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第二回企画感想!

こんにちは! 創作物BAR【アトリエ】のわこりです。
皆様、大変長らくお待たせいたしました。
第二回企画の感想を公開いたします!

まずはじめに、第二回企画にご参加くださった皆様、素晴らしい作品をありがとうございました。
そして、感想記事の公開が遅くなってしまい、大変申し訳ございません。
今回は第一回企画よりも応募作品が多く、感想を書くのに思ったより時間がかかってしまいました。

それでは、以下に皆様から頂いた作品に対しての感想を並べさせていただきます!(順番は参加順でも何でもなく、特に決まりはございません)
第一回と同じく、各作品につきわこりか零のどちらかが代表して感想を書いております。
それではどうぞ🥂
(※参加作品の中に総文字数一万字越えの作品がございました。該当作品に関しましては、一万字時点での感想になります。ご容赦ください)



暇崎ルア 様 『眠くない』


まず第一印象として「不思議なお話だな~」と感じました。一体どういう事か? 話の輪郭がぼやけているのです。主人公の死因、クロムやパーカーを被った男の正体、それらが明言されていません。故に話の真相が上手く掴めずつい何度も読み直してしまう……作者の思う壺だと分かりつつ抗えませんでした。
何度も読み直していくうちにいくつか気になる点が浮かび上がってきました。軍隊式入眠法について調べてみたところ、最後のステップに「考えるな、考えるな」と何度も繰り返す、という行為があるそうです。つまり主人公は既に佐々木のアドバイスと似た行為で失敗していた訳ですが、なぜ佐々木のアドバイスを聞いて再度試してみようと思ったのでしょう? 同じ講義は普通週に一回。寝込んでまだ三日目なのになぜ既に講義十二回のうち三分の一を欠席しているのでしょう? なぜ主人公はパーカーの男を見て真っ先に「泥棒」と叫んだのでしょう? 泥棒かどうか分からないはずなのに……。全ての疑問に意味や答えがあり、それが物語の真相に繋がっている気がして何度も読み直してしまいます。
グロでもない、ビックリでもない、サイコホラーとも少し違う……気味の悪い雰囲気で読者の思考を促してくる新しい形のホラーだと感じました。

わこり



小野ショウ 様 『空中戦の果てには(改)』


第二次世界大戦中、ヨーロッパの空を舞台にした戦記もの。参加ポストに記載されていた「得意なジャンルで攻めてみました」のコメント通り、細かな機体設定や戦闘シーンの描写など、ミリタリーに関しての豊富な知識を感じられる作品。Fw190D9というドイツ空軍の戦闘機を乗りこなす主人公は、P-51とB-17と接敵。主人公はその後被弾してしまいますが、奇跡的に生存します。主人公が戦闘機の残骸が地面を覆っているのを目撃するシーンでは、機能美やロマンを秘めた戦闘機が、人を殺める兵器であることを実感させられます。戦争を経験していない我々だからこそ感じられるミリタリーのかっこよさと共に、兵器としての恐ろしさも感じさせる戦記もの小説でした。



一式鍵 様


「絵」という形式での企画参加は本作品が初めてでした。どうしても文章形式の作品ばかりになってしまうので、こういった変わった形式の作品が見られるのは非常に嬉しく思います。
長編小説のイメージビジュアルという事で、主人公三人が描かれています。左に位置しているレベッカと右に位置しているヴェーラは構図や服装がかなり似ています。最初は「姉妹なのかな~?」や「同じ服装だから同じ役職?」などと考えてみたのですが、よくよく見るとお互いに背を向けた構図になっています。違う方向(道)を往く……もしかしたら作中では敵対する関係なのかもしれませんね。
元となった「セイレネス・ロンド」という作品は大長編という事もあり文字数の関係で読む事ができませんでしたが、いつか読んでみたい……そう思わせる完成度のイメージビジュアルでした。

わこり



アホマン 様 『娘の友達』


キャッチコピーの通りサクッと読める掌編ホラー。主人公である美八子は、その安さに疑問を抱きながら、家族と共にマンションを購入。何事も安すぎると不安になりますよね。こうして新生活が始まった美八子達。ある時美八子の娘の皐が学校から帰るや否や、友達を描いたキャンパスノートを美八子に見せる。そこにはたくさんの友達が描かれていた。すっちゃんと呼ばれる、何者かを描いた空白のページと共に。すっちゃんとは一体なんなのか。空白のページを見せて「描いてある」と言う皐。すっちゃんの正体がわからずじまいで終わるこの作品。「分からない」というところから恐怖というものは生まれます。愛する娘が、急に人間ではない何者かを友達として絵に描くという分からなさが、上手く恐怖感に繋がっている、短いながら良質なホラーでした。



小野ショウ 様 『フラットな日々を望めば』


主人公はおそらく高校生、もしくは中学生。何気なく読んでいても「あ、これ思春期の男子学生が主人公だな」と瞬時に理解する事ができました。何故なら「こういうリレーションはスムーズに済ませてもらわないと困るよ~」や「退屈な一日の始まり。かな?」、「なぜお前に合わせて好き嫌いを決めないといけないんだ?」など中二病とまではいかないが、スカした痛々しい発言を多く取り入れる事で、主人公の像をかなり分かりやすくしていたからです。地の文のほとんどを主人公の心情描写に使う小野ショウさんならではですね。
痛々しい思春期の男子学生という主人公像……それがあるからこそ最後の展開も主人公の夢(妄想)の中である、という可能性を考えてしまう。主人公の心情描写を上手く使いこなしている作品だと感じました。

