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走れ!カンテラーノ ~ハンジ・フリックへの提言~

フェルミンは激怒した。
必ず、かの邪知暴虐のフランス代表を倒し、ゴールを奪わなければならぬと。
『走れメロス』の冒頭のようになってしまったが、フェルミン、エリック、クバルシ、金メダルおめでとう!
バルセロニスタのJOEは嬉しいじょ~。
彼らの五輪での活躍からもわかる通り、バルサには優秀なカンテラーノが揃っている。
ちなみに決勝戦のスタメンの内7人はバルサのカンテラに在籍していた経験がある。

プレシーズンマッチ(以降PSM)においても、カンテラーノ達は躍動していた。
PSMを見ていると、毎年のように思う。

バルセロナの真の宝は、史上最高のバロンドーラーでもなければ、ポジショナルプレーを信奉する指揮官でもなく、才能豊かなカンテラーノを輩出するカンテラなのだ、と。

そこで、今季トップチームでの活躍が期待される若手カンテラーノ達を紹介したい。

DF

このポジションは、アラウホの怪我や、ラングレの移籍、エリック・ガルシア&クバルシの五輪組の合流の遅れを考えると、序盤はカンテラーノの力が必要だ。

  • セルジ・ドミンゲス・・・縦につけるパスが秀逸。前に運ぶ度胸もある。対人守備では改善の余地あり。アラウホ、エリック・ガルシアが戻るまで右セントラルを任せうる人材。

  • ミカエル・ファイ・・・左ラテラルも可能な20歳のガーナ代表。破壊力抜群のミドルは必見。ポテンシャルは高く、黄金時代を支えたエリック・アビダルを超える逸材と密かに期待。

  • アレックス・バジェ・・・左利きの右ラテラルという特異な20歳。右利きの左ラテラルはよく見かけるが、その逆は稀。クロスのタイミングやコースが独特で目が離せない。

MF

セルヒオ・ブスケツの亡霊に呪われたポジションだが、フリックはダブルピボーテを採用することで、問題の解消を図る様子。ダブルピボーテ採用により、インテリオールのポジションが失われ、メディア・プンタ(トップ下・司令塔)のポジションが復活か。
フレンキー・デ・ヨング、ギュンドアン、ガビはピボーテでの起用も可能だが、怪我人も多く、明らかな人材不足。クリステンセンのコンバートも考えられるが、カンテラーノの台頭が期待される。
また、メディア・プンタは、ペドリ、フェルミン・ロペス、ダニ・オルモと激戦が予想される。

  • マルク・カサード・・・バルサの戦術を熟知しており、モダンなパスサッカーを体現できる。昨季はバルサBのキャプテンを務め、リーダーシップもある。

  • マルク・ベルナル・・・カサード以上に期待値が高まっている17歳の俊英。191㎝という長身プレイヤーで、背筋をピンと伸ばしてプレイする姿が美しい。左利きでどこかエレガントな雰囲気も漂う。

  • ノア・ダルヴィッチ・・・U17ドイツ代表のキャプテンとしてU17欧州選手権とU17W杯のダブル優勝に貢献。前者では大会ベストイレブンに選出。古き良きオールドファッションなメディア・プンタ(司令塔)の印象だが、どう化けるか今後注目。

FW

レヴァンドフスキ、ラミン・ヤマルはスタメン当確か。
昨季通り左エクストレモ(ウイング)にラフィーニャを配置するか、ダニ・オルモを起用するかは悩ましい。
そう考えると高額な移籍金を費やしてまで、ニコ・ウィリアムズを獲得する必要があるのか疑問符が付く。
但し、ビトール・ロッキとフェラン・トーレスを放出できるならば、悪くない。

  • パウ・ビクトル・・・PSMで最も印象に残った選手と言って過言でないだろう。シティ戦で1得点、クラシコでも2ゴールを挙げ、一躍名を馳せた。裏への抜け出し、1対1の仕掛け、シュートセンスなど、レヴァンドフスキの後継者として十分なタレント。

結論として、ダニ・オルモの加入は実に楽しみではあるが、これ以上の補強は必要ないだろう。
上記、才能溢れるカンテラーノ達の成長に期待しつつ、辛抱強く起用することを勧めたい。
ハンジ・フリックならとっくにわかっているとは思うが、選択を誤ると、『走れメロス』のオチと同様に、勇者はひどく赤面する——。ことになるだろう。

(※写真は、オリンピック日本代表を応援するJOE。)


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