exit Velocity」もなかなか良い数値が出ています。
「Barrel %」とは投手が打たれた打球のうちバレルゾーンに入った打球の割合のことで、バレルゾーンに入った打球は二塁打以上になりやすいため、このBarrel %の指標が投手として良いということは長打を打たれにくい投手ということ。また、「GB %」というのはファウルを除く打球(ファウルフライは含む)に占めるゴロ打球の割合なので、とにかく打者に打球を上げさせない投手だと言えるでしょう。しかも、平均被打球速度を表す「Avg Exit Velocity」も良いので、芯を外す投球が得意なのかなと想像できます。
一方、打者のスイングを誘う系の指標である「K %」や「Chase %」、「Whiff %」などがあまり高くないので、典型的な"打たせて取る"タイプの投手だと言えそうです。
【補足】主な投手指標について
・xERA:投手が打たれた打球の種類や打球の結果から予測される防御率。守備力や運の要素考慮し、より客観的に投手能力を評価するための指標
・Avg Exit Velocity:平均被打球速度
・Chase%:「どれだけボール球をスイングさせたか」を表す指標(ボールゾーンスイング率)
・Whiff%:対戦打者のスイング回数に占める空振りの割合(空振り/スイング)
・K%:対戦打者に占める奪三振の割合
・BB%:対戦打者に占める四球の割合
・Barrel%:投手が打たれた打球のうち、バレルゾーン(※)に入った打球の割合
※バレルゾーン:打球速度約158キロ以上で打球角度26~30度、打球速度約187キロ以上で打球角度8~50度
・Hard-Hit%:投手が打たれた打球のうち、打球速度が153キロ以上の打球を打たれた割合
・GB%:ファウルを除く打球(ファウルフライは含む)に占めるゴロ打球の割合
▶ 課題1: 対右打者へのアプローチ
基本的には94.5マイルのフォーシームを中心に組み立てる投手ですが、打者の左右によって配球が大きく異なっているのが特徴的です。
下図を見ると一目瞭然ですが、右打者に対してはフォーシームとシンカーでインコース中心に攻めて詰まらせるような配球をし、左打者に対してはシンカーはほぼ使わず、フォーシームで押しつつ、ナックルカーブはアウトコースで引っ掛けさせる、そんな意図が読み取れます。
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![](https://assets.st-note.com/img/1737873805-Zj9DhvzJ3d871SrcbQeVoagP.jpg?width=1200)
さらに左右別で対戦成績を見てみると、右打者を苦手にしている印象があるので、対右アプローチの改善が必須だと言えそうです(配球なのか制球なのか、何をどう改善するのが良いかは分かりませんが…笑)。
対右打者:
AVG .270, HR 6, wOBA .326, WHIP 1.48
対左打者:
AVG .200, HR 2, wOBA .248, WHIP 1.16
▶ 課題2: 立ち上がりと中盤の制球力
次にイニング別成績を見てみると、立ち上がりに点を取られがちで、その後修正して立ち直るけど5,6回にまた崩れだす、そんな傾向が見られます。
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これはイニング別のBB %にはっきりと出ていますが、制球の乱れが原因で、四球で出さなくてもいいランナーを出してしまい、制球が定まらないうちにヒットを打たれて失点…というのがパターン化しているようです。
【イニング別BB %】
1イニング目:12.2%
2イニング目:6.3%
3イニング目:7.1%
4イニング目:5.2%
5イニング目:12.7%
6イニング目:12.5%
さらにアウトカウント別のBB %(No Outs: 7.1%, 1Out: 12.0%, 2Outs: 9.3%)を見ると、1アウト取ってから四球を出しがち。不用意に先頭打者を歩かせてしまっていることが多いわけではないですが、打たせて取るタイプの投手だけに、制球の改善は今後の最重要課題だと言えるでしょう(イニング×アウトカウント別ではまた違った傾向があるかもしれませんが…)。
もう1人の期待の新星
またもう1人、2025年の飛躍を期待したい若手投手がいます。先日MLB Pipelineが発表した左腕プロスペクトTop 10の4位にランクインしたQ.マシューズ(Quinn Mathews)。
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彼についてはまた別の記事でまとめたいと思うので、ここでは簡単な紹介に留めておきます。
彼は2023年のMLBドラフト4巡目(全体122位)でカージナルスから指名され、2024年にA(シングルA)でデビュー。その後、順調にAAAまで昇格していき、MiLB通算で26登板して8勝5敗、143.1イニングを投げて202奪三振と高い奪三振能力を見せました。'25シーンズはまだ2年目(メジャー未デビュー)ですが、貴重な先発投手として非常に期待しています!
Highest riser: Mathews
A 2023 fourth-round pick out of Stanford who garnered much attention for his 156-pitch, 16-strikeout victory over Texas in the NCAA Super Regionals that June, Mathews ranked just 22nd on our Cardinals Top 30 entering his first full pro season. Now he's one of the best lefty prospects in baseball after rocketing to Triple-A and becoming the second Minor Leaguer in the past decade to reach 200 strikeouts in a season. He added about 3 mph to his now-mid-90s fastball and about 4 mph to his now-mid-80s slider, showing the ability to miss bats with both pitches as well as his plus low-80s changeup.
今回のnoteは以上です。
<参考>
・BASEBALL REFERENCE >> 2024 St. Louis Cardinals Statistics
・baseball savant
・MiLB >> Prospect Rankings
・ヘッダー画像:STL球団公式Xのポストより拝借