古里(ふるさと)の母
一 朝 曙の 陽の光り
夕べ茜(あかね)の 雲の下
土の匂いと 風の中
ただひたすらに 働きし
ああ わが古里に 母があり
二 風雪(ふうせつ) 過ぎて 百四年
よろこび悲しみ 幾重(いくえ)にも
愚痴ひとつなく 感謝して
耐えて忍んで生きてきた
ああ わが古里に 母があり
三 小さな身体 その胸に
抱いて育てし 子を想う
朝な夕なに 幸(さち)あれと
念ずる姿が いとおしい
ああ わが古里に 母があり
四 慈愛に満ちた 眼差しに
生きる厳しさ 喜びを
ことばも無しに 背中より
人の道筋 教え給う
ああ わが古里に母があり
©Hyosaku Horiguchi