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【蝦夷丸が行く!】 北海道遺産!松浦武四郎の蝦夷地踏査の足跡 #ショコツ川の大冒険!【1日目】

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こんにちは!屯田ライターの蝦夷丸です!
鼻血ではありません。花粉症です。

さぁ!今回からいよいよショコツ川の大冒険が始まりますよ!
ぜひ最後までお楽しみください!(1日目からめっちゃ長いけど!)

今回の「蝦夷丸が行く!」は、滝上町を拠点に活動している「Casochi合同会社」のお姉さんから、「松浦武四郎が旅した渚滑川を地元のおじさま達と一緒に冒険して、レポートにまとめてほしい!」という依頼を受けて、2日間かけて渚滑川を冒険(調査)した旅の記録です!
【プロローグ】はこちら
https://note.com/bari3/n/nc5c1e0525f91

6:00|起床

前日入りして井上姉妹とそのご家族たちに迎えられ、たこ焼きパーティーに参加し、たっぷりビールを飲んでふんわりと二日酔い気味に迎えた朝。
いつもはギリギリまで寝ているカメラマンせいしゅうもこの日はちゃんと早起きしてバタバタと撮影機材の準備をしていました。えらいぞせいしゅう!

今回の調査、即答で「YES!」と答えたは良いものの、正直にいうと松浦武四郎のことをそんなに知らなかったこともあり「本当に自分でよかったのか…」と急に不安になって緊張がこみ上げていました…
でもやったことのないことに挑戦するときはいつだって緊張するし、最近は緊張することにも慣れてきたなぁなんてことを考えながら、せいしゅうの黒いハスラーに乗り込みいざ出発!

7:15|カソチと合流

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カソチの二人が待つ場所に到着。朝から元気いっぱいの弾ける笑顔で迎えてくれる井上姉妹!天気も良くて最高の川日和です!おはようございます!

ここで二人のおじさんが登場。
一人目はしょこつがわ連携研究会の代表「たけちゃん」こと竹内正美さん!

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そして二人目は松浦武四郎の渚滑川流域の旅の様子を記した「西部志与古都(しょこつ)誌」を現代語訳した「ひろさん」こと高橋浩徳さん!

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お二人とも滝上で何度もお会いしたことがあるので、「お久しぶりです!今回はよろしくお願いします〜!」と挨拶をして、ひろさんの車に乗り込みスタート地点へ向かって出発!
いよいよ冒険が始まる…!

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道中お二人から研究会設立の経緯や今回の調査の目的などを聞きました。

滝上町と紋別市を流れる渚滑川を活用して、地域に新たな資源を生み出すことを目的として5年ほど前から活動しているのが「しょこつがわ連携研究会」。
紋別市と滝上町は隣町同士だけどなんかあんまり仲が良くなかったらしい!(大人の事情?)
そこで、仲良くなるために何か共同で活動しようということになり、両自治体を流れる川「渚滑川」を舞台に、連携して新たな地域の魅力を開発するプロジェクトとして発足したそうです!

そして、しょこつがわ連携研究会のプロジェクトの一つとして松浦武四郎の踏査跡調査が始まりました。
僕はてっきり武四郎がきっかけで発足した研究会なのだと思っていのですが、色々な事情や思いが集まって始まったんですね〜

武四郎の残した渚滑川の記録を盛り込んだ、新しいショコツ川マップ(パンフレット?)の作成を目指しているとのことで、今回の調査もその一貫らしいです。
研究会に参加しているメンバーはそれぞれにいろんな思いを持った人たちが集まっていて、一見みんなバラバラな感じがするのですが、根っこの思いは一緒で、「地元をおもしろくしたい!」というアツい思いで活動してるそうです。めっちゃ素敵なおじさん軍団じゃん!!

8:00|スタート地点の「よつば大橋」に到着

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スタート地点に到着すると研究会のメンバーや今回の調査に同行するメンバーが集まっていました。
思ってたよりみんなめっちゃおじさんで、正直このメンバーで2日間ショコツ川を歩き切れるのだろうかと心配になりました…(失礼)

それではここでメンバー紹介です!

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元紋別市立博物館の館長で、武四郎だけじゃなくていろんなことについてめちゃくちゃ詳しい佐藤さん!

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研究会の事務局で、今回の調査ではドライバーを務めてくれる頼れる事務方山中さん!

