カセットデッキTC-K555ESⅡを修理しました。
80年代に入りソニーのカセットデッキTC-Kシリーズは型番3桁になりました。
カセットデッキTC-K555ESⅡは初代TC-K777の弟的存在です。
まずはTC-K555が同時に発売されその後TC-K555ES→TC-K555ESⅡと
なります。
ソニーの最高級機TC-K777も同じようにES→ESⅡまでマイナーチェンジ
していきます。
TC-K555ESⅡはその後はTC-K555ESXとなり、現在主流のセンターメカへと
移行していきました。
この時代に流行ったトランスを背面部に取り付けた出っぱりが特徴的です。
TC-K555ESⅡは中々高音質です。
繊細で優しい音色です。
今までのソニーの音とは違うと感じます。
さて、先日店内カセットテープ視聴サービスのため久しぶりに
カセットテープを再生したところ何か変です。
おかしいのです。
ん? テープが伸びたかな?
違うテープを入れてみましたが同じです。
どうやら回転が遅いみたい。
暫く暖機すれば復活するかな? 等と想像しながら暫くして
再生してみますが変化なし。
速度にムラがあるのではなく安定してゆっくりです。
ムラが無いのはクォーツロックが効いているから?と意味不明な解釈を
しながら修理することに。
カセットデッキは主に音声信号系とメカ駆動系に回路が分かれています。
テープ速度がゆっくりなので駆動系の不具合として修理に挑みます。
一つ一つ原因を追究すれば良いのですが、駆動パワーが落ちているのが
原因では?
と経験を頼りに根拠のない見立てをして電源系のコンデンサー交換を
まずは行います。
このTC-K555ESⅡは1983年製です。
既に41年経過していますから修理を行わなくてもコンデンサー交換は
必須です。
見立てが当たればこれで治ります。
治るはずと思っています。
まずは分解。
電源基板は本体左端側面に縦に取り付けられていてメンテナンスは
やり易いです。
コンデンサーは全部で12個と数は少ないです。
交換して電源を入れてみます。
正常に通電しました。
カセットテープを再生してみます。
あれっ
変化ありません。
全く変わりません。
見立てはハズレです。
トランジスタ故障なら巻き取りリールは動かないだろうという推測で
コンデンサーの容量抜けではという見立ては違ったようです。
ネットで調べてみます。
有りました。
似たような症例が見つかりました。
最初に調べれば時短になったのですが、見立てが当たった時のプアな
喜びを味わうために時々推測修理を行う事が有ります。
今回はこのケーズです。
原因は
基板上のメンテナンス用回路チェック切り替えスイッチが不良で
回転が遅くなる現象。
まさに同じです。
一番左のVRがスイッチで、黒く変色しています。
スイッチは手持ちがなく詳細不明、そして切り替えて回路チェックする予定はないので外さず短絡します。
スイッチ内の短絡した部分で抵抗値が増して電流が流れにくくなり
回転低下につながりました。
再度電源投入。
カセットを入れて再生ボタンを押します。
テープの速度は問題ありません。
正常時と同じに聞こえます。
テープ片面を聞き流します。
問題ないです。
修理完了です。
入手出来ない部品の故障でなくて良かったです。