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今、飲んでおいた方が良いウィスキー

国産のウィスキーについてここ10年程ですが
「原酒不足」が言われています。

スコッチウィスキーにも静かにこの傾向は進んでいます。
ウィスキーを扱っている者として日々年月の動向を精査してみると
見えてくるものがあります。

最初にタイトルの答えを書きます。

カスクストレングス

です。

カスクストレングスは銘柄では無くウィスキーの種類です。

カスクストレングスとは

ウィスキーの原酒です。
一般的にスーパーや酒屋さんに並んでいる流通量の多いウィスキーは
原酒に加水して40度に薄めたものです。
以外に知らない方は多いとお酒を提供していて感じています。

この40度というのが一つのウィスキーとしての最低ラインの様に多種多様な
銘柄が存在します。

カスクストレングスは国産のウィスキーでは恐らくですが
発売されていない?
又は発売されたことが無いのでは?
と思います。

原酒はその蒸留のたびに変化するので〇〇度と固定ではありません。

銘柄によるばらつきはありますが凡そ60度程度です。

ラベルに CASK STRENGTH と記述されています。

貴重な存在
カスクストレングス
グレンファークラス60度

イメージ的には樽から出してそのまま瓶詰という事になります。
実際には多少の調整加水やろ過等が行われたりするケースもあります。

樽から出しただけの熟成完了直後のウィスキーですから非常に貴重で
贅沢なお酒という事になります。

「これ飲んでみろ!!!」
というのが作り手の想いだと思います。

ストレートで
グビッ。

食道を伝って胃に流れ込む感覚が分かります。

なぜ今飲んだ方が良いのか?

カスクストレングス
贅沢で貴重なウィスキーですが、これは原酒にゆとりが無ければ
リリースされない限定ウィスキーだからです。
毎年毎年定期的にリリースされているわけではありません。
中にはそれに近い物は存在しますが全てではありません。

蒸留所は樽に入った原酒をかなりの量をストックしています。
その蒸留所の定番ウィスキーをリリースするために調整しながら
熟成、保管、瓶詰を行います。

定番商品が良く売れると樽数はどんどん減っていきます。
10年もののウィスキーは原酒の補充に10年かかるわけです。
限定品である高濃度のカスクストレングスをリリース
するよりは薄めて本数を稼がなくてはいけない
定番商品に原酒を回すことが優先されます。

全てオフィシャルベースですが、
ラフロイグ10年のカスクストレングスが消えてから
10年近く経ちます。
その後カリラやボウモアのカスクストレングスも消えました。

その辺りからスコッチウィスキーの原酒不足が囁かれるようになります。

すると
新たな動向が生まれます。
短熟やノンビンテージウィスキーがこぞってリリース
されるようになります。

まずは
ラガヴーリン8年
16年が美味しいと人気のラガヴーリンに8年と半分の熟成期間です。
今までは
12年カスクストレングス
16年
25年
25年は消えました。

続いてアードベッグ5年
今まではノンビンテージと定番の10年。

ラフロイグについては
アンカンモア
セレクト
PXカスク
ロア
ブローディア等
25年や30年は消えました。

消えたラフロイグ30年とニューリリースノンビンテージラフロイグ

ノンビンテージ品は定番商品のビンテージもよりも若いのが
通常です。
長ければ年数を明記した方が商品価値は上がりますから。

そして18年は既に消滅しています。
ネットショップでは当時の在庫が高値で販売されていたりします。

そして15年前には普通に見かけていた25年や30年という
ビンテージ物は皆無に近い状態です。
マッカランやグレンフィディック等の30年は見かけなくなりました。

これらは明らかに原酒が少ないことを物語っています。
10年や12年の定番商品をリリースするのに原酒を使い
30年物に回す余裕がないのです。

今後はカスクストレングスも消滅するのでは?
と僕は感じています。

原酒不足が解消するにはまだまだ時間がかかると
思っています。

消滅したからと言って永遠に消えるわけではありません。
需要と供給のバランスがとれ原酒にゆとりが出来れば
復活するはずです。
しかし
それはいつになることか?

消滅してから
「飲んでおけば良かった」
とならないために
人生の燃料
あるうちに補給するのが吉です。



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