<陸上長距離界で偉業!>
ベルギーはブリュッセルで開催されたダイアモンドリーグ、男女1時間走のそれぞれで世界記録が更新されました。
1時間走は、1時間でどれだけの距離を走れるかを競う競技。
男子のこれまでの世界記録はEthiopiaのHaile Gebreselassie(ハイレ・ゲブレシラシエ)選手の持っていた21285m。
今回その記録を、イギリスのMohammed Farah(Mo Farah, モハメド・ファラー、通称モー・ファラー)選手が45m更新。
21330mが新しい記録となりました。(https://www.youtube.com/watch?v=qSaYupqz2Y4)
Mo Farah選手は、ロンドン五輪とリオ五輪で、5000mの10000mの2つの競技で金メダルを獲得する、通称Double-Double(ダブルダブル)と言われる偉業を、フィンランドのLasse Viren(ラッセ・ヴィレン)選手がミュンヘン大会とモントリオール大会で成し遂げて以来久しぶりに達成した長距離トラック会のレジェンド。相手の出方を牽制しあうスローペースの戦いになると、ラストスパートで向かうところ敵なしの超破壊的なスピードを誇ります。その一方で、マラソンのEliud Kipchoge選手や、10000mの世界記録保持者のKenenisa Bekele選手のように、世界記録を更新した経験が一度もないために、究極のレジェンドと呼ぶにはあと一歩及ばないと言う人がいました。しかし今回の偉業で、彼も陸上界のLegendの一人となったと言えるでしょう。
さて一方、女子のこれまでの世界記録は、同じくEthiopiaのDire Tune(ディレ・ツネ)選手の持っていた18517m。
その記録をEthiopia生まれオランダ国籍のSifan Hassan(シファン・ハッサン)選手が18930mを走って更新(https://www.youtube.com/watch?v=1M6EzOz0J88)。
女子の競技は、昨年Chicago Marathonで、永遠に更新されることは無かろうといわれていたEnglandのPaula Radcliff(ポーラ・ラドクリフ)選手が持つ女子世界最高タイムを更新したKenyaのBridget Kosgei(ブリジット・コスゲイ)選手も、同大会で記録に挑戦していたようです。映像ではKosgei選手も残り1分くらいまでSifan Hassan選手に食らいついていたようでした。
Sifan Hassan選手がどれだけ凄いアスリートであるかを示す一例が、マイル(https://www.youtube.com/watch?v=WjpQ4N6nNuk)と5Kロードの世界記録保持者であるのに加えて、2019世界陸上Doha大会では、1500mと10000mという凡そ畑の違う競技で共に金メダルを獲得していることです。(https://www.youtube.com/watch?v=NluPjuIYFm8)つまり彼女はスピードと持久力の両方でずば抜けた能力を誇る女子中・長距離界のプリンセスなのです。陸上が好きな方には一度彼女の走り、特にラスト1周のスパート力を見てほしい。とてもカッコいいです。
改めて、Mo Farah選手、Sifan Hassan選手の世界記録更新に祝福の拍手を贈ります。おめでとう!
さてそんなこんなで、熱い陸上界ですが、次のビッグイベントが目と鼻の先に予定されています。10月4日のロンドンマラソンです。Rio五輪男子マラソンの金メダリストで男子マラソン現世界最高タイム保持者Kenyaの英雄Eliud Kipchoge(エリウド・キプチョゲ)選手と、Kipchoge選手の世界最高タイムに2秒と迫る世界2位のタイムを持つ、男子10000m現世界記録保持者で男子5000mの元世界記録保持者でもあるEthiopiaの英雄Kenenisa Bekele選手の一騎打ちが見られます。楽しみです。
余談ですが、コロナ禍にあって、陸上競技の多くはキャンセルを余儀なくされています。その一方で無観客の環境でいくつかの大会は実施されるようになりました。観客の声援の無い中で高いやる気を創出・維持するのは平時以上に大変だと思います。そんな中、「記録更新」を目標にやる気を創出することは大変意義深いと感じます。また有力選手同士が直接対決を行うという環境も、アスリートには大きな動機付けになるでしょう。多くの制約の中で、いろいろな工夫をしてやる気維持に努めている姿は、市民ランナーの私自身にも参考になるところがあります。
例えば、出走予定だった大会が中止になった時はがっかりしました。しかし今はこうしたアスリートの頑張りを見て、大会が無くても練習を継続できる自分になりたいと心底思うようになってきました。例えば、やる気維持の一つの方法として、「かつてできなかった練習をできるようになること」を一つの励みにしています。誰も認めてくれる人はいません。しかしそうした一つ一つの積み重ねが、自分の中の世界記録更新だと思えば、内なるやる気が沸いてきます。
今回の世界記録更新が、私に元気をくれたように、多くの市民アスリートの元気につながるといいなと思います。