瓶詰めの記録


父が緊急搬送されてから二ヶ月になろうとしている。正直、こんなに長く記録を書き続けるとは思っていなかった。

父は危篤状態を乗り越えて病状は低空飛行ながらも安定し、かと言って良くなる訳ではなく、がくんと落ちたら少し這い上がり、けれども元のところには這い上がり切れずに少しずつ少しずつ坂を下っていっている。

二ヶ月前の緊迫した時期を過ぎて、今はただただ時間を作って会いに行き、母と二人で思い出話をしながら父の体を拭いたりマッサージする毎日。

それをただただ記録して、書き起こしている。なぜずっと書き続けているのか、自分でもよく分からない。
書きながら、受け入れようとしているのかもしれない。
或いは、いつかこの記録を読み返して何かを思う日が来るかもしれない。
或いは、いつか誰かがこの記録を読んで何かを思うかもしれない。

「今、ネット上にあるものはだいたい半永久的に残るよ」と夫が言っていた。

この記録もボトルに詰めてインターネットの海に浮かべておいたら、いつか遠い未来に見知らぬ誰かの元に流れ着くことがあるのかもしれない。
などと思ったりする。

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