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釣り名人でショコツ川のことならなんでも知ってる川道案内人の牧野さん!

この個性豊かなメンバーで2日間ショコツ川を冒険します!

それではさっそくみんなで川に降りて調査開始だー!!!!!
…と思ったら、とりあえずは車で移動するらしい。
ずっと川岸とか川の中を歩いて行くんだと思ってたから正直ほっとしました…

川の面影「ケショウヤナギ」

渚滑川には「化粧柳(ケショウヤナギ)」という珍しい木が生えています。
国内でも北海道の一部地域と、長野県の一部にしか自生していないらしく、だいたいどこのケショウヤナギも川の近くに生えているそうです。

無題のプレゼンテーション (5)のコピー

この写真の真ん中にもケショウヤナギがありますが、実はここには川は流れていません。
でも、このモジャモジャした木の連なりの中にはケショウヤナギが点在しています。これは、かつてここに川が流れていたということを表しているそうです。

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ケショウヤナギについて全身を使って説明してくれている佐藤先生

こんな感じで川の流れって時代と共にかなり大きく変化していて、古い地図と今の地図では川の位置が全然違っていたりします。

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この地図の水色で塗り潰されているのが現在の川。
縞模様で表されているのが昔の川。
こんなに違うんですねー!

ケショウヤナギ以外にも川の名残がわかるものとして「三日月湖」があります。川の流れの変化に取り残された場所が「三日月湖」となって残っていたりするんだって!

キナチヤシナイ発見!

「よつ葉大橋」から上流に少し上がったところで「キナチヤシナイ」という場所を探しました。

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車を降りて両側にビッシリと生えた人の背よりも高いイタドリに囲まれた堤防の上を歩いていきます。

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ひろさん「あそこがキナチヤシナイじゃないかと思うんだけどどうですかね?先生」

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佐藤さん「ん〜そう考えて間違い無いでしょう!」

\\キナチヤシナイ発見!!//

先に言っておきますが、この先ずっとこのような感じで、ほぼ全てのポイントがこの二人によって「確定」されていきます。

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調査のフローはだいたいこんな感じ。

①車を止める

②ポイントを探す

③それらしき場所を発見!

④佐藤さんに確認

⑤確定

⑥たけさんが写真を撮る

⑦カソチのあみさんがGoogle マップに位置情報を登録

⑧次のポイントを探す

これをひたすら繰り返し、資料→景色、地図→景色と視線を移しながら「それっぽい場所」を確定させていきます。

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移動は基本的に川に沿って堤防の上の道を車で走っていくのですが、車からだとイタドリが邪魔で全然景色が見えなくてポイントを見つけるのがめっちゃ大変…
しかし!パワフルおじさんはそんなこともお構いなしです!
ここだ!と目星をつけるとイタドリをバッサバッサとなぎ倒しグングンと道無き道を進んでいきます!

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そして振り返り、ひろさんはこう言うのです。

ひろさん「先生、ここじゃないかと思うんですけどうですかね?」

佐藤さん「うん、ここで間違い無いでしょう!」

その後も次々とポイント発見!

キナチヤシナイのあともいくつかの崖を確定させて、2つ目の橋「宇津々橋」に到着。
この橋から上流に見える「シヨウマナイ」は、大昔に津波が渚滑川を遡ってきたというアイヌの伝説が残っている場所です。

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オホーツク海へ流れ込む河口から約6km川を遡った地点。こんなところまで来るなんてやっぱ津波って怖ぇ…
と驚きましたが、佐藤さんが言うにはおそらくそれは津波ではなく「海嘯(かいしょう)」というもので、一般的に言われる津波とはちょっと違うモノらしい。佐藤さんは本当になんでも知っててすごい!さすがっす!

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その後も「セカツベウシ」、「チヨツフサツテウシ」と調査スポットを見つけていき、そしてついにこの日一番の大物へ…

武四郎が描いた崖「チトカンヒラ」を探せ!

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前のポイントから堤防を走ること数分。
おそらくこのあたりではないかというところまできたけど、河川敷から川へ抜ける道が見つからない…

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ここまで順調に進んでいたこともあり、初めての停滞ムードにメンバーの顔色も曇り始めたその時!
ショコツ川のありとあらゆる道を知り尽くした釣り師牧野さんの案内で川へとつながる道を発見!牧野さん!さすがっす!