わこり



アホマン 様 『真っ赤なデマ』


ホラーな超短編。真っ白で無機質な病室に、カタカタカタカタ……とキーボードを叩く音だけが響き渡ります。インターネットで悪質な誹謗中傷やデマを拡散していた彼らは、治療という名目でこの病室に収容されていたのです。彼らは誹謗中傷やデマを一文字入力するたびに血を一滴抜かれてしまいます。しかし、そんな彼らが文章を投稿するSNSは、全くの偽物、ダミーだったのです。真っ白な病室と真っ赤な血の二色の情景は、皮肉めいた内容とは裏腹に、読んでいて美しいと感じました。現代のネット文化を風刺する本作。SNSに蔓延る誹謗中傷やデマの恐ろしさと共に、不気味な雰囲気を醸し出している作品でした。



またたび 様 『狂骨奇譚』


一人称……要は「俺」や「私」の使い方には細心の注意を払う必要がある。私を含め、物書きをしている人なら基礎として心得ている事かと思います。本作品の地の文で「私」が使われたのは後半の二回のみ。それもヨネではなく禅円だというのが面白いところです。
本作品のジャンルはホラー。視点の主が味わった恐怖を読者に感じさせる必要があります。おそらく、作者が読者に感じさせたいこの作品のホラー要素とは、「罪悪感」なのでしょうね。それが禅円に「私」という一人称を使っている理由なのだと思います。禅円による善意が悲劇を呼び、その後始末はまた禅円がつける……救いがない悲劇の循環。
話の内容はシンプル。しかし構成は秀逸で、読者に得も言われぬ後味を残す技ありのホラーだと感じました。

わこり



アホマン 様 『奇跡の天体ショー』


SF掌編。物語は、突如地球へ眩い光が降り注ぐところから始まります。人々はそれを神として崇め一時は地球に平和が訪れるも、次第に神をどう解釈するか、という意見の相違から争いが勃発。遂には地球ごと滅びてしまいます。今人類は様々な宗教と共に生きている訳ですが、それらが統一された時どうなるのか。平和な世の中になると思いきや、一つの宗教の中でまた分裂が起きる展開はリアリティを感じさせます。で、結局地球に降り注いだあの光はなんだったの、というところですが、あれは遠い昔、宇宙人の文明が滅びる時に発した爆発の光だった、という終わり方になっています。繰り返される歴史となんとも言えない無力感は、実にSFらしいと言えます。短いながら濃厚なSF小説でした。



よしけん 様 『オトギゾウシ -Mechanical Fairytale-』


序盤の区切りの良いところまでしか読めませんでしたが、設定や主人公の目的が分かりやすくすんなりと入ってきました。
まず本作の序盤がスラスラと読めた理由は、主に二つあると感じました。一つは、有名作品と似ている設定が多いこと。つまり、読者に人気がある設定や世界観をしっかり理解した上で上手く取り入れられているという事です。主人公の目的が家族の復讐、主人公が無自覚のうちに特別な体質、いきなり殺されかける、など……。独創的な世界観よりも、このような「どこかで見た事がある」世界観の方がやはり受け入れやすいですね。もう一つは、しっかり世界観の説明にリソースを割いているという点です。序盤でビックリ展開を作り読者を引き込むという手法の作品もありますが、本作は先に述べたような理解しやすい展開に加え、主人公の置かれている状況についての説明パートがしっかり用意されています。これにより、読みながら話の展開について整理する事ができました。
序盤の時点でかなり読みやすくまとまりのある作品だなと印象付けられました。これからどのようなストーリー展開になるのか楽しみです。

わこり



よしけん 様 『魔法少女ルカ-New GOSPEL-』


魔法少女とキリスト教をモチーフとした王道ファンタジー。物語の主人公ルカは平穏な日々を送っていた。しかし、かつて封印したはずの悪魔が突如として復活してしまう。崩れる平穏な日々の中、ルカは神の子メシアと出会う。そこからルカの運命は大きく動き出す、と言ったストーリー。ラノベらしいポップな文体で、沢山の人にとって読みやすい小説という印象を抱きました。悪魔が存在する世界でありながら、ベースは現実世界、という現実と異世界がミックスされた異質な世界観によって、物語に強く引き込まれました。こう言った世界観を書く上でのバランスは、物語に説得力を持たせる上で大事になってきますが、その辺りのリアリティが上手に描かれていて、これも物語に引き込まれる要因なのかなと思いました。王道ファンタジーが好きな人はぜひ!



ご来店ありがとうございました!


第二回企画の感想は以上になります。
今回は前回よりも参加者が増え、我々スタッフも大変嬉しく思っております!
次回企画は今月末か来月頭から募集開始を予定しております。
今後とも何卒、創作物BAR【アトリエ】をよろしくお願いいたします!
スタッフ一同、皆様のまたのご来店を心待ちにしております🥂





第二回企画はいかがだったでしょうか?  前回の反省を活かし、参加ハードルを大きく下げた事が参加者が増えた大きな要因だと感じております。ところで……
次の企画どうしよっ!
実は、まだ第三回企画の具体的な内容が決まっていないのです……
何か良案がある方がおられましたら、ぜひ創作物BAR【アトリエ】のDMにてお教えください!
(筆者:わこりより)




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