限りなくチャビに近いブスケツの後継者、カサドー
バルセロニスタのJOEだじょ~。
バイエルン戦、エル・クラシコに大勝して、尻尾がピンとなるくらいうれしいじょ~。
さて、ハンジ・フリックの手腕を評価するのは勿論だが、ピッチ上でこの流れを作っているのは誰なのか、それを見誤るとバルサに喰われる――。
そう思わせる二連戦だったじょ~。
では、今一番警戒すべき選手は誰なのか。
17歳の神童、ラミン・ヤマルか。
覚醒した絶好調男、ラフィーニャか。
幻のバロンドーラ―、レヴァンドフスキか。
吾輩の答えはそのいずれでもない。
バルサの心臓として躍動するカサドー
今、好調バルサにその流れを呼び込んでいるキーマン、それはカサドーだ。
カサドーはバルサのカンテラ育ちの21歳。
2年前にトップチームデビューするものの、主戦場はバルサB。
23-24シーズンは、バルサBでキャプテンを務めていた。
今シーズン、野戦病院化するバルサにおいて、17歳のベルナルとともに先発に起用され、存在感を高めてきた。
ラミン・ヤマルやガビ、昨シーズンのフェルミン・ロペスのように、大きな期待を受けて起用されたわけではなく、主力であるフレンキー・デ・ヨングやガビ、クリステンセンの復帰までの場繋ぎ――。少なくとも吾輩をそう思っていた。
しかりそれは、誤りだった。
カサドーは開幕からバルサの心臓として、前線に、サイドに、そして得点の生まれるところに血液という名のパスを供給し続けている。
開幕前にカサドーの価値をフリックが見極めていたというのならば、それは見事というほかない。
では、好調の流れを呼び込むカサドーの魅力は何か。
1.まるでチャビのようなピッチ上の指揮官
カサドーが臍の下にボールを置き、手振りで指示をする姿、
そして、敵に背を向けボールを隠し、相手の逆を突いてボールを運んだり、パスを通す姿は現役時代のチャビを彷彿とさせる。
現役時代のイニエスタにも共通するが、当時のチャビは、ボールと敵の間にうまく体を入れ、くるくると回ることで逆を突き、対峙するディフェンダーを翻弄していた。
ピッチ上でのカサドーの立ち姿、プレースタイル、振る舞いは、かつてのチャビと瓜二つに映るのだ。
また、華麗なテクニックを駆使するというより、対峙するディフェンダーとの間合いを見極めドリブルを仕掛けたり、敵の布陣の穴や揺れを発見し必殺のスルーパスを繰り出す姿にはチャビ同様のインテリジェンスを感じずにはおれない。
バイエルンの息の根を止めるラフィーニャの2点目を演出したミドルパスや、クラシコのレヴィの先制点をお膳立てしたスルーパスは、まさにピッチ上の指揮官としての意志のこもったボールだった。
2.抜群の危機察知能力でブスケツの後継者に
カサドーは、小さい。
身長は172㎝。同時期にデビューしたベルナルの192㎝。前任者のブスケツの189㎝に比べると見劣りする。
当然、そんなに体は強くない。
ガットゥーゾやダービッツのような狂暴な闘犬にも見えない。
また、足が特別速いわけでもない。
では、どうやってブスケツの代わりを果たすのか。
カサドーの武器は、前述したようにインテリジェンスだ。
次のプレーを読み、試合の流れを読むことで、誰よりも早く危険を察知し、リスクマネジメントを怠らない。
バイエルン戦では、ハリー・ケインの周辺をケアし、クラシコでは、ヴィニシウス、エムバペを警戒。
ファウルをもらうシーンもあったが、敵の要注意人物をここぞという時に自由にさせなかった。
相手のトラップの瞬間、コントロールに手間取っている隙を見逃さず、
小さな体にもかかわらず、フィジカルコンタクトを厭わず、体をうまく使ってボールを奪取している。
ブスケツとはプレースタイルが異なるが、役割は継承できる。
ブスケツの前任者であり、ライカールト時代の中盤を支えた、前バルサBの監督マルケスは、「11人のカサド―がいれば勝てる――」と語ったそうだ。
最後に
カサドーは、チャビのようなゲームメイカーの役割と、ブスケツのようなアンカーの役割の両方を担うことができる。
アンカーに徹底させるよりも、ダブルボランチとして、ペドリやフレンキーと共に起用し、ある程度の自由を与える現状の起用法がベストと思われる。
ヤマルやラフィーニャ、レヴィ、さらにはオルモなど、派手な攻撃陣にどうしても目を奪われがちだが、
ピッチ中央でタクトを振るう小さな巨人、カサドーにも刮目していただきたい。
彼の出来如何がバルサの勝敗を左右すると言っても過言ではないだろう。