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車を降りて川に向かって歩いていきます。

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まだまだ歩く。

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いやいや、めっちゃ歩くじゃん…

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そしてようやく川まで辿り着いた!
と思ったらここからだと河原までは降りられず、目的の崖「チトカンヒラ」もこの場所からは確認できませんでした…
ひろさんの背中も心なしか悲しそうです…
すると遠くから「こっちですー!」というあみさんの声が…!

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執念の男たけさんが河原への道を発見していました!!さすが代表!!

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たけさんの後に続いて河原へ降りるメンバーたち。
佐藤さんもようやく河原に出られて「素晴らしい!いいね!」と嬉しそうです。
そしてついに念願のチトカンヒラらしき崖を発見!?

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蝦夷丸「・・・・・・・・・・・(ど、どれだろ…?)」

無題のプレゼンテーション (5)

ひろさん「ここが崖だった感じがしますね!ということはここがチトカンヒラで間違い無いですかね?先生」

佐藤さん「うん、他にそれらしき崖も無いですし、ここで間違いないでしょう!」

\\チトカンヒラ発見!!//

僕はなんとなくしかわからなかったのですが、木の生え方や現在の地形、斜面の斜度の具合などから考えて、この場所がかつて崖だったと断定したようです。すごい知識と観察力!

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そして実はこのチトカンヒラは武四郎が残した絵が資料として残っているのです!ちなみに「ヒラ」とか「ピラ」というのはアイヌ語で「崖」という意味らしいです。

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武四郎が絵に残したこの場所を特定できてとても嬉しそうなひろさん。「今日一番の収穫だ!」と笑顔を見せます。
この直後に照れながらも嬉しそうに某局のインタビューにも答えていました。

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そしてお昼休憩を挟み、午後の部をスタートしてすぐに、事件は起きました…

曖昧にしない!確実に突き止める!

昼休憩を終えて車に乗り込み、再び走り出した一行。
ホンヲサツナイよりも大きい川「ホロヲサツナイ」の跡や、遠くから見ると大きく見えるのに、近くで見ると小さく見えるという不思議な三角山「エイシリ」を発見・確定していきました。

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車はさらに次のスポットに向けて走り出します。
するとしばらくしてひろさんの顔色が曇り始めました。

ひろさん「あれ?ちょっと待てよ‥」

一旦車を停めたひろさん。

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何やら納得が行かないご様子のひろさんと身を乗り出す佐藤さん

ひろさんが気になっていたのは、「ホンヲサツナイ」「ホロヲサツナイ」「チライヲツ」「ライベツ」「エイシリ」のそれぞれの位置関係とその距離。
武四郎が書き記した資料には「〇〇から南南西に△△丁進むと…」など、移動した方角や距離もかなり詳細に記されていました。

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しかし、今まで確定されてきた場所の距離から考えると、「ホロヲサツナイ」から「エイシリ」までが近すぎるのではないか?というのがひろさんの抱いた疑問でした。

佐藤さん「でも向こうから見たら綺麗な三角形の山だったよ」

ひろさん「でもここがエイシリだとしたらライベツはどこになるんだろう?」

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一旦調査を中断し、改めて地図と資料を照らし合わせながら、1つずつ確認していきます。
それぞれの位置関係は合っているはず…
しかし、進んだ距離と方角だけがどうしても辻褄が合わない…

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そしてひろさんは気がつきました。

ひろさん「わかった!きっと当時はここで川が大きくカーブしていたんだ!」

そうなんです!冒頭にも紹介しましたが、川の流れというのは時代の流れと共に大きく変化するもの!

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昔はこんな感じで川の流れが大きく曲がっていた!?

武四郎が旅をした当時の川と現在の川では、流れが大きく変わっていたのではないか?というのがひろさんの推理です!
そしてこれだと距離の辻褄も合う!名探偵ひろさん!さすがっす!

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謎が解けて安心した様子のひろさん

無事に距離の謎も解けて一安心!
こうしてショコツ川の大冒険は初日からドラマティックな展開が巻き起こったのでした!

地域を面白くしたい!という熱い思いを持ったおじさん軍団の冒険はまだまだ続きます!
2日目は一体どんなドラマが待っているのか!乞うご期待!

おじさん軍団の冒険をサポートしているCasochi合同会社さんの情報も要チェックです!


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絹張 蝦夷丸
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