マドロスひとり
一 夜霧に濡れる 港町
赤ちょうちんの 裏酒場
青いグラスを 傾ける
老いたマドロス ひとり酒
二 波止場にたたずむ お下げ髪
汽笛と共に 置いてきた
遠い昔を 忘れない
老いたマドロス ひとり者
三 ふるさとあとに 幾十年
七つの海の 潮風が
ひたいの皺に しみ込んだ
老いたマドロス ひとりごと
四 波のささやき 聞きながら
異国の唄を 口ずさむ
にじむ涙を 指で拭く
老いたマドロス ひとり歌
★ 平成二十年七月 ©Hyosaku Horiguchi